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内容ですが、
はじめに
アメリカは「正義」や「理想」を捨てたのか
非アメリカ化するアメリカ
揺らぐ「正義」の概念
「アメリカらしさ」を映す鏡としてのハリウッド映画
第1章 動揺を始めたアメリカの「正義」
第2章 戦時を通じた「正義」の変容
第3章 ハリウッドの描き出す孤独
第4章 ポスト・ダークナイト・シンドローム
第5章 ハリウッドにおける「日本」、その変化
第6章 ミレニアル世代はアメリカを変えていく
おわりに
ということです。
著者の見立てですが、トランプ時代に突入する中で、アメリカの現在、過去、未来を俯瞰するのは難しくなった。
対立軸の変容というストーリー、アメリカが劣化しているという判断なども確かであろう。
だが、近未来のアメリカを「予言」するのは実に難しい。
しかしながら、著者は、過去17年間にわたって、ハリウッドに親しみつつ、ハリウッドを俯瞰的に見る作業を着実に行ってきたのである。
その中から言えることは、トランプが勝ったのではなく、ヒラリー的なるものの敗北をもたらしたアメリカの現在、特にその絶対数が増加するミレニアル世代の動向を注視していくことの重要性を著者は示唆している。
米国に住み、ずっとハリウッド映画を見、分析してきた著者の手法には説得力がある。
いずれにしても、時代・時代に発せられる様々な「情報」を精緻に読み解き、一定の仮説を立てる作業、恐れ入りました(笑)。