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最も偉大な民族の物語!...まずはこの巻から
2007/05/29 13:05
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コーチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ローマとイタリアに魅せられた作家塩野七生が、15年の歳月をかけて完成させた大歴史ロマン『ローマ人の物語』。ローマの建国から西ローマ帝国滅亡までの1000年を越える歴史を、全15巻にわたって叙述している。
建国から共和政初期までの歴史を扱うこの第1巻『ローマは一日にして成らず』では、イタリア半島内陸部に移住したラテン人の一族が都市国家ローマを形成し、成長し、やがて半島を統一するまでの過程が描かれている。
本書を手にとったときの私は、強大化した国家が弱小国家を次々と併呑し、残虐のかぎりをつくして破壊と搾取をくり返す、歴史上の多くの帝国がたどったのと同じ軌跡を読むことになろうと予想していた。ところが、そこに描かれたローマ人の歴史は、私の期待をみごとに裏切るものであった...
戦争に勝っても敗戦国民を自国民と同等に扱い、やがてローマ市民へと同化させる民族としての柔軟性、開放性。国内で貴族と平民とがいかに熾烈な権力闘争に明け暮れようとも、いざ外国が攻めてくるとそんな反目も忘れたように、一致団結して戦う強固な愛国心。歴史から多くを学び、失敗と挫折の中から立ち上がろうとする気概と向上心。自由と平等を求めながら、アテネのような衆愚政治に陥ることを警戒して寡頭政治としての共和政を打ち立てる思慮深さ...これらから浮かび上がってきたのは、血に飢えた残忍な帝国のイメージとはほど遠い、正義と公正の念に動かされた誇り高く勇敢な、それでいて明るく朗らかな民族の姿だった。
このような姿は、その後長くローマの伝統ともなり、ことに前1世紀のカエサルにおいてそれは、最も豊かに具現化される。しかしローマ人のこの英雄性は、初期ローマ史を扱ったこの第1巻においても、十分に感じ取れるだろう。むしろ、この時代にこそそれは最も素朴なかたちで現れており、それゆえに第2巻の『ハンニバル戦記』とともに、『ローマ人の物語』全巻を通じて最も鮮烈な印象を私たちに焼きつけてくれていると、私は思う。
また、自由と平等、世界の平和と共存を説く21世紀のわれわれであるが、現代のどの国が古代ローマ人ほどに、これらの概念を現実的にとらえ、国家の安全保障や社会正義の問題に真剣に取り組んでいるだろう?塩野の膨大な著作は、現代のわれわれがローマ人にはるかに及ばないことを覚醒させてくれる。もしかしたらローマ人ほど偉大な民族はいなかったのではないか!この第1巻を読むだけでもそんな気分からは、逃れられない。
古代に対する優越感をもち続け、歴史の進歩というものを信じているあなた...まずはこの巻から読んでもらいたい!
電子版によりローマ人を携帯できるようになりました
2018/02/09 17:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hontoカスタマー - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は記念すべきシリーズ第1巻ということもあり、なぜローマがこれほど長期間にわたって繁栄を享受できたのかを考察しています。まず、ローマは宗教に関して寛容であり他民族の対立関係よりないほう関係に進みやすかった点を上げています。まさにイスラムとの文明の衝突を実践している現代と対極になります。また、階級制度は存在したものの、執政官制度で王政の利点を生かし、元老院制度によって貴族制の利点を活かし、市民集会によって民主制の利点を活かした政治システムにおける柔軟性をあげています。翻って現代はフランス革命以来の自由・平等・博愛を掲げているものの、理想に反して宗教的に非寛容でありグローバリズムという単一化から歪を緩衝できない不安定な状況であること分かります。
科学技術は格段に進歩しているものの、個の欲望を極端に肯定する現代社会には新たなパラダイムシフトが必要なのではないかと思わせる書籍でありました。
壮大なる一歩
2017/08/07 19:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人から見ると果てしないとさえ言いたくなるスケール。ローマ帝国が作り上げたものが今もヨーロッパの芯なのでしょうね。
柔軟性 寛容性
2024/01/07 18:02
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者塩野七生の畢生の作品「ローマ人の物語」のプロローグである。三つ子の魂百までも ではないが、古代ローマ帝国がその大をなした 1000年を永らえた理由が、その建国当時からあると思う。柔軟性 寛容性 非宗教性である。現代でもユダヤ キリスト イスラムが争いの一要因となっていることを考えると、古代ローマの偉大さに改めて感銘を受ける。
ローマの歴史の教科書
2023/12/23 17:52
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前から知っていたけれどなかなか踏ん切ることができず読んでいなかったけれど、塩野さんの他のエッセイを読んで読みたくなりました。
このボリュームを持ち歩ける幸せ
2015/08/30 23:19
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投稿者:まいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
ローマ人の物語全15巻を1年近くかけて、図書館で借りて呼んだのは数年前。無論これで全てローマ史に通じる事が出来る訳では無いけど、塩野七生さんのこの大作に触れたおかげで、かつて自分が習った世界史が、まったく持って「西洋から直輸入された、一神教礼賛、キリスト教中心の世界史」であることに気づくことが出来たことに、感謝しています。いつかは手元に置きたいと考えていましたが、置くだけでも大層なボリューム。それがありがたいことに、最近すべて電子文書化してくれました。早速購入し、いつも持ち歩くipadの中に入っているこの安心感。安心しきってしまって、まだ最初の「前書き」しか読んでいないのが、問題ではあります。
学ぶことが多い本
2001/02/22 16:48
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:masami - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ローマは一日にして成らず」。非常に含蓄のあるフレーズだと思います。ローマ帝国に限らずあらゆる人間の営みは、長い間の人間の弛みない努力によって築かれたのである、という当たり前のことを改めて認識させてくれる本です。
壮大なローマ帝国がいかに築かれ、そして滅びていったのかということから、われわれは学ぶことが多いように思います。
塩野七生がやった。
2002/01/27 19:37
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どぎい - この投稿者のレビュー一覧を見る
子どものころから歴史物が好きで吉川英治や司馬遼太郎を読みふけった。中学・高校のころ,世界史は好きではなかったけど,“シーザー”や“ハンニバル”という英雄がいたことは知った。でも日本にはこんな美味しそうな素材を扱う作家もほとんどいないこともわかった。
悲しかった。ずっと待っていた。
……塩野七生がやった。