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読み巧者としての筆が冴える一冊。純文学やエンターテイメント、時代小説からミステリまで著者が偏愛する短編をザッと見ることが出来る。新書故の内容のヌルさは気にならなくもないが、充実した内容で食わず嫌いだった作家を読みたくさせられた。もちろん既読の作家も読み直したくなったわけで、コスト・パフォーマンスの高い一冊であると言える。縮めて言えばお買い得。この一冊から様々な本に読書を繰り広げることが出来るだろう。湯川豊と出会ったのは今年の収穫だった。と同時に、自分の読書量の少なさを痛感させられることにもなったわけだけど
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穂村書評集の時にも思ったけど、やっぱり本文からの切り貼りが過ぎる書評は苦手。”解説するよりも素敵な文章を抜き出した方が”って意見にも、与することは出来ん。だったら書評要らんじゃん。という訳で、本書も半分以上が物語からのコピペ、ないし要約に終始している。あらすじを知りたいだけならネットで十分だし、なぜ勧めるのかをもっと熱く語ってもらわんと、そもそもホントに好きなんかどうかも怪しく思えてくる。とこきおろしたついでに、本書の中から読みたくなった作品もまた、皆無なのでした。
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短篇小説の名作を小説読みのプロである著者が選びぬいた計44作品を取り上げた良質のブックガイド。「現代の」と銘打って入るのが、取り上げられた作家は、亡くなられた方も含めて一番年長が松本清張(1909生まれ)、一番若手で三浦しおん(1976生まれ)といった幅。
短篇小説の醍醐味は、削ぎ落とされた文量で、いかに読者をその作品の世界に引き込み、楽しませるのかがキモ。ただでさえ少ない登場人物の心理を描かれる行動から読み取れれば作品の奥深さをより感じるのだろう。
普段はエンターテイメント性の高い作品を好むので奇想天外なストーリー展開を期待し文章を追いかける読み方なので、今更ながら、この本で気づきを得られたかもしれない。
個人的に気になったのは、遠藤周作、五木寛之、宮城野昌光、宮本輝、村上龍、高村薫、山田詠美あたり。
この中には食わず嫌い的な作家もいる。なのでブックガイドとしては私としてはアタリである。