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自分で乗り越える勇気を
2004/08/23 07:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る
満たされる事なんて無いと思えるくらい、次々と湧き出てくる欲求にぼくらはどの様にして向き合っているのだろうか。努力で報われるものもあれば、遙か手の届かないものもある。自分の能力を見極めれて諦めとうまく折り合っても、次にはそのストレスの解消という問題が控えている。大人なら何とか出来る(難しいけど)ものも、中学生となると簡単じゃないのだな。
中学2年生、高橋エイジは高校教師の父親と専業主婦の母親、高校生の姉の4人家族。バスケット部に属していたが膝の故障で休部中。成績は良い方だが今思うように成果が出ていない。クラスに好きな子が居る。友達の幅も広い。ごく普通の中学生だが通り魔事件を境に様々な問題と直面する事になる。恋にスポーツに友情…なんて青春謳歌と簡単には行かない。問題の殆どが突き詰めれば人間関係という言葉に行き着いてしまう。社会人になってもそれは変わらないけど。ただ、中学生には中学生のルールがあるからややっこしい。イジメより告げ口の方が悪、同情より見ぬ振りが友情、優等生より劣等生、ネクラよりネアカ、真面目より不良、などなど。障害は自分の中に、それは自ら乗り越えなくてはならないハードルだった。
中学生といえども善し悪しは別にして自分なりの考えを持っている。でも上手く言葉に置き換えられない年齢は「察しろよ」と足りない言動や行動で訴えるしか方法がないようだ。汲み取ってくれと叫んでいる。そうなんだよな。わかってはいるけど、大人は言葉で求めてしまう。先生や親には言わないのがルールなのに。表面は何事もなく過ぎ去った時代のように見えるけど悩み、闘い、折り合い、何とか乗り越えて来た。エイジもその友達も。プライドを持って乗り越えたAGEだった。勇気が心に響く。
友情というもの
2001/09/05 15:26
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投稿者:典子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
身体中あちこちをチューブでつながれた病人みたいだ。「キレる」って言葉は我慢とか辛抱とか感情を抑えるとか、そういうものがキレるんじゃない。自分と相手とのつながりがわずらわしくなって断ち切ってしまうことが、「キレる」なんじゃないか。学校からキレる。家からキレる。親からキレる。友だちからキレる。わずらわしいことが消えてなくなるわけじゃないけど、チューブが「好き」で結ばれていれば奥に引っ込んでくれる。
カッコ悪いことは許せなくて、親友や友情というのは言葉に出してしまうと駄目なんだよね。「ゆーじょう」になってしまう。でも本書を読んでいると友情というものが懐かしく伝わってくると思う。
2001/08/12朝刊
2001/08/24 22:16
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
どこにでもありそうな郊外のニュータウンで、連続通り魔事件が起こる。犯人は十四歳の中学二年生、主人公の少年エイジの同級生だった。反抗や存在じたいを無視する「シカト」だけでなく、友情、恋愛、家族とのきずななど、教室内外の情景と少年の心情を生き生きと描き出した。
恐らく中学生はこんな考え方をするのだろうと思わせ、それを知りたい親世代の参考にもなる。山本周五郎賞を受賞した少年小説の傑作だ。
(C) 日本経済新聞社 1997-2001