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悪役が主役
2020/12/29 11:13
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投稿者:こっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
いわば悪役のシャイロックが最後にどんでん返しを食らう話の筋だけど、このシャイロックの存在無しにはこの物語は成立しない。プロレスではヒールが、野球では金満球団が、はたまたキリスト教ではユダがいないとある意味展開しないのに似ている。悪役の描き方が秀逸であり、シャイロックに着目して読み進めると面白いと思います。
変化への意志を
2004/03/17 01:38
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投稿者:無風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
冷血漢の出鼻を挫く。勝利に酔い痴れる。それも悪くない。けれど、それで終わりだろうか。何か大切な裏を、見落としてはいないか。
クリスト教徒は悪意を問われたのではなかった。友を守る為、証文に判を押し、結果として証文を破った。それでも、事実を受け入れる。自ら進んで裁きを受ける。恰も、悲劇の主人公の振舞うが如く。けれど、どこか危うい。クリスト教徒には、裁きを受ける覚悟はあっても、納得がない。「覚悟」と「納得」は違う。納得しなければ、罰につりあう懺悔は生まれない。クリスト教徒を、悲劇の主人公などとは呼べない。事実を《甘受》したにすぎないのだ。
ユダヤ人をして、『みんなこうなのだ、クリスト教徒の亭主というやつは!』と言わしめている。冷徹なユダヤ人の無慈悲ぶりばかりが槍玉に挙がりやすいが、これに限って、正鵠を得ている。皮肉なことに。
もちろん、ユダヤ人は最終的には斥けられなければならない。好意をも裁けという無慈悲を。けれど、ユダヤ人の無慈悲だけを論点に据えて、それで良いのか。一方的で空虚な物語で終わらせて良いのか。
「法学博士」には、逆転へと導く《意志》があった。《意志》がユダヤ人を斥けた。何故、斥けたのか。ユダヤ人を裁く為か。クリスト教徒を救う為か。それだけでは足りない。蓋し、《甘受》を否定する為ではないのか。《甘受》の虚しさを、示す為ではないのか。《意志》だけが、困難な状況に変化をもたらしたのだ。運命への甘えなど一切ない。何かを変える《意志》が、あった。
価値観をダウングレードして読むべし
2023/07/03 21:03
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投稿者:ブラウン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ユダヤ人が今日のファンタジーにおける魔族や鬼のような扱われ方をしていて時代を感じる。軽率に悪事をなして成敗されてスッキリ! なヒールぶりはキャラクターロールとして重宝されていたのだろう。当時の人種観を剥き身で体験できる資料として貴重と言える。
逆転劇の肝となる要素は、行為に伴って当然起こることをあげつらう……なるほど! と一瞬膝を打ちそうになって、いやいや裁判の場でその理屈を通してしまうのはもはやマイノリティを数の暴力で虐めてるのよ。と醒めてしまう。この本は、特濃の色眼鏡で読まなければいけない。
ヴェニスの商人
2001/08/14 04:24
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投稿者:須藤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
色々と問題がないこともない(ユダヤ人に対する偏見?など)と思うのであるが、それでもこの物語の本質は非常にまっすぐであり、正義に満ち溢れている。
若き青年実業家アントーニオが、悪徳高利貸しシャイロックにやむを得ず胸の肉1ポンドを担保にして借金をする。しかし、彼は事故により全財産を失い、担保を支払わねばならなくなる。
そしてその裁判で…というお話である。