柔軟な思考によって編み出された名著
2017/01/18 00:46
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投稿者:コーク - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はあとがきで「自由な書き方をした」と記している通り、歴史や著者が実際に体験・体感したことを考察し一冊の本にまとめられている。
文明論として第一級の読み物だと思う。
時代を感じさせない論述
2023/04/12 17:30
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
国際政治学者である著者が旅の印象や現地での会話、ローマ時代から近代ヨーロッパの歴史から学んだこと、アジアにおける日本人やアジア人の考え方、急速に進む現代の技術や人々の考え方を書いている。発売は55年前だが21世紀に読んでも時代を感じさせることはない。後半は著者の哲学的考えが強く述べられている。少々読みずらい面もあるので熟読が必要だった。文中の「大きな力を投入してもその成果は少なく、しばしば逆効果を生み出している。」一文は今正にウクライナで起きていることを思い起させた。
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とても50年前の論考とは思えない。それはつまり、後半に記述があるように高坂本人がいかにイメージでものを考えず、事実を把握したうえで論を展開した結果だと思う。特に若い人には必読書でしょう。
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高坂正堯の著作はどれも非常に興味深い内容で、私が今までの人生で複雑過ぎて理解しようとする努力を怠ってきたことに対して、大きな視点でかつ具体的な説明を与えてくれるものだ。中でもこの「世界地図の中で考える」は、例えばベトナム戦争について、アメリカの大統領選挙のしくみ、幕末における日本人の開国論と攘夷論、日本人のアジア主義的心情の根源など、どの分析も面白く、思わず夢中で読んでしまうものだった。今から50年以上前(1968年)に書かれたものであるにもかかわらず、その未来予測は古さを感じさせない非常に示唆に富んだものであると思う。
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国際政治の指南書というよりかは、国際政治学者が徒然と書いたエッセイという雰囲気。とは言え、高坂先生だけあって、決して簡単というわけではない。むしろ、著者の深い知見に支えられて思考が流れるように進んでいくので、気合を入れていないと迷子になるような本。
タスマニアに関する考察から本書がスタートするのは唐突にも思えるが、タスマニア原住民の滅亡を振り返ることを通じて、「巨大文明が新しい地域に突入していくときに何が起きるのか」という本書全体に共通する問題設定がなされる。そこから、筆者の思考は自由に流れ始め、イギリス、そしてアメリカという巨大文明の直面する課題、それに対する日本の反応など、世界全体を見渡す議論に進む。
数十年前の本であるにも関わらず、問題設定は今にも十分通じるもの。その課題を本にしたところに筆者の先見の明があるのだろうけど、結局、歴史は繰り返すし、私たちは解決できない問題を抱えたまま前に進み続けているということなのかな。
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目の前のことで忙殺されるなか、少し大きな視点で物事を考えたいと思い、読んでみた。
表現が丁寧すぎる感じがするし、中身も少し難しく感じた。
他の本でもう少し勉強したい。
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(中盤から難しくなりましたが)序盤のタスマニアの話が分かりやすいおかげでめげずに読み終え。
作者の「I told you」呆れ声が聞こえてきそうな。
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タスマニアへの英国の入植、世界大戦でのアメリカの役割、ベトナム戦争、インドにおける英国など、各文明と各地における影響などが幅広く取り上げられ、考察されていて、あれこれ考えるヒントになりました。
1960年代後半の作品ですが、2020年代の今から見ても通じる内容が数多くあり、最近の出来事や技術革新などを背景に考えながら読み進めていました。最後の文明には光の面と闇の面があり、場所によりそれが変わりうるという指摘は、非常に深い内容だと印象深く読みました。