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“(これは、ひょっとして……?)
ある予感が胸にわき上がるのを覚えながら、似たようないでたちの男たちの中から目指す人物の姿を探し求めた。もっとも、それは造作もないことだった。というのも、おなじみの彼の後ろ姿、それも他の連中より妙にオタオタと所在なさげなそれを選び出すのにまごつく鶴子ではなかった。
(いたいた、あそこやわ……)
内心ほくそ笑みながら、相手の背後に忍び寄った。息がかかるほどに間合いを詰めてから、いきなり相手の後頭部めがけて、
「宇留木さん!」
そのとたん、びっくりしきった顔がはじかれたように振り返った。
「おおっ…なぁんだ、君か。びっくりするじゃないか。どうしたんだよ、今ごろこんなところで」
仮名文字新聞大阪支局の記者・宇留木昌介は、素っ頓狂な声をあげたあと、胸をなで下ろしてみせた。鶴子はそんな彼のようすに噴き出しかけながら、
「宇留木さんこそ、こんなところで何をしてはったんですか?」
「何をって、仕事だよ」
宇留木は当然のように答えた。だが鶴子はさらにたたみかけて、
「仕事って……やっぱり事件ですか?」”
時代が昔なだけあって、少しわかりにくい部分も。
ちょっと読み飛ばし気味だったな。
だけど、この二人の関係がなんか好きだ。
続編とか、出ないかな。
出たら、絶対読むのに。
“「宇留木さん!」
その名を呼びながら駆けつけた小さな人影があった。相手の姿を見、声を聞いた瞬間、宇留木は全てを了解し、と同時に何とも言えない温かい気持ちがわきあがるのを覚えた。
「や、これはどうも」
宇留木はひしゃげた帽子を、ひょいと持ち上げると、その人影に向かって呼びかけた。受けた被害は何てことないことを示すために、ややおどけた調子で、
「帝都へようこそ、名探偵・平田鶴子君!」”
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昭和初期を舞台に、好奇心旺盛な女子高生とちょっと頼りない新聞記者が事件を探ります。
実在の人物が出て来たりして、とてもウキウキします!
エノケンがかっこいい!
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(収録作品)名探偵エノケン氏/路地裏のフルコース/78回転の密室/テレヴィジョンは見た/消えた円団治/ヒーロー虚空に死す/少女探偵は帝都を駆ける
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昭和11年、モダンな女学生と頼りない青年新聞記者のコンビのミステリ活劇。
実在人物や現実の時代背景を交えたストーリーでした。
先日なつかしの二十面相を読んだので時代設定に惹かれて手にしてみたのだが。
えっ!帝都なのは修学旅行の1編だけであとは大阪が舞台だとぉ(笑)!
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レトロな時代の雰囲気が漂う連作短編。当時では目新しく、現在ではレトロでなじみのないさまざまな物がトリックに用いられるのも面白いところです。薀蓄部分も少し読みどころ。
お気に入りは「テレヴィジョンは見た」。あまりにあからさまなようで実は盲点でした……。
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時代背景よし
キャラよし
大阪設定よし
こういう系の物語を最近読んでないんで、私的にはよかった。
気持ちは星3.5点なんだけど、4点にしときます
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これを読む前には必ず前作「殺人喜劇のモダンシティ」を読んでおいたほうが良い。時代は昭和10年の初め頃から11年の夏頃。場所は大阪。前作とは異なりその間に起こった7つの事件が連絡短編として収録されている。人気舞台役者の大阪進出。満州国皇帝溥儀の来日。コロンビアやテイチクの前身となるレコード会社が販売するSP盤。実験段階のテレビ。NHK大阪放送局の人気落語家のラジオ放送。トーキー映画。など、その時代の先進的なメディアや芸能がふんだんに登場し、それらにまつわる殺人事件を府立高等女学校4年〜5年生の主人公が解決していく。(前作時は女学校3年でしたが進級し最終話では最高学年の5年生となっています)そして最後の短編は東京方面への修学旅行時に起きた華族の子女の事件。この小説は、ミステリーとか推理小説とかいう範疇に入るのだろうけど、実際は昭和初期風俗小説っていう感じが強いです。主人公が読んでいる本には新進作家として“エラリー・クヰーン”が載っているし、後に改題され“オリエント急行殺人事件”となる代表作は“十二の刺傷”と翻訳表題が付いています。現在僅か2冊のシリーズですが、女学校を卒業した平田鶴子の活躍を、きな臭い時代の風物と共に読みたいと思うのは私一人だけではないと思います。
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昭和11年、女学生・平田鶴子は修学旅行のため大阪から東京へ向かう列車にいた。彼女は車窓から、並走する特急列車のデッキで男二人が取っ組み合うのを目撃する。と、二人の間に閃光が煌めき煙が上がる。「何?銃!?」確かめる間もなく特急列車は遠ざかるのだが―。表題作「少女探偵は帝都を駆ける」他6編を収録した連作短編集。
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明治時代の推理小説で読み始めた作家でした
今回は昭和10年大阪のお嬢さんが探偵です
当時の最新ミステリーが
エヂプト十字架の秘密
樽
ケンネル殺人事件
黒死館殺人事件
ドグラ・マグラ
だそうです
高校生時代に読んだ作品ばかり!
大好物の作者です