投稿元:
レビューを見る
『食戟のソーマ』や『すしいち』のような派手さこそないけど、読み手を惹き付け、腹を空かせる力は十分にある
基本、ハンバーガーは食べない私ですら、これを読んだ次の日は、ハンバーグを焼いて、食パンに挟んで食べてしまうのだから、ほんと、凄い漫画だ
このストーリーの面白さは、やはり、綿密かつ地道、堅実な取材に裏打ちされているんだろう
作中に登場しているハンバーガーの美味しさや特徴を、ちゃんと、自分の舌で把握しているから、味の素晴らしさをストーリーを引き立てる要素に出来ているんだろう、と思った
美味しいものの為なら、妥協はせず、努力は惜しまない神宮寺さんは、料理人の鑑だ。そのスタンスは、誰にでも理解され、好印象を抱かせる訳じゃない。けど、彼は不思議と、自分に妬みを抱いている敵すら、妙な熱意で味方っつーか、協力者にしちゃうんだから、とんでもない
料理人ってのは、調理の腕そのものも大事だが、人誑しってのも必須かも
しかし、神宮寺さんにゃ、女心に疎いって欠点がある
ハンバーガーの格を上げる事しか考えてないのは良いけど、もうちょい、周りにも目は向けるべきだろうに
そう言う意味じゃ、傍目からすれば、しょうもない理由で恋人との仲が拗れ、胸の内で苦しみ続けていた上杉さんの方が、人間臭さはあるかも?
現状で満足せず、自らの力で事態を良い方向に動かす事を決心し、フェス開催の為に動き出した神宮寺さん
果たして、彼らの前には、どんな障害が立ちはだかるのやら。また、どんなハンバーガーでお客さんの悩みをズバッと解決して見せるのか、楽しみだ
どの回も、お腹が空いてくると同時に、心が満たされる感覚がある。その中で、私がお勧めするのは、第40話「バレンタインにハンバーガーを!」だ。(5)からの受け取り方が上手かったし、安っぽい恋愛ドラマみたいに、都合よく行かなかった点もグッと来た。もし、実は両想いでした、みたいな展開になっていたら・・・・・・いや、止そう。心の整理に時間はまだかかるにしろ、決着が付いたんだから
この台詞を引用に選んだのは、上杉さんに対する印象が、私の中で良くなったので。カッコ悪い男ってのは、自分の非を認められず、謝るタイミングをむざむざと逃がす奴だ。だから、己の矮小さを反省し、大局を見て、謝罪した上で、真摯に頼んだ上杉さんの、男としての格は中々のもんだろう