投稿元:
レビューを見る
たまには女流作家さんの本を読んでみようか恋愛小説に浸ってみようかと平積みされてたのを全然期待せずに手に取る。あらすじを読んで「娼夫かぁ」んーパッとしないなと思いながらも読んでみたらすっごい良かった!
言葉、心の内のかけひきが続き、娼夫がネタなのに一切そのような場面はない。
主人公の女性は娼夫の男を「たかが娼夫じゃない」と思い込むことによって、男に対する好意と憎悪を処理しようとする複雑な思いにあり、男も女性を「娼夫を買うような女」と見ることによって、女に対する乾いた気持ちと嫌悪にと向き合う。
淡々と進む中、そのうち恋人同士になってもおかしくはないのではという展開にまで盛り上がるのだがそれでも二人は恋に落ちなかった。彼女のプライドが落とさなかったのだ。
その描写がいい!潔い!誇り高い!自分から幕を下ろした勇気に痺れた。
ひとつ、ひと回り年を経た時の処世術が身についた。
投稿元:
レビューを見る
大人の恋愛も「切ない」のだと学ぶ。あとがきいわく“コドモには理解できないであろう精緻な心理描写”らしいが、私は私なりに理解したつもり。
もう一回読み返したいほど面白い作品ではないけど、主人公の年齢(36歳)になったらもっと違う読み方が出来るのか興味があるのでとりあえず自分が36歳になるまでは本棚にしまっておこう。
投稿元:
レビューを見る
なんだかいろいろなことを思い出した。
騙されると感じていてもはまってしまう魅力。
若いということ。
男ということ。
ちょっと悔しさが残るけれど、悪くない。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりに、藤堂さんの小説を読みました。
う~ん!
タイトル通り、女の「プライド」で彩られた小説。
物語は、36歳の女性と、彼女が買おうとした娼夫を中心に進んでいきます。
女性には同年代の恋人と、50代の恋人、二人の恋人がいます。
彼女の、男を手管に取っているのだという女の誇り、
年下の娼夫に、自分を見透かされているのではないかという恐怖、
娼夫の、バカを装っているように見える「賢さ」、
そんな娼夫の感情の揺らぎに影響される自分、
男を憎みたい、
男に手を差し伸べたい、
本当は自分こそが、その弱い内面を吐露して、
男に受け入れられたいのかもしれない。
そんな彼女の揺らぎ。
それらがとても繊細な文章で書かれています。
『胸に宿りかけた淡い怒りを払い落とすように、視線を夜空へ引き上げる。
端の欠けた、薄っぺらなシャンペン色の月がでていた。宇宙の神秘や巨大さに思いをいざなうような月ではなく、なぜかしら世俗のみみっちさを反映しているような月だった。
満月でも三日月でもない不鮮明な輪郭が、そのあいまいさが、そんな想像をかき立てるのかもしれない』
そう、曖昧さの中で、彼女も、娼夫に対する態度を決めあぐねています。
けれど最後まで突き通されているもの。
それがー
「プライド」
ラスト。
この言葉を口にすることは、一般的には「負け」かもしれません。
けれどこの小説の中では、
この言葉を口にすることで、
彼女は女としての矜持を保ったのです。
とても余韻のある結末でした。