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ヘリコプターマネー(≒ベーシックインカム)について経済学者の著者が記した一冊。
ベーシックインカムに対して前作が社会学的なアプローチなのに対し、今回は経済学的なアプローチという感じ。
経済学の知識がないとやや難しいが、面白かった。
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日本の長期のデフレ不況を脱却するには、市中に貨幣をいきわたらせることが必要で、その方法としては本書のタイトルになっている、ヘリコプターマネーという政策があるという話です。現在の日本経済が陥っている状態と「流動性の罠」などの様々な経済学者が唱えた問題の詳細を分かり易く知ることが来ました。最終章では、著者なりの貨幣制度の提案もあり、読み応えのある一冊でした。
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人の欲望が数式となり示せるということに驚く。
それらの数式で図が示せること、また、同じ数値でも図の描き方や読み解き方が違うことに改めて気づく。
ものの見方は一つではないし、方策も一つではない。絶対的な正しい方法なんてものはなく、それぞれが見る方策の利点や欠点を踏まえて進めていくしかない。
経済学の良いところは、ただのイメージや理想をベースとして語るのではく、あるデータを根拠としてグラフを見せ語ることができること。恣意的なデータを選ぶことや、極端に見えるグラフを描くことも可能なのだが、データを根拠とするという時点で同じ地平に立つことができることだと思った。
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需要不足は貨幣の増大によって解消できる
ということだ。逆に言うと、貨幣の増大によって解消できない需要不足は基本的には存在しない。「基本的には」と言ったのは、消費需要が飽和した場合、つまり人々がもうこれ以上物を欲しくないという場合には、貨幣を増やしても需要は増えることがないからである。しかし、それは人々が現在の消費に満足してそれ以上何も望むことがないということを意味するが、歴史上そんなユートピアが存在したことはない。(p.37)
技術進歩の止むことがない近代以降の経済は、普段に技術的失業の危機にさらされている。通常、長期にわたる技術的失業が観察されないのは、貨幣量の増大によってこのような危機が無害化され、その危険性が覆い隠されているからである。ところが、貨幣成長率が低くなれば、それは顕在化し深刻な経済問題となる。
デフレ不況は一般に技術的失業とは何の関係もない経済現象と見なされているが、私の考えによればそれは技術的失業と表裏一体の関係にある。技術的進歩率が高くなれば技術的失業が発生していると見なせるし、貨幣成長率が低くなればデフレ不況が発生していると見なせる。いずれの問題も、技術進歩率と貨幣成長率の乖離から生じるのである。(p.128)
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・p68 インフレターゲットが制度化されている限り、ハイパーインフレを恐れる必要はそれほどない。???????
・p75逆に言うと、預金準備が1万円の場合その100倍の100万円まで信用創造によって預金通貨を作り出すことができる。こちらの言い回しの方が銀行常務の実情に近い。
??????
・p77 プラス金利経済においては超過準備がなく貸出余力が存在しないので、政府が市中銀行からお金を借りれば、その分だけ企業への貸し出しは抑制される。?????
これ、違うでしょっていうか分かってないでしょ。
2章まで読んでテンション落ち、あと流し読み。
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デフレ不況は、技術進歩率が貨幣成長率を上回る事に原因があり、技術進歩がさらに進む未来においても生じる可能性がある。そのために技術進歩率を上回る速度で貨幣成長率を伸ばす必要があり、ヘリコプターマネーこそが処方箋であるというのが本書の趣旨。また主流派経済学に喧嘩を売って、現在の貨幣制度のレージムを変えようとする「革命」的な本でもある。最後の章で、筆者の井上先生がかつて研究していたAIの発展に関する詳しい話やBIなんかの話が絡んできて個人的には楽しく読めた。
井上先生が提唱する政策は、デフレは「貨幣」現象で現在のゼロ金利下では通常の金融政策は無効だけど、日銀が直接国債の引き受けをして、そこで得た貨幣発行益を家計に直接供給するヘリコプターマネーこそ「マネタリー」な政策となるというものであり、肝はその財政政策にあると思われる。金融政策を主とするリフレ政策と異なっているのに、ネットでリフレ政策を支持する人たちの多くが本書を絶賛している事に個人的には少し違和感があった。
難点としては、途中まで読んでいると、「貨幣成長率」がマネタリーベースの増大を指しているかそれともマネタリーストックの増大を指しているのか、経済学の素人には混乱する記述になっている。(最後まで読めば、貨幣成長率がMBの増大でなく、MSの増大であるのはわかるけど) また第4章のモデルを使って、「流動性の罠」と「信用創造の罠」の違いを説明する箇所がちょっと難しく感じられた。付録の理論モデルの話は、マクロ経済学を学んだ人じゃないと理解できないので飛ばしました。いずれにせよもっと経済学を学んでいずれ再読したいと思う。
評点:9点/10点
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経済学者の前提は偽だからどんな結論も真
特にマクロ経済学の前提はほとんどデタラメだから,この本の主張の結論は論理的には真かもしれないが,実際には偽。
例え話(ベビーシッター組合)はそこでしか成立しない前提条件が沢山あるのに,一般化できるわけないだろ。たわけたこと言ってんじゃないよ。
『人工知能と経済の未来』もこんなデタラメ本?
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貨幣理論とベビーシッター組合の危機。クーポンを配ったら機能しはじめた=貨幣を配ったのと同じ。→貨幣はクーポンと違って将来のために貯めるという選択肢があるから、同様にはならないのではないか。
すでに国債の貨幣化=マネタイゼーションが始まっている。
ゼロ金利経済とプラス金利経済では異なった性質を持っている。借金を返すものという常識が国では間違っている。
日本には60年償還ルールがある。永久国債化したらどうか
ピグー効果=値段が下がると需要が増える(セイの法則と同じ?)しかし現実には需要不足。
貨幣の長期的中立性が影響しているか?
貨幣は短期的には、中立ではない。名目粘着性があるから。
技術的失業は、摩擦的失業だけでなく、短期的には需要不足の失業でもある。これが需要不足を生み出す。
不断の技術進歩によって、つねに摩擦的失業だけでなく需要不足の失業の危機にある。
技術的進歩に見合う貨幣成長がなければデフレになる。
失われた20年の原因は、貨幣成長率低下。
マネーストックとマネタリーベースを混同しないこと。ベースマネーは増やせるが、マネーストックは増やせない。
ゼロ金利では金利で信用創造を促せない=信用創造の罠。
期待インフレ率を上げるという政策=クルーグマンの提唱。
ベンハビブの論文=定位定常状態で需要不足が発生する=デフレの罠=自然利子率が正常でも、ゼロ金利とデフレが永続する。
信用創造の罠から抜けるためにはヘリコプターマネーしかない=貨幣発行益を使う
ベーシックインカムとして使う。
貨幣発行自由化論(ハイエク)。しかし発行の分権化は格差を助長する可能性がある。
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気鋭のマクロ経済学者・井上智洋さんの著書。氏の新書が面白かったのでもう一冊、ということで選んだ。著者は学会の異端児であり、本書の論述内容もかなりラディカル。そのため、予想される反論を潰すために、論文のような緻密さを持って叙述が進められていく。版元が日経新聞社で入手しやすく、ソフトカバーでとっつきやすそうに見えるが、経済学の素養がないと理解できない本だった。私は記述内容を消化するので精一杯。