明治~昭和の文学に詳しい方向け
2018/05/31 11:03
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投稿者:えぬ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今の文豪擬人化モノにはまり、明治期の文豪について何か学べるだろうかと思い購入。ですが、そもそも明治期の文豪の名前と作品がうろ覚え、読んだことがある作品が少ない状態で読んでも理解が及ばず、教養が深い人向けの娯楽小説のようでした。エロビデオみたいな小説や疾患のある内臓写真(カラー)が大丈夫な人は楽しめるのではないでしょうか。
たかだか100年前の人たちなのだから何ら考えていることに違いはなかった
2019/01/30 11:46
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
二葉亭四迷の葬儀で出くわした夏目漱石と森鴎外が突然にたまごっちの話を始める。まじめな明治の文豪の文学史が書かれているものと思っていた私はびっくりして、何ていう本を読みだしてしまったのかと思ってしまったのだが、よくよく考えてみると明治の文豪だからと言っても、同じ日本人、たかだか100年前の人たちなのだから何ら考えていることに違いはなかったのであろうし、本に書いてある内容もひょっとすると現在の作家がこねくり回している講釈よりもよっぽど胸にせまってくる作品もある。ということで、石川啄木の歌や夏目漱石の小説は残っているのだろう。「河内屋」の広津柳浪や「黒髪」の近松秋江の作品も面白いとは思うのだけれど、誰からも愛される作品ではないから誰も知らなくても当たり前なのかもしれないが、少し寂しい
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作は、日本近代文学の揺籃期を描いた小説。だけど、そこはポップ文学の第一人者である作者だけに、いままで国語の授業や日本文学の講義で習ったものとはひと味もふた味も違っている。たとえば、いま、ぼくたちがこうして書いている文章は言文一致体というが、その創始者といわれる二葉亭四迷や山田美妙の苦悩をつまびらかに再現している。
日本語でロックは表現できるか。それで大激論となった日本のロックの黎明期と似てなくもない。
新しい日本文学を樹立しようと意気込む作家たち。ドストエフスキーなど当時の世界の最先端文学を翻訳しながら、どのように自作に採り入れようかと躍起になる作家もいれば、オリジナリティの創作に励む作家もいる。
国木田独歩や田山花袋らに代表される自然主義文学はオールドファッションだと当時勃興しつつある危険とみなされた社会主義思想に強い共感を抱いていた石川啄木。石川が校正係をしていた朝日新聞社に出入りしていた夏目漱石との交流。森鴎外、島崎藤村などキラ星のごとく輝く明治時代の文豪たちが本作の中では、いきいきと動き回っている。
樋口一葉が登場してくるシーンは、王道をいく青春小説仕立てになっていて、−村上春樹のパスティーシュの如し−ふだんはひねくれた文学ファンならずとも、そのまぶしい青春ぶりをテレることなく賛辞してしまうはず。
伝言ボックスを愛用して、渋谷が大好き、アルバイトでブルセラショップの店長をしているな石川啄木やアダルトビデオ監督に挑戦する田山花袋など、作者は、ケータイ、Web、ルーズソックスの女子高校生など現代のトレンドを巧みに織りまぜながら、ポップにユーモラスに展開している。ある詩人のサイトの掲示板の書き込みあたりが実にうまくて笑える。違和感があるかというとなぜかそれがまったくといっていいくらいない。なぜならば古色蒼然たる世界ではなく、アップ・トゥ・デートな世界をとらえようとしているからだ。
坪内祐三あたりがしきりに明治時代の文学をプッシュしているのは、この時代の多士済々な作家たちや作品、いずれもが爆発的なエネルギーにあふれているからなのだろう。さしずめ明治時代は、かつていろんな生物がいちどきに大量発生したカンブリア期のようなものだ。
メタフィクション、メタメタフィクションと、もうメタメタ…。
日本文学史としても読めるし、ある意味、私小説的部分(作者のご母堂のことやラストに出て来る実子に対しての思いは、まるっきし無頼派作家のよう)もあるしと、かなり味わい深い、読み応えのある、とびきりの小説である。
ブログ「うたかたの日々」
この本を読む前に、読んでおく小説は
2021/04/13 23:12
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
「日本文学盛衰史」となっているが、編年体とはなっていない。それどころか、明治時代と現代が交錯する。作者も出て来たりする。いつもの高橋源一郎である。スポットライトを浴びるのは、明治時代の文学者達だ。
この本を読む前には、夏目漱石「こころ」、島崎藤村「破戒」、田山花袋「蒲団」は読んでおいた方がいいだろう。
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ネット恋愛にはまる横瀬夜雨。黒いミニのスリップから、ピンヒールをはいた形のいい脚をのぞかせタバコをふかす樋口一葉。現代文化を背景にすることで、文豪たちの人物像がより身近になる。理想の文学を追い求めた、彼らの時代は確かに在ったのだ。そして現在、「僕らの時代」もここに在る!
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第13回伊藤整文学賞受賞作。
明治の近代文學、ひいては現在われわれが使つてゐる日本語の黎明期をパロディで綴つてゐる。
下手な文學史の書物を讀むよりも本書を讀んだはうが、近代文學への興味を喚起することが出來るだらう。
さういふ意味で、中學校の國語教科書にでも掲載して貰ひたいものである。
2004年7月18日讀了
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思いっきりまとも、かと思いきやごく自然に妙なことが出てくる。「え、あれ?あれれ?」みたいな。うまく言えませんが。「あ・だ・る・と」のピンの名前がどうしてピンなのかこっちを読んで初めてわかったというどうでもいいような感動(?)があった
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☆10個付けてもいいと思う。
明治の文学者達の小説でありながら作者自身が倒れた話(何故か胃カメラの写真付き)、テレクラに嵌りブルセラショップ店長になる石川啄木、チャットで話題になる斉藤緑雨、AVを撮る田山花袋、バブリーな北村透谷や島村藤村に樋口一葉、作者と育児談義を交わす森鴎外、「こころ」のKは誰だったのかなど縦横無尽で前代未聞の内容である。
しかしその根底には、二葉亭四迷や山田美妙らによって作られた「言文一致」を使って文学を生み出そう、生み出せるのか、いやもしかしたらそもそも文学など不可能ではないのかと苦しむ文学者達の群像が描かれている。「読み手」としては楽しめたが、素人ながら「書き手」である「私」はかなりゾッとさせられた。
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文学史・・・詳しくない・・・
大学のゼミの先生が出演していてその部分は少し笑った。そんな感じで、知っていたらもっと楽しく読める部分もあったのだろうと、惜しく思った。いいものを見たときはいつもそうだけど、その制作姿勢に自分の甘さを痛感。
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最近はまっている高橋源一郎。
そんな彼の代表作と言っても過言ではない2002年伊藤整文学賞受賞作。
全編日本文学に対するパロディ。超パロディ。
高橋源一郎にしか出来ない芸当。
なぜか森鴎外に「たまごっち」をねだる夏目漱石。
伝言ダイヤルにはまり、ブルセラの店長になってしまう石川啄木。
啄木が超貧乏だったのは、女子高生と援助交際しすぎだからって設定になってたり。
私小説の極みに自著『蒲団』をAV映画として監督してしまう田山花袋。
花袋はカメラマンにこう言われる。
カメラマン「でも先生は『露骨なる描写』をやりたいとおっしゃった。先生がほんとにやりたかったのは『露骨なる描写』ですか、それとも文学ですか」
花袋「だから『露骨なる描写』に基づいた文学だよ」
カメラマン「ということは、文学で『露骨なる描写』が出来るとお考えなのですか。」
こんな風にAV監督とカメラマンが語り合う。
なんてシニカル。
さらに、島崎藤村と田山花袋の会話。
花袋「島崎」
藤村「なんだ」
花袋「ちょっと聞いていいか」
藤村「いいよ」
花袋「おまえ、オナニーするよな」
藤村「ええっ?」
花袋「オナニーだよ。オナニー」
藤村「なんだよ藪から棒に。僕は妻帯者だよ。」
花袋「妻帯者がなんだよ。妻帯者だろうと独身だろうと、ふつうオナニーぐらいするだろ。まさか、もうしなくなったなんていわんよな」
藤村「まあ、たまには……」
花袋「じゃあ、オカズはなにを使う?」
藤村「オカズって……」
(中略)
花袋「なんだよ。なに、もじもじしてるんだよ。自然主義の神様が、オナニーの話ぐらいでおたおたするなっていうの。」
なにこの会話。
電車で読んでて笑いそうになった。
パロディばっかりかと思ったら、夏目漱石の『こころ』の登場人物「K」の謎に迫る「Who is K?」に唸らされたりする。
これは立派な論文。
全編40以上の章にわかれ、600ページ以上の対策だが、明治以降の日本の文学史や思想をある程度知っていないと、全て楽しむことは困難。
何が元ネタでどこがパロディなのか分からない。
そんな高橋源一郎はやはり天才だと思う。
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第13回伊藤整文学賞を受賞した力作。
二葉亭四迷の死に始まり、現実か空想かよく分からない、明治時代の文豪たちの物語が描かれる。
この物語は、「原宿の大患」を境にして、前編と後編に分けられるだろう。
前編では、「日本文学」を成立させるための文豪たちの苦悩が描かれる。
後編では、作者である高橋源一郎の視点が入ったように感じられる。
全編を通して、「日本文学」が作られていく様を見ることが出来る。
高橋源一郎は、文学について考える機会とヒントを与えてくれる素晴らしい作家だ。
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近代文学者たちがたーっくさんでてくる小説。終始爆笑。そしてしみじみ。読んでいる間、とにかく楽しい。ただ、近代文学史をよく知っている人ほど楽しいと思うので(逆に言うと、詳しくない人が読んでもあまり面白くないかもしれない)、ふつうの小説としてはあまり周囲にホイホイ勧めない。ある程度勉強して読むのをお勧めします。
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文壇なんてのは偉そうなふりをしちゃいるが、どーしょーもなく俗っぽい一面もまた併せ持っている。西洋で生まれた文学を日本に移し替えようと悪戦苦闘する明治初期の「文学者」達や漱石を筆頭とする明治の文豪達を、現代の性風俗と明治が混じり合う不思議な世界観で映し出すことで、普通じゃ堅苦しくてつまらない「文学史」が実に面白いものに仕上がった。田山花袋がAV監督になり、石川啄木が援助交際にはまり込む。しまいにゃ最後はブルセラ店の店長で副業とは大爆笑間違いなし。
かといって著者は別に悪意を持ってちゃかしているわけではなく、むしろ若き日には文学青年だった著者の言文一致運動をはじめとする日本近代文学のパイオニア達への尊敬の念は痛いほど感じられるし、かれらの苦悩も一部の悪ふざけが嘘のような深刻さを伴って描かれる。さらには漱石などへはユニークながら鋭い文学批評を試みていたりもしているのだ。なのでまったく不快感はないし、むしろ一度でもじゅんぶんがくに嵌っていた人をターゲットとしたならば、これ以上の確信犯的娯楽小説はないだろう。
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「日本近代文学史」のテクストは数多くあるが、本書は従来の「文学史」とは全く異なる視点、記述法で日本の近代文学作品を紹介する。漱石、鷗外といった「日本を代表する作家」たちに寄り添いつつ突き放すという風合いの小説的記述は、現代の私たちにとって「文学作品」とは何か?ということを改めて問いかけてくる。(2010:清水均先生推薦)
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前からちょっと気になっていたのですが、挫折。啄木が援助交際してるとこらへんで、なんだかなあっと、更に、ローマ字日記のとこでなんか読むのめんどくさくなってしまった。あとはぱらぱらと面白そうなとこだけ飛ばし読みしました。ごめんなさい。夏目漱石と病院で話すとこらへん、とかは面白かった。