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作家、井上荒野さんのエッセイ集。
作家としてのこれまで、父の影響、本のこと、恋愛観、母のこと、妹の名前は「切羽」、夫のこと、生と死、音楽、妹の赤ちゃん、猫…そんな感じ。
文学賞受賞のことなどを除けば、日常雑記だが、作家の文章にかかると、何か特別な日常に感じられてまぶしい。
私たちと同じ日常を過ごしているのだけれど、文章とするべく作家の頭の中で整理され組み立てられていくうちに、特別な色合いを持って窯変していくのかなあ~
だとしたら、作家の日常はうらやましい。
今更ながら、そんな風に思った。
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井上荒野さん「夢のなかの魚屋の地図」、2014.1刊行、2017.3文庫化です。エッセイ集、28歳から24年間の荒野さん個人の歴史と家族(父、母、妹、夫)への思いが綴られています。読後、爽やかな風が吹き抜けていきました(^-^) ご両親は昼間からお茶を飲むかの如くウィスキーを嗜んでいらっしゃったんですね。お母様にとっては、本と美味しい食べ物と父とがすべてだったようで、母という女に触発されて「誰よりも美しい女」という小説ができたんだそうです(^-^)
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著者初のエッセイ集。
最初の荒野さんのご家庭は一家に小説家が二人いるご家族ですが、お父様の決まり文句は「うちでは文学の話なんか一切しませんよ」だったそうですが、それでも、そういうご家庭ならではのお話もあり大変面白かったです。
荒野さんが書けなかったときに、お父様に薦められた小説だというトルーマン・カポーティの『夜の樹』は私も積んでいるのでそのうち読みたいと思いました。
直木賞受賞作の『切羽へ』の「切羽」というのが妹さんの名前でもあったというのは初耳でした。
「日本女性の美しさ」が依頼されたテーマだったエッセイに、お母様のことを書かれたのは、読んでいて大変頷ける話だと思いました。
そして後半は入籍後のご家族のお話が中心で、ご主人は荒野さんより10歳年上で、お子さんはいないそうです。
荒野さんの人生に必要な三つのものが、
1男
2健康な胃袋
3物語(あえて本ではなく物語だそうです)
というのは、荒野さんの作品や、このエッセイにも反映されていると思いました。
香水は敷居が高くてつけられないとか、きらいなことばとか、「迷っているなら捨てるべし」など、荒野さんの美意識や信条に関する話。
妹さんの出産の話。
猫のことにはかなりページ数がさかれていて、かなりの猫好きであられるのはよくわかりました。
食べ物の話はタイトルが『夢の中の魚屋の地図』ですが魚系の話が多く、ご主人が手作りのドーナツを揚げてくれる話は「うらやましい!」と思いました。他にもアイリッシュシチューやロシアのコロッケなどや、ごく普通の玉子料理やお味噌汁でさえもの凄く美味しそうに見えました。食べたり作ったりされるのがお好きなんですね。
毎週1回1360字を埋める話を考えるのはなかなか難行だったとおっしゃっておられますが、小説家の日常を読むのは面白くて、さくさくあっという間の読書でした。
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井上荒野がこれまでに書いたエッセイ全部まとめました的な一冊。ファンとしては「あ、このエピソード小説に使われてるな」って内容があったし、好きな作家の生の言葉を読めるのは面白かった。
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小説家である父親を中心とした家族エッセイ。『あちらにいる鬼』は読んでいないが、本作からは父への恨みつらみは感じ取れず、少し歪かもしれないが、温かい昭和の家庭の雰囲気が感じられた。
「かぼちゃ」の話が印象的。