グローバリズムの危険性を指摘した1冊。
2015/07/26 14:19
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:命"ミコト" - この投稿者のレビュー一覧を見る
古今のグローバリズムが止められない理由としては本書の中野剛志さんが述べている通り世界のエリートが軒並み大劣化している事が原因であるとされているからです。
確かに安倍、モディ、メルケル、朴クネ、オバマ、オランド、キャメロン、チプラス、習近平などの顔ぶれを見ると皆が小物であり同時にグローバル資本の言いなりになってしまっている。
唯一、大物と言えるプーチンはそれに見事に対抗して自国経済の保護に走っているからその差は大きい。
そしてグローバリズムが先進国だけでなく、中国やインドにも負の恐怖が蝕まれている事への警告として☆を5つにする。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世界経済の行方について、分かりやすく解説されていてよかったです。グローバリズムのマイナス面が、再認識できました。
格差の拡大、民主主義の危機、エリートの無責任(by ローマ法王)
2014/07/06 12:27
11人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、国内外の6人の論者による、「反グローバリズム」にかかる対談と論評で構成されています。
小泉の郵政改革に国民が熱狂していた頃は、本書のような論調への賛同者はほとんどいなかったと思います。ところが、小泉改革は雇用や社会福祉を破壊し、「国民総中流社会」から「格差社会」への転換点・起点となりました。さらに、中国をはじめとした帝国主義的かつ身勝手な国家の台頭に対し、媚を売っている欧米諸国の様を見ると、グローバリズム(新自由主義)の限界を感じますし、同意見の方も増えているのではないでしょうか。
そうは言っても、「TPPは帝国主義である(110ページ)」「自由貿易を規制する方向で考えていかないと、民主主義はますます危機に陥る(204ページ)」とし、こうした危機を招いた原因はエリート官僚が劣化したからだという本書の結論は、半分理解できて半分理解できないというのが私の率直な感想です。
また、散々グローバリズムの批判はしていますが、グローバリズムに替わる社会体制等について十分な提示がないどころか、「処方箋という課題は残っているにしても、大変有意義だった(240ページ)」と開き直った上での自己満足には、物足りなさを感じました。批判するだけなら簡単です。評論家としての高みの見物ではなく、創造的な学者としての本来の仕事をしてもらいたいと強く思いました。
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京都大学で行われたシンポジウムの書籍化。
グローバル化は、不可逆で必然的な流れなどではなく、抑制できる、すべきであること。
ネオリベは、劣化したエリートが自己利益増大化に利用するために飛びついただけの空疎なイデオロギーであること。
グローバリズムを抑制するには、保守に立ち返ることが議論されています。
トッドの話を聞くと、フランスも同じなんだなとワロてしまいます。苦笑です。
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【国内外の気鋭の論者が徹底討論】世界的なデフレ不況下での自由貿易と規制緩和は、解決策となるどころか、経済危機をさらに悪化させるだけであることを明らかにする!
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自由貿易で世界経済が復活するということに対して警告を発する。世界の経済成長率が、新自由主義が勃興する前後で約3%から1.5%へと落ちている事実など、必ずしも寄与していないという。日本では、小泉政権、そして安部政権でも、これを称賛する動きがあったのも事実。企業が儲かれば、法人税も沢山入り、国も潤うかもしれない。しかし、利益の代償として働く者の給料が減ってしまっては、企業栄えて、国滅ぶにならないだろうか。一部の富裕層のために、それはあるというのは、アメリカ、西欧を見て納得してしまう。自由主義という言葉から連想するのは、解放、個人かもしれないけど、成熟した個人ばかりの社会とは限らない。むしろ、大多数は弱者のはず。平等がすべてではないですが、せめて、脱落したものが再びレールに乗れる、そんな社会なら救いがあると思うのだけど。
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行き過ぎるとなんでも良くない。過去に実験・考察が実は終了していることもあるという点が書かれているように思う。経済のグローバリズム等に関しては反論しない人も多いが、言語を奪われるや食文化を否定されるようなある種のグローバリズムに関しては反論する人が多いだろう。
保守と革新の「入れ違い」に関しては面白いな。
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グローバル化とよく叫ばれる中でグローバル化を分かりやすく批判的のとらえた一冊。
読み進める前には国境が取り払われ、規制緩和が進む現代において、保護主義的な政策の重要性を説くのは一見ナンセンスに感じた。でも違った。決して保護主義政策をとって自国を鎖国状態にするということを主張しているのではなく、グローバル化の負の影響にも目を向ける必要性を訴えているように僕は感じた。なぜグローバル化が発生したのか?どうしてこれほど現代はグローバル化を謳うのか?グローバル化の正・負それぞれの影響は何か?こういった点を理解し、グローバル化の本質にせまる理解をしておくことが現代経済を見つめるためには必要だと感じた。
では、そうすればこれらをひもとけるのか?まずは歴史(第一次世界大戦前までの第一次グローバル化→世界恐慌→現代の第二次グローバル化→世界不況)をたどることが重要であると気づかされた。
内容に関しては、グローバル化が格差拡大、隣国同士のつぶしあい、エリートの劣化、統治能力の低下などデータなどを用いて負の面が分かりやすく指摘されている。
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トッドの部分を抜き読みするだけでも、現代国際社会の問題点の一端を知る事ができる。
『有効な手立てを打ちたいなら、方向転換を成功させるには、まず次の事実を受け入れなければなりません。多くの人は受動的で、現状に対して協力的であり、とりわけ高年齢層はそうだということです』
日本の現状を言い当てているのか…
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グローバリズム、新自由主義を否定的に捉えた一冊。
普段からグローバル至上主義とも言える風潮に浸っているため非常に新鮮な内容であった。
本書を通じて、グローバリズムの弊害を以下のように捉えた。
・格差拡大
国境を越えて経済活動がされるため、資本を持つ大企業が残り中小企業は潰れる。
さらに大企業の中でも資本家と労働者の格差が広がる。
(さらに生産量が増え供給力が上がることでデフレに繋がる)
また、同様に大国が富み、小国は貧しくなる。(搾取される)
本書では、「経済戦争」というワードが使われていたのが印象的。捉えようによっては経済を武器にした帝国主義なのではないか。
・伝統や人間関係の崩壊
ヒトやモノが国境を越えて自由に行き来できるため、人間関係は希薄化し、伝統も無くなっていく。
これは伝統や人間関係を守ろうとする保守の考えとは対局の状況なのだが、なぜか保守主義者は新自由主義を信仰する。
・危機のグローバル化
国境の意味が希薄化しているため、ある国で起こった危機が他国に伝播しやすい。2016年6月に起こったイギリスのEU脱退が記憶に新しい。
ではどうするか。
一部の筆者はケインズのように保護政策をとるべきであり、政府が統制を取り、一定のルールのもと経済活動をするべきだと語る。
ただし、現在の問題として、近年のエリートが劣化し、新自由主義の旗印のもと現状を放置していると結論づける。
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経済音痴の私にとって衝撃的。確かに今の世界は何かがおかしいとはぼんやりと感じていた。本書は、現代の格差の拡大や危機の恒常化の原因がグローバリズムにあり、それが社会を破壊していることを、5人の筆者が座談を通じてわかりやすく説いている。新自由主義(ネオリベラリズム)が制約のない自由として席捲し、隣国同士の経済戦争につながっていることは、EUに見られる。われわれは真の民主主義を守るために、各国がネーションごとにまとまり、独自に規制を定め、グローバリズムから脱却することが必要。しかし世界のエリートの大半はグローバリズムを正しい方向に導く道だと信じているとのこと。…ところで情報のグローバル化は避けられない。経済の脱グローバル化はいかにして達成できるのだろうか?
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「グローバル資本主義によって経済は成長する」と信じられてきましたが、実際のデータを客観的に眺めてみれば、真実はまったく逆であって、「グローバリズムは成長を鈍化させる」
グローバル資本主義を推し進める人々は、ビジネスに自由さえ与えれば富も雇用も創出され、最大限の成長があると信じてきた
アメリカにしても日本にしても「国による産業保護」という規制が成長を生ん
アメリカが、実は世界で最も強力な産業政策を行っているのです。インターネットにせよ、半導体にせよ、航空機にせよ、研究開発を支援したのは国防総省や軍などの政府機関
グローバリズムは国境を前提にしないものであって、国境が存在することを前提とした上で、異なる国家同士の交流を図ろうとするインターナショナリズム(国際主義)とは真逆の概念です。両者は、一見似ているように思われることがありますが、まったく異なる概念
今日の先進国は、自国経済を発展させるにあたって、未成熟産業を育成する、さまざまな手段を使ってきました。関税、補助金、国営企業といった方法です。これによって若い産業の生産者を外部との激しい競争から守ったのです。ここ数十年、こういった政策を途上国は採用しにくくなっています。
今は一株当たり一票ですが、たとえば三年以上にわたって株式を保有している安定株主には、三倍の議決権
グローバル化は人類の歴史で何度も繰り返されてきた
一八七〇年代から、一九一四年の第一次世界大戦までの期間を「第一次グローバリゼーション
第一次グローバル化の時代は、人の移動については現在よりも盛んでした。特に、ヨーロッパ大陸から大西洋を越えて南北アメリカ大陸に向かう移民の波が大きかった。オーストラリアやニュージーランドも、この時期に人口を急速に増やしています。
一九五〇年代から七〇年代までのブレトンウッズ期には、どの国でも格差が縮小
自由貿易はよく賞賛されます。しかし、その「自由」とは誰にとっての自由なのでしょうか。端的にいえば、国境を越えて活動する投資家や企業にとっての自由
なぜグローバル化への批判が「一〇〇%貿易をしない国」の主張を意味するのでしょうか。要は程度の問題
だんだんと賃金を純粋なコストと見なすようになります。賃金は内需に貢献する要素であることをやめてしまいます。それは純粋なコストになり、すると企業は、賃金コストの削減の論理に入っていきます。
歴史において非常にはっきりとしていることがありまして、それは、住民が読み書きできるようになると経済が発展し始めるということです。
世界のすべての人が読み書きできるようになっていくという人類史上、極めて特別な時期に到達したのです。
労働者も消費者なのだから、という前提です。労働者も皆と同じように国民の一部分を成していたわけです。
「自由貿易」という強迫観念
しかし、(日本を含めて)私が最前列国と呼ぶ国々は、現代の姿を定め、新しい資本主義や経済組織の新しい形を発明していますが、成長率は一%、二%で、最大でも二・五%
米国とイギリスは共に、グローバリゼーションの主な担い手であり、規制緩和の担い手
自由貿易のイデオロギーは、普遍主義的であろうとするイデオロギーであり、地球全体に同じものを求めます。
保守と新自由主義では人間観が違う。主流派の経済学が想定するのは、原子論的な孤立した個人です。それに対し保守は、自分の生まれた国や共同体がもつ固有の生活様式や文化、国土や環境といったものに制約された社会的存在(Social Being)として人間を
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現在の行き過ぎた(と個人的には思っている)グローバリズム、自由主義経済については懸念を感じている。という意味では自分は保守なんだと思う。一方で、本書にも書かれている通り、本来反対すべきグローバリズムを今の保守派が進めているのは、やっぱり謎。
言葉の響きで単純に「よいもの」と思い込んでいるわけではないだろうし、必ずしも個人(および企業)が自己の利益のためのみに利用しているだけだもなさそうな。そんな謎に対する1つの考えも述べられています。
個人主義、民主主義の行き過ぎ、識字率、劣化(本書ではエリート・指導層の劣化とあったが、国民全体の劣化ともいえるのではないか?)といったいろんな要素を絡めて考えていく必要があるようで。個人的にもちょっと今後も考えていきたいテーマ。
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グローバリズムにより貧富の差は広がり格差社会がひずみをもたらす。保護主義を推奨する。
必ず毎年利益を出し、年々GDPが上がっていくこと前提の経済の考え方に息苦しさを感じる点で、納得できるところが多い。
が、グローバル化を止めてしまって、代わりに経済を発展することができるのか?というところに答えは見つからない。その思考自体が間違っているということなのだろうが。