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表題作に関しては、地理や政経が好きな人はより楽しめる作品かなと思う。自分はそこら辺の分野が苦手なので、真面目に舞台背景を読み取ろうとすればするほど難しく感じてしまってなかなか読み進められず、短編なのに長編に感じた。比喩表現が長くわかりづらかったというのもあるかと思う。
「動物たちのバベル」 は人間という生き物をトコトン客観視した風刺作品という感じでおもしろかった。
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説明が長いようで、あいまいにしているところも多く、結局、誰が何しているのか、何がしたいのかよくわからない。
伝わらない、私が読む本ではなかった。
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とんでもない不条理に振り回され、失われていく言葉(「ありがとう」すら死んだとされる)に表現の自由を狭められながらも、「自分たちはかわいそう」という感覚では生きていない無名たち子供の姿が、絶望の色が濃いこの物語の中では希望である様に感じました。
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ひとつの日本のお話だった。
震災で漏れ出した放射能と、鎖国政策、外国文化への迫害。そして死を奪われた老人には“若い”という言葉が付けられる。若さという言葉が年齢に即さなくなったのは、若者が健康を奪われ、続く微熱や飲んだり食べたりさえ上手く筋肉を使えない、そのうち歩くことさえ出来なくなってしまう。
舞台は極端な場所のようにうつるけれど、この世界の“日本”と、私たちの生きている日本は根本が同じだ。そして一冊を通して描かれる震災後という世界が持つ、不穏さや、猜疑心、情報という実態のないものに流されてしまう根のなさは同じだと思う。
状況だけだけ見れば悲惨さしかないようなお話を、それでも読みものとしてくれたのは、作者の言葉選びと、登場人物たちのそれでもここで生きていく一心だったと思う。
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新聞の随筆で文章に魅せられていました作家、この度全米図書賞翻訳文学部門受賞。読みました。
外来語も自動車もインターネットも携帯電話も無くなり、鎖国状態の未来日本。老人は百歳を超えてなお元気、孫子はひ弱で生きる力が薄い。だから曾祖父がひ孫を育てることに。
なぜそうなったかは、ぼかされている、そこのところがこの物語は怖い。
『献灯使』のめぐるような表現にクラクラする雰囲気、これは何かに似ている・・・そうだ、宇野千代『色ざんげ』とか『みれん』の文章。はじめがなくて終わらない。でも、宇野さんのはリアルっぽいが。
デストピア文学と申しますが、この書き方は昔の物語の運び、例えば源氏物語などのあいまいさに似ているようです。もちろん内容は進化(?)したものです。
そして、続く短編『不死の島』と『彼岸』『動物たちのバベル』を読み進めると、文章と言い、ストーリー展開と言い、千年後の未来に読んでいるのかもしれない幻想を抱きました。
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献灯使をメインに他4つの話が収録されている。献灯使は160pほどの作品で、その中で章分けはされていないのだが、頻繁に物語の人物目線や場所がきりかわる。読書中軽く迷ったりはするけれど、それ以上に連続性やテンポがもたらす価値を感じさせるもので、文章の技巧に唸らされる。
一方で、内容的には自分の好みには合わない。
献灯使ぐらいの世界観ならそのうち他作品もと感じるけれど、短編のうち3作品は日本に対する嫌悪とそこから脱出した優越感すら感じさせるもので、原発事故直後によくみかけた、一部アーティストの直情的な反原発表現を惹起させるものであった。
また、物語の結びがぷつんときれるような構成なのもあまり好みではない。
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なんのこっちゃわからない。
たぶんものすごく高度な小説なんだろう。
でも全然わからないし、まるで面白くない。
ごめんなさい。降参です。
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全部読むのははじめて。かなり前にはじめのほうを読んでそのまま途中で止まっていた。短編集だけど世界観は同じ。蝋燭のやけに具体的な描写がなんでだろうと思ってたので理由がわかってよかった。でも全体的にはよくわかってない。
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なんとも言えない多和田葉子ワールドに吸い込まれていく感覚が心地よい。
一方で、人類の行く末への警鐘とも感じられ、考えさせれる作品。
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大災害によって社会の仕組みが変わってしまった世界と日本
地域というディストピアの中にある
母親という小さなディストピア
きっとここでモデルとされていたのは東日本大震災だろうけど、コロナウイルスでてんやわんやになっている今のほうが、この先の未来にとても起こりうる話に感じてしまう
どの話も、どうなるのかわからない
ドラゴンヘッドは好きじゃないけど
ドラゴンヘッド的なところがよい
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借りた本。初めて読む作家さん。
いま読むにぴったりだった。
価値観がすっかり変わったけど、今の日本からのつながりが絶対にある、未来の社会が描かれていて、痛いけどおもしろいという感じだった。おじいさんもひ孫ちゃんもそれぞれよかった。文章がおもしろくて綺麗、他の作品も読んでみたい。
いまわたしが追求している、浸かっている価値観が全く愚かなものに思えて、見失いそうにも思えた。
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ディザスター後の世界を描いた小説。
本のタイトルになった「献灯使」は恐らく原発事故後の日本が他国との接触を断ち、鎖国状態に。年寄りは死なない体になり、若者は体力が弱く飲食も歩行もままならない。無名をいう少年をひいお爺さんが育てる場面がほとんどを占めており、彼が「献灯使」に選ばれた直後に小説は終わってしまう。不思議な小説。タイトルの「献灯使」よりも、放射能の影響で人間の生活がどう変わるかに重点があるようだ。
それ以外に4つの短編が収録されているが、全てディザスター後の世界を描いている。
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いちばん生活に根ざした身近なモノ、コト、概念が少しずつずれていく面白さ。刺々しい崩壊のディストピアではなく、どこか柔らかな終焉の気配が小説全体を貫いている。長寿から短命に移りつつある世界の中で、家族のかたち、関係はどんどん霞のようにぼんやりとしていくように映り、義郎と無明の身体的、精神的対比を際立たせている。一見滑稽に空転しているようにも見える義郎の、終盤に吐露する激しい怒りのシーンに、ゆるやかな終末に内包された張りつめた世界観が浮かび上がる。「隣の少女」との邂逅もラストシーンに心地よい手触りを残す。現実世界との乖離度という意味で中身にはちぐはぐな点に違和感を覚えることもあったが、それも茫漠でつかみどころのない世界観の構成に一役買っているのかもしれない。
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どこか、遠い世界のようで聞き覚えのある世界でもある。オレンジジュースを飲めない、走れない、そして全てを悟って賢い目。
日本の祝日が次々と書き換えられる。
震災後のディストピアというには、あまりにも繊細で儚く、そして祈りで満たされている。
その世界にはほんのすこしの希望が欲しい。
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うーん。よくわからん。
今までなかった未来像を描いたところは興味深いけど、なにがメッセージなのか…?