心理学分野の二大巨匠、フロイトとユングの思想と全生涯が詳細に語られます!
2020/03/24 10:15
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、近代精神分析学の巨匠とも言われるフロイトとユングという二人の思想と生涯について丁寧に書かれた貴重な一冊です。実は、フロイトは19世紀に精神分析学という研究領域を創出した第一人者であり、彼の高弟としてユングがいました。しかし、ユングは後に分析心理学を創出し、師とは別の一派を形成していったのです。こうした二人の心理学者は、一体、何を追い求め、何を追求していたのでしょうか。同書は、二人の巨匠の孫弟子にあたる我が国の心理学の偉大な人物と言える小此木啓吾氏と河合隼雄氏との対談という形で話が進行します。内容構成も、「第1章 出会い、「第2章 人間フロイト、人間ユング」、「第3章 人間の心をめぐって」、「第4章 夢を語る」、「第5章 文化と社会」となっており、フロイトとユングの思想と生涯が詳細に語られます。
生々しく知的な対談
2020/09/25 18:16
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投稿者:枝乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フロイト派の精神科医とユング派の心理学者による対談本。両者ともすでに故人だが、本の中では生々しく知的な議論が展開している。宗教観による無意識のバイアスが理論・モデルに及ぼす影響は大きそう。同じ疾患でも、生きる社会が違えば適するアプローチは異なるから難しい。疾患が違えば尚更。深い部分は圧倒的知識不足のため表層的な理解しかできないが、それでもユングがフロイトから離れた理由はじゅうぶんに伝わってきた。
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30年以上前に出版されたものなのに全然古さを感じない。人が変わらないのか、この二人が本質を見抜いているからか。今でも十分読む価値のある対談であり、もう二度と叶わない対談でもある。
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小此木啓吾、河合隼雄両氏の対談です。治療のことだけでなく、フロイト、ユングについても語られています。フロイトとユングのことを、著作や心理学の入門書で読むよりも身近に感じられた気がします。もっと色々読んでみたくなりました。
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フロイト派とユング派、日本を代表する両派の第一人者である小此木氏と河合氏の対談が収録されていて、とてもおもしろかった。教科書や専門書だけでは分からない、フロイトとユングの細かい人物像や、最後の方は日本文化論にも及んで、読み応えがあった。日本文化論のところでは、今の日本が抱える問題点が、両氏が対談した昭和53年のころから何も変わってないと思えたり、またこのころすでに予見されてたりして、そういう点も興味深かった。
ただ、対談、すなわち口語であるので、とても分かりやすい部分と、いまいち伝わりきれてない部分とがあり、その点が少し残念。これからもフロイトとユングのことは勉強していくことになると思うが、折に触れて読み返していきたいと思う。
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日本を代表するユンギストとフロイディアンの対談。さすがにレベルが高く、私は話の半分も理解できていないのだろうな…と思わされる。ユングとフロイトに関する前知識は必須。
しかし、ほぼほぼ知識のない私でも読了できたため、難解ではあるがかなり分かりやすい言葉でお話してくださったのだろうな…と、感じた。
フロイトの理論に入り込みづらく、完全にユング派だったのだが、本書を読んで理由がわかった。
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小此木啓吾 河合隼雄 「フロイトとユング」 第一人者同士の対談。わかりやすい。
フロイトとユングの比較というより
ユング、河合隼雄、小此木啓吾 の精神分析理論や 土居健郎の甘え構造、古沢平作の阿闍世(あじゃせ)コンプレックスが
フロイトのどこを取り入れ、どこを取り入れなかったのか、対談を 通して 読みとれる
フロイトの精神分析理論
*同性愛、禁欲的
*ユダヤ的、父性〜分離と自立
*エディプスコンプレックス
*合理主義、個人主義、科学、契約
*コンフリクト〜欲望と本能の対立、超自我と自我の対立
*幻想の克服
ユング
*母性原理、理解者
*治療しながら考えて理論化
*無意識の創造性
*宗教的、治療重視
*手工業的、教育して分析家に
*超自我の概念はない
*コンフリクトより、心には自動調節機能があるように考える
古沢平作(小此木啓吾の師匠)の阿闍世(あじゃせ)コンプレックス
*母性により患者と一体化、患者の恨みを解釈するだけでなく、自分が背負わなければならない
土居健郎 甘え構造
*日本人が克服すべきは甘え。父性原理で西洋化するのが日本人の道
河合隼雄
*どうやって父性的なものを意識化させ、母性的なものと統合させるか
*母性的な性質を持っていて、それを遂行する強さが父性