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天狗岬殺人事件/この罠に罪ありや/夢幻の恋人/二つの密室
パンチュウ党事件/こりゃ変羅/江戸にいる私/贋金づくり
三人の辻音楽師/新宿殺人事件/赤い蜘蛛/怪奇玄々教/輪舞荘の水死人
あいつの眼/心中見物狂/白い夜/真夏の夜の夢
不思議な話、変な話、おどろおどろしい話、SF、ミステリー、エロス、スリラー、狂気
昭和の始め、薄暗がりのある時代、色の付きかけたでもどちらかと言えばモノトーン
親の時代の物語、お話だけど自分に近いものがある
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アメリカの影が色こく残る話が多い。
『真夏の夜の夢』とかはなかなか良かったが、山風初心者は別の、もっと素晴らしい作品を読んだ方がいいかも。
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再販シリーズばんざいです。時々ん??って思う話がありましたが
、流しの琉球楽士のシリーズはもっと読みたいって思いました。
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短編集。
PART1(本格もの)
【天狗岬殺人事件】先生とお父さんが二人で話をし、それを息子が聞いているというあの場面が不穏な雰囲気で良いです。手紙に綴られた彼女の複雑な思いと、親の勝手に振りまわれた青年の心の傷も残酷。「揺れるもの」には親二人のエゴが詰まっており、結末も苦々しかった。派手なトリックと不穏な雰囲気が漂う良質なサスペンスです。
【この罠に罪ありや】刑事が尋問によって相手を追い詰めていく様がロジカルでとても楽しいですが、心理的なオチにしているのがおもしろいです。
【夢幻の恋人】夜な夜な繰り広げられていたであろう狂気の遊びを想像するとぞっとします。哀しい愛の物語が根底にあるものの、それを覆う滑稽さと恐ろしさで混沌としていて素晴らしい。
【二つの密室】名探偵のパロディ。「超名探偵」この方法を密室の謎を解くために使うというのがおもしろい。「大完全脱獄」ば、ばかな…。確かにものすごい脱獄。方法もすごいけれど、脱獄した場所もすごい。どちらも皮肉が利いてます。
PART2(ナンセンス小説)
【パンチュウ党事件】パンパンたちのおへそがとられるという、事件も登場人物たちもふざけているおもしろおかしい話なのですが、こういう喜劇の中にふと真面目な心理をまぎれこませるのが上手いと思います。こんなアホっぽい事をしでかした犯人の心には戦争からくる暗いものがあったでしょうし、最後の女の啖呵にもはっとさせられます。
おへそがとられるというとおとぎ話じみてますが、それが実は皮膚移植というのがまた凄い。
【こりゃ変羅】これまたばかばかしい設定ですが、この変な出来事が齎す事件が狂気じみています。最後のセリフも滑稽でいて不気味。
男性目線からの男の体、性欲やセックスについてが女のわたしには新鮮でした。これは男性が読むのと女性が読むのとでは感想が違ってくるのかもしれません。親指をひょういと立てるようにコントロール出来る事のばかばかしさなど、男性ならもっと共感できて楽しめるのかも。
【江戸にいるわたし】現代から江戸へタイムスリップしてしまった男女。時代考証をきちんとした上で、もしこれがこうだったらという作者お得意の展開です。
こういうタイムスリップものでは歴史を変えていいのか、というテーマがありますが、主人公二人が歴史に疎く、未来の事なんかなんにも考えてないいきあたりばったりなのがおもしろいです。
はちゃめちゃな2人が当時の江戸をかき回すのに、最後はしっかりまとめるのが楽しい。
【贋金づくり】ちょとしたユーモア小説。
PART3女探偵捕物帳
【三人の辻音楽師】美女・未香と老人・玄城と少年・雛乃介の3人は、かつて殺害された一族の復讐の為に復讐相手たちを訪ねまわる。毎回3人が直接手を下すこともなく、復讐相手が何者かに殺害されてしまいます。そして未香が犯人を推理するというパターンですが、こうも都合よくいくとこの3人がますます怪しいです。この話は見世物にされた女の苦悩と、太陽をぼんやり眺めている描写が哀しい。
【新宿殺人事件】殺人事件の舞台を整えるまでの、不倫だとか火事だとか事故だとかのなんやかんやが楽しかったです。しかし襲われた娘はあまりにも不憫。このトリックとオチはおもしろかったです。
【赤い蜘蛛】衆人観衆のなかでの不可能犯罪。赤い蜘蛛が不気味なシンボルとなっています。舞台劇のようでした。
【怪奇玄々教】新興宗教の奇跡という名の奇術のネタバレが楽しいです。火の上を歩くとか生首とかばかばかしくて良い。総務の柴田の突然の告発場面もおもしろく、野心溢れるこの犯人は好きでした。未香は関係ないと言っていましたが、柴田も戦時中沖縄に行っています。そしてあの最後となると、益々この3人が不気味です。
【輪舞荘の水死人】転落のトリックもおもしろいですが、登場人物たちの人間関係が互いに身を縛り動機にも繋がっているのがおもしろい。
PART4(サスペンス)
【あいつの眼】眼は口ほどに物を言うといいますが、殺人犯特有の眼というものが本当にあるのかな、と思ったり。
【心中見物狂】自殺した女の手記から物語が始まりますが、この手記がまた哀しい。一途で不器用な女の姿が浮かび上がります。その死を悼む男の取った行動もまたいろんな意味で痛々しいです。誤解が積み重なって迎えたラストはなんとも残酷。
【白い夜】そっくりな二人の女が相次いで自殺した。それぞれの夫二人がこの相次いだ事件について己の見解を語るわけですが、隠されていた本当の人間関係が明かされると同時に事件の様相もかわってくるという驚きが連発される展開です。更に大がかりなトリックも登場して、密度の濃い贅沢な一編でした。
【真夏の夜の夢】車の中で死体に気づかないとか、警察がなぜ死体をあんな風にとかは思うものの、偶然が偶然を呼びあのような結末になったことは、神を信じるといった男にとって運命のように感じます。青年の波乱な人生と母親の幽霊エピソードが上手く絡んでいるのもおもしろかったです。
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このミスベスト10、2002年版7位。未発表短編を集めた短編集。ほとんどが昭和20年代の作品で古すぎる。埋もれてた傑作を集めたってことだけど、埋もれてただけあって全体的にいまいち。しんどい。ミステリーとは言えない筒井康隆風のナンセンスSFもあって、エロイやつだけは一気に読めた。
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2015年12月3日読了。「このミステリーがすごい!」2002年度版の第7位の作品。山田風太郎の未発表作・マイナー作などを集めたコンピレーション本だが、このミスの高評価の通りバカ面白い。奇怪な・人を食ったようなトリックを、におってくるような戦後日本の風俗描写・欲望にたぎる男女・青年の悶えなどの要素を絡めて描く手際がすばらしい。ミステリではないが『江戸時代にいる私』は、歴史上の人物を絡めたお話の運び方と、何よりラストの1行の余韻が素敵。まだまだ読むべき風太郎作品がたくさんあるのは幸せなことだ。
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なかなかに下世話な話が多いと言うか、男女関係から揉める話ばかり。好きなんかしら。
しかもほとんどの話で、売笑婦やらパンパンやらと連呼するので、時代が変わったとは言え、こいつはなかなか。教科書は改変されても小説は生き残るからね。
と言っても、時代背景と話の面白さは別物で、そうねぇPART4のシリアスな感じが個人的には好きかなぁ。ドンデン返しとか、なかなか。
てか表題作の天狗岬の殺害方法意味分かんないよ!雑だろ!って素人ながら言ってみる。