資本主義成立の要因には贅沢があるのか?
2018/11/29 12:14
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、かの有名な経済史家であるマックス・ウェーバーと並び称されるヴェルナー・ゾンバルト氏による作品です。彼は、ウェーバーとは全く異なる見解を唱えた人として有名ですが、その際たるものに、資本主義成立の要因があります。ウェーバーはプロテスタンティズムの禁欲主義を挙げたのですが、ゾンバルトは反対に贅沢をあげました。そして、彼はその贅沢は姦通や売春とも深く結びついていたとし、大きな反響を巻き起こしました。日本ではあまり知られていないゾンバルトですが、この機会にぜひ、彼の思想を学ばれては如何でしょうか。なかなか興味深い内容です。
2000/9/3朝刊
2000/10/21 00:16
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
M・ウェーバーと並び称された経済史家の代表作。初期の資本主義がかたちを成すにあたって、「ぜいたく」の競争と発展が、その原動力にもなった「非合法的恋愛」がいかに大きな役割を果たしたかを歴史的に検証した。ブランド信仰と密接に結び付いた、消費主導型の今日の資本主義を考察するうえで、八十年余り前の刊行時と比べても、論考の独自性はかえって目立つ。金森誠也訳。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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ちょうどプロ倫と対極をいく本でしょうか。ウェーヴァーは哲学の体系の中に組み込まれているという意味で感動するけど、ゾンバルトの理論が今となっては研究の対象になるべきだなぁ。
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名著とされるらしいので読んでみました。理論もので研究の内容が当時の文献から辿る的なものだったので当時の通貨単位とか経済レベルがわからないとイメージがわきづらいのですが、後半に行くにしたがって資本主義論が集約されていく作りのようです。文体は平易だから「〜の倫理と資本主義の精神」よりは読みやすいかも。
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経済なんて真面目に勉強したこともないし、政治も歴史もそんなに詳しくない。
でも、タイトルが素敵だったのと、知らないだけじゃだめなのかな、と思って手に取った本。
もっと、予備知識があれば、筆者の言わんとすることが深く理解出来るのかもしれない。ただし、私のような経済初心者でも、充分楽しめました。
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この本を一言で表すと、
*ヨーロッパ人の見栄と実情の本
【この本を読む目的、動機】
好きな人を振り向かせるために過去、現在の著名人達は努力を惜しまなかったという話はよく聞くが、実際、どこまでの効力を発揮したのか知りたいと思った。
贅沢は資本主義にどんな影響を与えたのか?
【この本から得られること】
3つあります。
1、ヨーロッパ諸国の16世紀から18世紀頃の経済の動き
2、贅沢ばかりしていた人々の本当のお財布事情
3、非合法恋愛の発展
贅沢することがステータスだったこの時代。
その後ろ側には女性達の「贅沢」が世の中のニーズを作り出していた。
お金を使うことが最大のステータスのため、借金してまで贅沢をし続けていたヨーロッパ人の見栄ってすごいと思った。
そこまで見栄を貫き通すから、発展したのかとも考えた。
人間って欲深いね。いつの時代も
独身男性は既婚の女性を寝取ることで地位を得たり、
浮気をすることで(男性の)社会的地位を得たりする。
これぞ男性にとっては、贅沢ですね。
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資本主義の生みの親を贅沢にあるとする、ウェーバーとは真逆の主張。しかし歴史は一つの原因だけで動くのではなく、様々な要因が絡み合って動くものである以上、ゾンバルトの考えもまた是なのです。
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資本主義が成立した背景には恋愛があったという結びつきそうにものを結びつけるはなし。いまの日本をこの視点でみてみるとおもしろいものが見えてきそうだ。
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ブックオフで見つけたとき、題名からポストモダンでニューアカのオッペケペーな本かと思ったら、マックス・ウェーバーと同時代のドイツ人経済学者だったw。資本主義の成立は女のための贅沢が宮廷から市民に移行していく過程に負うものである、と努めて実証的に書いてある。たまにはこういうかっちりした本を読まないと頭が悪くなるような気がするw。
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タイトルからラノベ臭がしたので買った。ウェーバープロ倫とあわせてよんだ。ウェーバーが資本主義成立の原因を行動的禁欲に帰したのに対して、ゾンバルトは一見真逆の奢侈こそがその原因だとした。一読した程度での理解だが、ウェーバーが分析しているのは生産側の要因で、ゾンバルトは消費側の分析だったので、両者の主張は両立し得るものであるように思う。
同じ現象を分析するにしても、現実のどの部分を切り取って分析するかによって全く異なる説明がなされるのは、社会科学の難しいところでもありまたそれが面白いなとも思った。
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固い学術書かと思って読み始めた。
学術書であることは間違いないが、ずいぶん雄弁な語り口で驚いた。
訳者によれば、経済史家として稀に見る名文家だそうだ。
なるほど、そんな感じがした。
貴族からブルジョアの贅沢を支える生産機構が、資本主義の体制を作り出した・・・というのが骨子であるそうだ。
西洋史自体に知識がなく、ピンとこないところもあるのだが・・・
(実際、フーコーとかも、どこに注意を払って読むべきか、困ってしまうことが多い。)
屋外で、大勢の家来に大盤振る舞いをするという「男」的な贅沢のありかたから、都市化が進んで、大勢の家来がもてない生活となることにより、贅沢が家庭の中に囲い込まれていくという指摘は面白かった。
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野心や華やかさを求める気持ちなどがら贅沢を発展させた。人を贅沢に向かわせる原動力に女性の存在があった。資本主義発展の要因に禁欲や勤勉ではなく、「感覚的な喜び」とするあたりが異色で魅力的だった。
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一時期はマルクスかゾンバルトか、と言われたほどもてはやされたという著者の代表作。資本主義が生んだのは何か、というのがメインテーマ。結論を言えば女性が宮廷で影響力を増して奢侈にかけるお金が増えて、高級品の供給量を増やすために資本主義が発生したということらしい。
中身の半分近くは取引の情報などであまり読まなかった。読んでも数字が大きいのか、小さいのか分からない。現在の単位との比較がないため全然目安が付けられなかった。
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資本主義の誕生を貴族の贅沢の延長線上に捕え、彼らが買い集めた奢侈品こそが源泉なのだとする本書はヴェブレンの『有閑階級の理論』と共同戦線を結び、ウェーバーの『プロ倫(略)』と対峙するかに見えてその実補完関係を形成する。貴族的贅沢も宗教的禁欲も、共に資本主義に至る道は用意されていたという事なのだ。そして本書が魅力的なのはそれに加え、ルネサンス以後における愛の世俗化の道を巧みな文学的表現と様々な資料の引用によって描き出している所にもある。15世紀末のローマは娼婦が人口の7%強を占めいてたとかインド人もびっくり。
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世の中は、男が女性に高価な贈り物をしたり、贅沢をしないと、うまくいかなくなる。
中世の貴族たちの恋愛と贅沢三昧がなければ、資本主義は生まれなかった。 貴族が愛妾に貢いだり、豪華絢爛な宮廷生活、祝祭の贅沢があったから、音楽家や画家、馬具や装飾品の職人、大工などの市民が潤った。 最高の贅沢品だった香辛料や香水、医薬、染料、極上の絹、象牙、陶器などを求めたから、植民地貿易が発達した。
今の日本も、ステータスやゆとりを感じられる高級品をもっとつくって、海外で売らなければ。 新興国で安物を売ったり、日本へ逆輸入している場合ではない。いろんな意味で、恋愛と贅沢は的を得ている。