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世紀の使嗾者イアーゴー
2021/05/05 10:58
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投稿者:H2A - この投稿者のレビュー一覧を見る
イアーゴー。自ら悪事をなさずに他人の考えや判断を言葉巧みに操る使嗾犯としての悪辣ぶりがすごい。終盤までイアーゴーは善人とさえ見なされて、多くの人物たちが不本意な死を賜る中で最後まで生かされるが、緩慢な死である拷問にかけれることを告げられる。オセローは訳者も言うとおり終幕寸前まで劇の主人公ではなく悪計に翻弄されながら、最後の瞬間に自決を果たして不名誉な生から開放される。不条理きわまりない悲劇。
嫉妬
2020/07/28 13:14
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投稿者:芋栗 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言わずと知れたシェイクスピア悲劇の1つ。個人的はシェイクスピアの作品は戯曲のため、映画と併用して読むとより楽しめる。誰もが持つ嫉妬という感情について考えた。
「閃く剣を鞘におさめろ、夜露で錆びる」のセリフで有名なシェイクスピア四大悲劇のひとつ。青春学園物としてアメリカで映画化されたけれど…。
2002/01/16 12:52
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投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカの青春学園物じゃあ、ちょっと食指が動かないなあと、その映画「O(オー)」は見に行っていない。本当はそれを見てきて、有名なセリフの場面がどう置き換わっていたかとか、人間関係がどうなっていたかとかレポートすると、より意味のある情報提供になるのだろうけれど…。
主人公であるムーア人のオセロー将軍にどうもいま一つ感情移入ができないで読み終えた。「ムーア人(回教徒とほぼ同義)のくせに出世しやがって」と憎しみを抱く旗手のイアーゴーの奸計にまんまとはまり、美しく知恵もあって清楚という申し分ない妻デスデモーナの貞操を疑う。
人の計略に足を引っ張られて我を失い、大切なものを失っていくという流れの非情さは、経験からしてこんなものだとは認めるのだけれど、どうもなされるがままという主人公ではカタルシスが募っていくばかりだ。その辺、訳者による解題にも言及されていたので、最後に読んで腑に落ちた。歌舞伎で言うところの「辛抱立役」だという指摘である。
疑念を自分の内側に閉じこめ、それにじっと堪えている人——いるよなあ、そういう人って…と思って、ふっと家人の顔が思い浮かんできた。…ま、まずい。
さらに、他のシェイクスピア悲劇のように、主人公の運命がそのまま彼の属する国家や国民の運命を左右しない、破局ののちに新秩序の再建が暗示されずに終わってしまうことへの物足りなさについても言及されていて、なるほどと思った。それはリドレーという編者による解釈らしい。
国の運命を変えるような大がかりな悲劇ではなく、オセローが起こす事件が家庭悲劇という狭い枠を越えていない。まさしくその特徴こそが、アメリカ版青春学園映画を企画として可能ならしめた点なのかもしれない。まあ、一生徒の恋愛沙汰が学校や教育界を変えていく…という設定があったとしたら、それはそれで面白そうではあるけれど。
この話で、むしろ魅力的に映るのは奸臣であるところのイアーゴーである。でも、彼は決して痛快な悪漢ではなく、品の無い卑しくずるい奴である。旗手という自分のすぐ上のポストにいる副官キャシオー。そのいい男の足も引っ張ってやろうと、イアーゴーが思いついた計画は、オセローの妻デスデモーナとキャシオーが不倫の関係にあるというでっち上げである。偶然手に入れたデスデモーナのハンカチ(オセローの母の持ち物であったのをプレゼントされた)をキャシオーの部屋に置いておくという、はたから見ると単純なワナ。ハンカチをイアーゴーが手に入れたのは、彼自身の妻を通してなのだから、悲劇のあとですぐに足がついてしまうという愚かさだ。
しかし、このイアーゴーの卑屈な性格と愚かな計略は、私という小さな人間に巣食いやすい「悪」を象徴している。
オセローに「しっかりしてくれよ」と不満を感じハッパかけながら、それでも一気に読ませられてしまうこの戯曲の牽引役は、まちがいなくこのイアーゴーの口から滑り出る、詩の心を持った悪魔のささやきであった。
四大悲劇の中で最も影の薄い主人公。
2018/11/25 08:52
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
新潮文庫版シェイクスピアを読破しよう個人的キャンペーン二冊目。
世の中口のうまいやつ、悪意でもなんでも自発的意思の強いやつが影響力を持つということなのかとイアーゴーを見て思う。
それに比べ、主人公オセローの影はやっぱり薄い。
解説では辛抱立役になぞらえていたが、台詞から立ち上るオセローの人格はそんなたいしたものじゃない。どう解釈してもザ・勘違い男にして自分ワルクナイ被害者意識に満ちあふれているようにしか思えないなあと改めて感じた。