「無知の知」の意味がわかる本
2015/10/15 18:44
8人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nagashiman - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本はタイトルからは想像ができないほど読後の感銘が味わえる本だ。例えば著者の主張の1つである「科学技術の発見は抽象レベルのまねから生まれる」と初めて聞いた人は,「何のことやら」と思うに違いない。しかし,読み進めていくにつれて主張の納得性が高まり,「うーん」と唸ってしまうのは読者ならではの感想だろう。最近の出版書にはタイトルに「わかりやすい」とか「よくわかる」という言葉が多用され,あたかも「わかりやすい」ことが優良図書の代名詞のようになっている。著者は具体的な「わかりやすさ」の上位概念として抽象化を置き,抽象レベルのまねが新規ビジネスにつながると訴えている。ただし,万人に「わかりやすい」具体的表現と理解されにくい抽象化概念の優劣を競う話ではない。むしろ具体レベルと抽象レベルを使い分けがコミュニケーションにとって重要であることを説いているのである。1回の通読ではなく,「具体と抽象」の真意がわかるまで何回も読み込むほど感銘できる本である。まさに名著だと思う。
難しそうな書名ですがマンガもあって読みやすいです。
2018/03/11 12:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
具体と抽象。具体的な話しがやさしくて、すぐれていると、誰もが思う。しかし、プロジェクトの進み具合や相手の理解度によっては、具体的な話しをしているつもりでも、まるで伝わらない。むしろ抽象的に話すほうが伝わるとの指摘は、すごく新鮮だった。
具体と抽象のやりとり
2016/06/23 16:49
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やましお - この投稿者のレビュー一覧を見る
具体と抽象、というと、
具体的=わかりやすい、抽象的=わかりにくい、というイメージをもつかもしれない。
たとえばなにかがふろしきに包まれているとき、
「それなにが入っているの?」と言われて「カレーの材料」と答える、これは抽象的である。具体的にはふろしきをひろげて、じゃがいも、にんじん、カレールー・・・・・・と見せていくことになるが、さて、どちらがわかりやすいだろう? てっとりばやいだろう?
こういうところにも抽象のわかりやすさはある。
実際には、具体と抽象はグラデーションになっていて、
だから一概に具体がいい抽象がいい、これは具体だこれは抽象だ、
という言い方はあんまり意味がないのだけれど、とにかくそのあたりの話がいくつもの視点でテンポよく説明されている。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ekko - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある資格の勉強において、講師が勧めていた1冊。
「具体」と「抽象」の概念を、きちんと理解し捉えることが、他者とのコミュニケーションにつながっていく。
4コマ漫画や図解によって、一見難しく捉えられがちな「抽象化」がすんなり頭に入ってきた。
現在なかなか現物を書店で見ることはないが、興味のある人には取り寄せてでも読んでほしい。
世の中の見方を変えてくれる。
2019/02/06 00:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コム - この投稿者のレビュー一覧を見る
大変、参考になる本。文章も読みやすく、わかりやすく抽象、具体について書かれていた。
抽象化がこれほど優れた概念だったとは
2020/03/29 23:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
私たちが何気なく利用している具体例を紹介しながら、抽象化という概念を説明しています。具体例を通して、抽象化の様々な利点についても知ることができました。
特に、議論が噛み合わないのは抽象化のレベルがずれているから、という意見に納得しました。Twitterでの論争は、抽象化のレベルがずれていることに起因していることが多い気がします。
仕事、政治、私生活など、人と関わるすべての場面で活かせる内容が書かれています。文章も読みやすかったです。
人間と動物の違い
2021/04/22 01:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あゆみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
抽象的な次元で物事を考え、コミュニケーションをとることができるのが人間と動物の違い。
抽象と具体を行き来することで活かせることは、
1.コミュニケーションの円滑化。
会話の際、抽象度のレベルが異なると、人と話が噛み合わなくなる。同じレベルの次元で会話を進めることが大切。
2.イノベーション
新しい発明は既存の事象の組み換えから生まれる。具体的なものをそのまま真似をするのはパクりだが、一度抽象化した概念から具体的なものに落とし込めば、それはイノベーションになる。
投稿元:
レビューを見る
抽象的な話が通じる人と通じない人がいる。また、なかなか具体的な話にならないのはやきもきする。職場では役職、経験など立場によって物事の捉え方が根本的に違うことにより噛み合わないのだから仕方がないのだなと改めて気づかされた。じたばたしてもわかりあえるはずがない。最初から違うのだから。具体と抽象どちらもバランスよく持ち合わせていたい。
投稿元:
レビューを見る
2回目の読了。
短いけどいい本。
抽象化はシンプルであればあるほどいいと中に書いてあるがそれを実践している感じ。
進捗報告でうまくやる人とそうでない人の差は抽象化力の差だとつくづく思う。
具体的な事象を知れば知るほど抽象的レベルしか知らない上位層への報告は抽象化しないと伝わらない。
抽象化こそビジネスマンが大切にすべき能力。
国語や数学という本質的、抽象的な学問を学ぶことの重要性は今になって思う。
考え方や思考力を鍛えるには抽象的なことを学び抽象化して表現出来なければ身につかない。
国語: 出来事、人の主張を解釈して表現する力
数学: 事象を「数」という抽象物で表現する力
抽象化と具体化の往復。
ズームアウトとズームインの視点。
最近意識的にやっていることをより上げた本でなかなかの良書。
抽象化とは一言で言えば、要するに。。。と言えること。
それが出来る人は会議でもちょっとした話し合いでも組織-会社経営においても的確な考えを持って発信出来る人であり、いわゆる「出来る人」なんだと思う。
印象的だったのは、
マジックミラーの話(抽象化世界を見えるようになった人は具体世界を見れるがその逆は難しい)
と一方通行の話(一度抽象化世界が見えて来ると中々具体世界に戻れない。一度コンサルを経験すると開発に戻れないという話も頷ける)。
投稿元:
レビューを見る
今まで抱えていた問題やモヤモヤしていた気持ちは、具体と抽象を意識して考えてみると、だいぶすっきりするのかもしれない。苦笑交じりに読む漫画とともに、とてもわかりやすい説明でよかった。
投稿元:
レビューを見る
個人的には読みやすく理解しやすい内容だった。
若手のうちから身に付けなければ残念な中堅社員になることが想定される。仕事をしてるとどうしても具体を重視する傾向になり大きな枠で捉える事が出来ない時がある。職場は抽象を嫌う人だらけなのでこの傾向が強い人は上の考えをくみ取る力がなく、文句ばかりで言ってる気がする。
投稿元:
レビューを見る
上流と下流、コンセプトとユースケース等など抽象と具体の関係にある事柄を元に、両要素間の観点の違いを如実に描写する。同著者の「問題解決のジレンマ」も合わせて読むと、抽象とignorant managementを関連付けてよく理解できる。概念の抽象度を上げ構造化を図る事で「未知の未知」の状態から「未知の知」に至ることができるといったことか。
投稿元:
レビューを見る
2015年の25冊目です。
タイトル通り、具体とはなにか?抽象とは何かをわかりやすく、途中で、4コマ漫画を入れながら説明しています。
一般的に「抽象的なのでよくわからな」と他人から言われたことが多くの人にあると思います。
私もそういう経験があります。
この場合、抽象的=あいまいでわかりにくいものという解釈だと思います。
本書では、抽象の本質的な意味を解説し、むしろ新しい考えや物事の進化のためには、抽象化が非常に重要であると説いています。
この本を読んで、もう、「あんたの話は抽象的でよくわからん」と言われても気分を害さなくてもいいと思えました。
確かに、曖昧でわかりにくい伝え方、表現方法はありますが、それが抽象的だという方は、間違った考え方だと思います。抽象化がなければ、スムーズに話が進まないことが現実には多く、無意識に多くの人は抽象化することで、円滑なコミュニケーシンをしています。
抽象とは、特徴を抽出するという意味で、「枝葉を切り捨てて、幹を見ること」です。個々にある共通の特徴を見つけ出しそれを一括りにできることを抽象化できるといっています。例)
私は魚類について研究しています。は「あじ」「さんま」「タイ」「マグロ」「。。。」といった個別の魚の名前を挙げて説明することは煩雑で、却って相手の理解度を低下させます。
また、具体と抽象にはレベルがあって、どんどん具体方向、抽象方向に進んでいけます。
魚類をさらに抽象化したら、私は、生物について研修してます。となる。具体化は、マグロの中のカジキマグロについてとかになる。
また、抽象化の重要な役割として、関係性を一般化して法則化できることがあります。F=maのように。これがなければ、科学技術の進歩もあり得ませんでした。
さらに、大きな方向性や将来ビジョンを立てるのにも有効です。
わかりやすさだけが求められ組織や社会からは連続的な変化は生まれても、大きな革新的な変化は生まれない、抽象化の概念を持てないと、本質的な変化を見いだせなくなってしまう。
抽象化=分かりにくく悪いことというレッテル貼りは、抽象的な概念構成による本質へのアプローチが苦手な人が創りだしたステレオタイプなのかもしれません。
投稿元:
レビューを見る
考え方に関する本。
一般に、抽象的=分かりづらい ⇔ 具体的=分かりやすい、という対比で捉えられがちだが、具体と抽象の構造を的確に捉え、役割を理解すれば、もっと議論や前に進む、抽象を毛嫌いしないようにしようよ、という提言がなされている。
ある視点に立てば、具体は抽象になり、また別の視点に立てば抽象は具体になる。例えば、やり取りがなぜかかみ合わないのは、それぞれの説明力や情報量の問題ではなく、この「どの視点に立っているのか」の共有が曖昧だから引き起こる悲劇。
これは、プランニング的にいうと、戦略と戦術の話に似ている。お客様への提案が外れたとき、それはきっと見ている世界が違った。プランナーとして、お客様の見ている世界にどこまで迫れるか、そしてそれを踏まえてどこまで超えられるかが肝となのでしょうね。
そんなことを示唆してくれる本でした。
投稿元:
レビューを見る
具体と抽象。
今まさにめちゃめちゃ悩んでいる事象を冠した本書には興味しか湧かなかった。
抽象化することの難しさと汎用性はあるが、それが伝わるかどうかは受け取りての抽象スキルに依存するので、
そこにはやはり再度具体性を帯びさせなければいけないんだろうなと、感じていた事などがまさに書かれていて良かった。
最後の方に抽象化は生きづらいという点も含めて、なんかとっても共感できる内容だった。
僕の中では抽象化するための方法って2つあると思っていて、1つはヘーゲルの量質転化の法則。
これはたくさんの量が集まる事で必然的に抽象パターンが特定されて抽象化される。
もう1つがアウフヘーベン。これは異なる2方向のレイヤーのコリジョンが浄化されて抽象化されるパターン。
どっちの方がいいとか悪いとかはわからないが、この辺かなと思っている。
で、抽象化パターンはいいんだけど、結局今悩んでいるところは抽象化された事象をいかに具体化するかの箇所に悩みがあるのだが、よく考えれば、それってパターンが十人十色なので、本として抽象化できるわけないよな。
でも、簡潔にまとめられていて、とても良かった。
おすすめ。
■目次
序 章 抽象化なくして生きられない
第1章 数と言葉 人間の頭はどこがすごいのか
第2章 デフォルメ すぐれた物まねや似顔絵とは
第3章 精神世界と物理世界 言葉には二つずつ意味がある
第4章 法則とパターン認識 一を聞いて十を知る
第5章 関係性と構造 図解の目的は何か
第6章 往復運動 たとえ話の成否は何で決まるか
第7章 相対的 「おにぎり」は具体か抽象か
第8章 本質 議論がかみ合わないのはなぜか
第9章 自由度 「原作」を読むか「映画」で見るか
第10章 価値観 「上流」と「下流」は世界が違う
第11章 量と質 「分厚い資料」か「一枚の絵」か
第12章 二者択一と二項対立 そういうことを言ってるんじゃない?
第13章 ベクトル 哲学、理念、コンセプトの役割とは
第14章 アナロジー 「パクリ」と「アイデア」の違い
第15章 階層 かいつまんで話せるのはなぜか
第16章 バイアス 「本末転倒」が起こるメカニズム
第17章 理想と現実 実行に必要なのは何か
第18章 マジックミラー 「下」からは「上」は見えない
第19章 一方通行 一度手にしたら放せない
第20章 共通と相違 抽象化を妨げるものは何か
終 章 抽象化だけでは生きにくい