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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
4巻は、一巻まるごと1945年3月19日の名古屋大空襲を描いています。あいたちは、焼夷弾が雨のように降り注ぐ街を、生きたいという執念で走り抜けます。
かわいい絵なのに、描かれている現実は重く、胸が締め付けられます。
家には火がつき、目の前でバタバタと人が死に、防空壕に入った人も・・・。読んでいて本当に苦しくなるような展開です。
おざわゆきさんは、お母さんの体験をよく聞きだし、よくここまで調べ、描き上げたと敬服します。
名古屋の街に炎が走る
2016/05/05 22:47
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投稿者:suka - この投稿者のレビュー一覧を見る
逃げても逃げても襲いかかる空襲。燃えさかる炎に人々は、なす術もなく無差別に命を奪われていく。
戦争の不条理さを感じずにはいられない。
昭和20年3月19日名古屋大空襲そのもの
2016/03/27 17:05
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和20年3月19日午前2時、名古屋市上空にアメリカの爆撃機が現れた。
この第4巻は、ほぼ1巻すべてを尽くして、この日の名古屋の状況が描かれている。
いわゆる空襲というのもについては、この70年の間に何度も手を替え品を替えて様々なところで描かれてきただろうし、語られてきただろう。だが、その多くは、東京大空襲であり、広島、長崎であり、それを持って戦後に生まれた我々は追体験していた。
それはそれで大切な体験ではあったけれど、どこか歴史の1ページを知らされていたという面もなくはない。
だが、この『あとかたの街』で描かれているのは、そうした追体験とは一線を画しているところがある。
これは極めて個人的体験になってしまうが、名古屋は私が生まれ育ち、現に生活している街で起きたことであり、父親をはじめ多くの親族が実際に経験した空襲の話なのだ。ここに登場する木村あいたちは、あるいは私の親族と何も変わらないのだ。
というわけで、この第4巻は衝撃の1巻だ。
焼夷弾のリアルさも驚きだったが、ところどころ登場する地名や建物は身近で、70年前(というより、自分が生まれる10数年前のことなのだ)にあそこがこんなだったのだ、こんな状況になってしまったのだというのが身につまされてくる。
もちろん、個人的な体験を離れても、このマンガは様々なことを教えてくれる。
大規模な空襲前の日本の状況がどんなだったのか、空襲がどのように迫ってきたのか、その後もどのような状況が「国民」に降ってわいたのか、これらは名古屋だからどうとか東京だからどうということなく、当時の日本を襲ったことどもだということも改めて知ったように思う。
そして、これも改めて思う。
私は父親をはじめとする親族から、ここで描かれていることのどれだけを直接聞いたことがあるのだろうか。
実際に体験した人たちは語ることもつらいものだったのかもしれない。
そんなことも改めて考えさせられた1巻だった。
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夜間の空襲の最中、家を失い、焼け出された人々が逃げ惑う。米軍が虫けらのように日本人を殲滅しようとしたことに戦慄。
逃げても逃げても地獄絵。
防空訓練なんて通じない。防空壕に逃げ込みたかったのに、自分の命が精いっぱい。エゴによって生死を彷徨う。そして、そのエゴによって天罰のように人が死ぬ。
メインキャラクターの1人があっけなく犠牲になったのには驚いた。作者の母がモデルなので、あくまで作りごとの部分だとは思うが、当時、珍しくはなかっただろう。
空襲から一夜明けたのち、主人公の旧友の悲劇に立ち会う。焼け出された一家は遠縁に身を寄せるが、そこでも厄介者扱い。
戦争が怖いのは兵器だけじゃない。
同じ民族、同じ国、同じ地域、家族、きょうだいが、生き別れになり、そして憎しみあってしまうこと。
ここまで戦時下の人の荒みを描き切った戦争漫画もないだろう。たまにある、かすかな美談に泣ける。
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今年の漫画家協会賞を獲ったということで、読み始めた。4巻まで一気に読む。今まであまり語られてこなかった東京大空襲ではなく、名古屋大空襲を被災者目線で描き切った漫画として、ものすごい力作だった。そして、現代だから描けたのかもしれない、と思う。
空襲漫画で、1番に思い出すのは、1970年代に「りぼん」で不定期掲載された巴里夫氏の一連の東京大空襲漫画である。それは取材もしただろうが、氏自身が空襲被災者だったことが迫力を産んだ漫画作品群だった。巴里夫氏は第一世代の「空襲漫画家」である。おざわゆき氏は、第ニ世代だ。母親が当時15歳の少女だった。名古屋大空襲で九死に一生を得た。今も健在で、詳細な聞き取りと、ピースあいちなどの協力を得た、具体的な取材の成果によって、当時の社会状況を忠実に再現し、なおかつ人々の感情をも描き切ることが出来たのは、実際あと10年後だったならばむつかしかったかもしれない。
当時の配給事情、高等科の畑作業や軍事教練、やがて学徒勤労動員、大日本国防婦人会、秘密にされた東南海地震と37日後の三河大地震、三菱工場に空襲、友だちの死、疎開、そして一夜の出来事を一巻かけて描いた名古屋大空襲。役に立たない防空壕、焼夷弾の恐怖、一瞬の判断が生死を分けた家族の避難行動、火柱の群れ、消防団の犠牲、防空壕の蒸し焼き、川の地獄絵、エトセトラ、etc。
庶民目線から見た「戦争漫画」の名作が出来上がっている。本作は今年の12月刊行予定の第五巻、終戦後「あとかたとなった街」を描いて終わるそうだ。
2015年8月読了
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戦争中に名古屋に住んでいた女の子の体験談。今のところの最新刊。既刊を順に読んで追いつきました。
実は作者のお母さんが主人公だそうで。4巻は昭和20年に名古屋で体験した大空襲の様子です。
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ただ生き残るために。
ただ祖国のために。
あの時の人のほうがよっぽど生きているな。
今の自分は周りに物がありすぎる。選択していかないといけないと思った。
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この感が1番迫力を感じました。生徒隣合わせの中生きるために必死に逃げ続ける。家族の絶対に生きてやる!!という強い思いが伝わってきました。そして、防空壕の中で蒸し焼きになってしまった人々を見て、少しの違いでこうなってしまうのだと感じてゾッとしました
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名古屋大空襲で逃げ惑う主人公一家を描いた巻。火の海で焼け出された人々のリアルな描写にひたすら圧倒された。
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帯文(裏表紙):昭和20年3月19日、午前2時すぎ。氷点下4.6℃という寒さの中、ついにあいの真上にやって来た空襲。初期は航空機産業を破壊する目的だった。しかし今、名古屋大空襲は、無差別に市民に牙を剥く――。全てが焼かれ、逃げ場はなく、木村家は乳母車と共に立ち尽くすばかり・・・。
目次:第22話「炎上」,第23話「火の道」,第24話「無辜の民」,第25話「果ての街」,第26話「思い」,第27話「残夜」,第28話「鎮魂」
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名古屋空襲、すさまじく卑劣な攻撃に恐怖と怒りで度々本を置いて一呼吸しながら読みました。
こんな攻撃をなぜ民間を狙って出来たのだろうか。
戦争は人間1人1人なんてどうでも良いのだな、というのを感じる。
ミサイルの形状や仕組みもとてもわかりやすく描かれている。
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3月19日未明〜名古屋大空襲(第一派)深夜に照明弾を投下し名古屋産業を壊滅させようと計画的に、爆撃目標を定め迎撃(消火活動も)しにくいのなか、「先に木造家屋が燃えやすいようにナパームを散布してから」焼夷弾を雨あられと落としてきた。財産に執着した者は家屋もろとも焼かれた(まるでボンベイの噴火)。あいたちは大八車に乗せて逃げ惑い、火炎大竜巻に巻きこまれなかったのは幸運、大勢の人が避難した場所が全員死亡の惨状。防火訓練(焼夷弾をすばやく処理)も防空壕もマイナスに/生活基盤を失った被災者を出すのが空襲の目的か?