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兵法とその周辺の中国の戦術論的な書物(うつりょうし、荀子、老子等)の解説本。
項目別にさらっと現代的な解釈をつけている。
深堀したい人にとっては物足りない気もするが、入門書として、古代中国の戦術とかマネジメントに対する考え方を俯瞰する上では良書だと思う。
また、温故知新、というか…案外ものの見方って変わってないし、大勢の傾向はこうだけど本質はこう、みたいなことって変わっていないんだな、という。。人間だもの!?
作戦の立案とは―彼を知り己を知るー情報収集ー冷静な判断
兵は無過の城を攻めず、無罪の人を殺さず。-戦争は、やむを得ず行うもの。戦いとは、…あくまで不義の者を懲らしめるための行動。
p.52 占領地の政策について:
一年其の俗に従い、二年其の徳を用い、三年にして民得ることあり、四年にして号令を発し、五年にして刑を以て正し、六年にして民畏敬し、七年にして以て征すべし。
→「柔」から「剛」、「寛」から「猛」へと段階的に政策を推進
p.81
勢い必ず損有り、陰を損ないて以て陽をます。
→形勢には必ず損失が出るという局面もある。そのような時には、多少の損は覚悟して、大局的な利益を獲得するように努める。
p.100
→水は地形に即して流れを決め、軍隊は敵の実情に応じて勝ちを制する。…すべては敵の変化に自在に対応して勝利を収めるのである。
p.101
勝利を収める軍隊というのは、水のようである。水はこれ以上なく柔弱なものである。しかし、水のつきあたるところ、巌も砕き、水のしみ込んだ丘はがけ崩れを起こす。特別の理由があるわけではない。そのひたすらな性格で、行く手をさえぎる物につきあたるからである。
p.170 -合理と迷信
人が軍事行動を起こすとそれに対応して、天が勝敗の気を人に示すという。一方で、雲気を全面的に信頼してはならない…むしろ、「軍政を修め、智慮を高め、号令を厳にし、賞罰を正す」という人為的努力が大切―たとえ敗北の気にあっても、それで敗北が決定するわけではなく、自身の行動を反省し、教令を一層厳重にするという人為的努力をすれば、負けを転じて勝ちとなすことができる。