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紀州の話し言葉はなんだか和やかな印象なのに、実際言ってることはえぐくてくらくらします。
この夏みたいにからりと晴れた日に読みおわれてよかったです。
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「晴れ女の耳」 紀ノ国奇譚
著者 東直子
【目次】
イボの神様
ことほぎの家
赤ベベ
晴れ女の耳
先生の瞳
サトシおらんか
あやっぺのために
緑涙
参考文献に『読みがたり 和歌山のむかし話』とありました。
八篇から成る短編集ですが、題材となっているのが、和歌山の民話や実話ということで、古い日本の風習やその土地の文化のようなものが根底に感じられます。人柱や神かくしなど、どのお話にも、そうしなければ生きていけなかった切なさがあります。
どのお話にも、人の想いが込もっている様に感じられました。
表題作、『晴れ女の耳』を出来るだけネタバレのない範囲でご紹介させてください。
『私が外に出る時は必ず晴れる。それは耳の中に住んでいる豆粒ほどの小さなおばあさんのお陰だった。おばあさんに耳の中に住む理由を尋ねると、哀しいおばあさんの遠い昔の記憶が語られます。何の罪もないのに、無実の罪を着せられ、村八分にされた母と兄妹たち。それでも生きることを諦めずに、どんなに辛くとも、子供達のために生きようと頑張った母。、、、。』
ー不覚にも外出中に読み進めてしまい、涙をこらえるのに必死でした。
どのお話も丁寧な語り口調で綴られています。
何にも大切なメッセージが込められています。
気持ちが、苦しくなるお話もあります。
『先生の瞳』、『緑涙』がほんのりと、好きです。
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和歌山弁による穏やかな語りに油断していると突き落とされる感じ。人間を引摺り込もうとする婆さんや狸や元々人だった何かは恐ろしかったり滑稽だったり。でも女達の何処にも行けなさがどの短編の底にも流れていて、ちょっと物悲しいのね