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奈良は女性の天皇の時代だった…
それは中継ぎという言葉にはそぐわない、実力のある女帝の時代。
若い男子は天皇にはふさわしくないという理由が時々言われていたが、一人前の女性なら何の問題もない様子だったこと。
天皇の娘であることが一番大事で、強力な条件だった。
持統天皇は誰よりも強力で、いわば会社を夫と共にたたき上げた中小企業の社長夫人といった調子でわかりやすい。
個性豊かな女性達、それぞれの態度や治世の違いが軽やかに述べられています。
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たぶん権力の日本人・院政の日本人のダイジェスト版。権力&院政の日本人は何せその膨大な情報量と絡み合い具合から私の貧弱な脳みそではさっぱり頭に入らないぐらいなので、このぐらいがちょうどいい。エッセンスが抽出されてるのかどうかはわかりませんが・・・。
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[ 内容 ]
飛鳥奈良時代は六人の女帝が頻出した時代でした。
だからといって、それをただ年表的になぞるだけでは「その意味」は見えてきません。
「その天皇はどの天皇の血筋か」とか「徐々に複雑に消された皇統」とか、「嫁姑の問題」とかを読み解くと、極めて現代的な人間世界が見えてきます。
当たり前に女性の権力者を生むことのできた「天皇家だけの特別」とは何なのか。
この本は、女帝をめぐる歴史ミステリーなのです。
[ 目次 ]
第1章 「女帝」とはなんなのか?(「女帝」とはなんなのか?;「中継ぎの女帝」の背後にあるもの)
第2章 「皇」の一字(もう一人の天智天皇の娘;「皇」の一字)
第3章 聖武天皇の娘とその母(聖武天皇の母と妻;孝謙天皇とその母)
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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日本の古代には、推古天皇、斉明天皇、持統天皇、元明天皇、元正天皇、孝謙天皇と6人の女帝がいた。その後は江戸時代になるまで女帝は登場しない。
それにしても、橋本氏の博学はすごいな。
この方も高校の大先輩。素晴らしい。
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聖武天皇の本を読んでいたので、それを補完してくれて興味深く読めた。男が女の気持ちが分からないように、女帝だって男の家臣の気持ちは分からないというのは納得。
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大河に触発されて『双調平家物語』を読むつもりだったのだけれど手軽さに惹かれてまずこちらから。
読みかけの清張古代史と時代がかぶるので丁度よかった。
飛鳥・奈良時代は数多くの女帝が即位した時代である。
なぜこのような状況が生まれたのか。
そしてなぜこの状況はこの時代(孝謙天皇)以後女帝は絶えたのかと、現代日本の構図と照らし合わせて紹介するもの。
持統天皇=中小企業の社長夫人 とか
孝謙天皇=キャリア官僚目指して英才教育受けた東大エリートってくくりは非常にわかりやすい。
読んでいた『偽りの大化改新』を思い出した。
結局の所、平安時代の院政の基礎となるものは奈良時代に確立されていて、それが男達によって補強されただけなんだよという結論に到るわけだがこの時代だけでも十分に面白いので本にしました、とのこと。
たしかにこれ一冊で十分面白い。
しかしそうすると古代から日本の女性を取り囲む状況は全く改善されることなく現代まで持ち越されているというわけで、この進歩のなさは男と女の間にまたがる深ーい溝の為なのかしら??
だとしから現状を変えるのにはまだあと1000年位かかっちゃいそうな予感がいたしますですよ。
藤原不比等を忠臣と取るか陰謀家と取るか。
松本清張は後者で「鎌足の存在自体が不比等による捏造だ」という説をとっているけれど、本書を読むと「無理を通そうとする持統天皇の政策に辻褄を合わせる有能で苦労人な能吏(女心に聡い)」という姿が浮かび上がってくる。
原始女性は太陽であったのかもしれない。
だが複数の太陽が存在するとたちまち大地は干上がって枯れてしまう。
そのためにその力は押し込められたのかなぁ。
いつの時代もバランスを見極める調停者が必要不可欠なのだなぁ
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筆者が冒頭に「女帝が中継ぎの天皇といわれることに違和感を感じた」
というところから始まり、各女帝にスポットを当て、その実力や人となりにフォーカスしたのはおもしろい。
事情はそれぞれあれども、天皇になられた女性たちなので、それなりの運命をお持ちの方々だったのであろう。
しかし、歴代の女帝たちが、単なる中継ぎとは言えない、力を持った女性だった、としても、
結果的にその女性たち以後、女系の男性天皇も、女系の女性天皇も、登場していない、という点についての考察はまったくない。
また、江戸時代を最後に、、結局、男系ではあっても女性天皇が登場しなかったのはなぜか?
そこを筆者は「女たちが男たちのつまらない権力闘争から降りた」かのように語るが、違うのではないだろうか。
女帝たちがどうお感じになっていたかはさておき、システムとして、やはり女性天皇は、中継ぎ・ピンチヒッター だったからではないだろうか?
文学的に興味深く、女性天皇を描くのはいいが、天皇制に言及するかのようでそうでないこの中途半端さがどうかと思った。
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日本の古代史では、多数の女帝が登場し、この時期に天皇は絶対権力を握る。それぞれの女帝の果たした役割や位置づけが、わかりやすい語り口で手際よく紹介される。実行力のある女帝や方向性を定めた女帝を再発見できた。天武系の血筋を消し、天智系に皇統繋いでいくという解釈は新鮮だった。
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橋本治の言うことに納得させられてしまうことが多いのだが、これもそうだった。
個々の事柄はすでに知っていることでも(実際この本でも、日本書紀と続日本紀という基本中の基本文献に拠って論を展開している)、ちょっと違う視点から照射してみせることで、目から鱗の思いを抱かせる。
女帝は中継ぎなんかじゃない論は結構あるが、天皇の役割を果たせるからこそ中継ぎとして登用されたんだ、と言われて、確かに…(本命が若年で役割を果たせないからすぐに即位させられなかったんだもんね)。
蘇我氏の力が最大の時になぜ蘇我氏と血縁のない舒明の即位を認めたかとか、なぜ天智がなかなか天皇にならなかったかとか、通説などではモヤモヤしていたことが、橋本の説明だとなるほどね。かわいそうな存在ぽく語られることの多い孝徳の権力志向や、逆に「陰謀家」と思われたりする藤原鎌足/不比等父子の非権力志向などの説も納得。その孝徳を挟んでの皇極→斉明の意識の変革も説得力ある。
天武薨去後すでに成人していた草壁が即位しなかったのは、わからなかった。
孝謙(称徳)が道鏡を天皇にしようと思えたのかは、もっと掘り下げてほしかった(父聖武帝から「奴を国王にするのもお前次第だ」と言われたから? ってだけじゃ弱いと思う)。
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日本の天皇は男じゃないと…なんて思っていましたが(綿々と繋いできたDNAが重要なんてね)女性で全然良いんじゃないと思わせられた本でした。勉強になりました。
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日本の古代というのは女帝の時代があり、やがて摂関政治の后の時代となり、男の欲望全開の院政の時代となって、そして争乱の時代が訪れる
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歴史の事実を橋本さんが糸を通して紡いだお話しは、新たな見方を示して頂きました。面白い。この本は、橋本さんの『双調平家物語』のダイジェストでスピンオフと言う。また、『権利の日本』『院政の日本人』も関連本。これらも読みたくなった。
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「この本は、私の『長い長い小説』である『双調平家物語』の副産物です」
「長くなった『前段』の中核をなすのが、ここに書いた『女帝の時代』の物語です」
細かいことは所与のまま進む双調平家物語の、歴史上のあれこれを解説してくれるので助かった。遠い歴史的人物が躍動感もって感じられる。そのつもりはなくても後からそうだと決めつけられたり、たいしたことないことでも大げさに取り沙汰されたり。力のない周りがよってたかって騒ぐのだな。
性別を超えた仕事の在り方という方が自然なんだと感じた。今はジェンダージェンダー言い過ぎ。
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興味深い。
そして、あのゴチャゴチャな系図をわかりやすく解説してくれてるところがありがたいです。
でも、あとがきにありましたが、これが『平家物語』を読むためのもの?
ここを理解するために、他の橋本さんの本を読もうと思います。