絵本を読むように新しい世界へ。「隠されてきた姿」に光を当てる
2018/05/17 18:47
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまで知られていなかった女性科学者の業績と人間的な魅力を、かたくるしい文章ではなく、おしゃれなイラストで紹介するというところが、本書の最大の魅力です。科学に興味がない人、彼女たちを知らなかった人も、絵本を読むような気持ちで、サイエンスの世界に自然と足を踏み入れることができます。この本を手に取って下さった方に、読む前と後とで確実に世の中の見方が変わった、新しい世界がひらけた、と感じていただけたら。
キレイなイラストに興味が広がる
2018/06/17 10:41
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投稿者:M77 - この投稿者のレビュー一覧を見る
洋書で見掛けて綺麗な表紙だな読んでみたいなと思っていたら、ちょうど翻訳されていました。
中身も表紙のように黒い地にカラフルなイラストと、伝記とトリビアの文が入り混じっていてとても綺麗。
日本版は翻訳にあたってデザインを重視し一部要約になっているそうですが、ここから興味を惹かれて自分で調べたり目指したりすれば良いし、僕もマリア・シビラやテレシコワなど気になる人が沢山いました。
50人皆が驚くほど重要な業績を残しており、また皆が正当な役職を得る為に闘っています。
最初に紹介されたヒュパティアは、「アレクサンドリア」というタイトルで映画にもなっていますね。
同位体のふるまいを解明したマリア・ゲッパート・メイヤーは、ヘビースモーカーで「ときに2本のタバコを同時に吸っていた」とか、健康に悪そうだけどエネルギッシュで強い女って感じ!
プログラミングの母と呼ばれる海軍准将グレース・ホッパーはデスクに海賊旗を掲げていた。チームが必要な物を手に入れる為に容赦しなかったからだ!
動物が快適に暮らす事を重視した爬虫類館を造り、後の動物園全体に影響を与えたジョーン・ビーチャム・プロクターは、病気で弱ってからも車椅子でリードに繋いだコモドドラゴンを連れて爬虫類館を巡回した。見たかったなそれ!
ロザリンド・フランクリンから剽窃し中傷したワトソンの行動などは本当に悲しくなります。逆にアインシュタインの様にちゃんと評価する人も居ますし、女性科学者達自身が後進を育てる事に力を注いでいます。
病気になったゲルティ・コリを抱きかかえて(イラストではお姫様抱っこで)移動し一緒に研究をした夫カールの様なロマンチックな関係もあります。
巻末で更に14人を紹介し最後に「次の偉大な科学者になるのはあなたかも!」と結んでいるのも良いですね。
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投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これまであまり注目されていなかった(あるいは意図的に無視されてきた)女性科学者にスポットライトを当てた、価値ある一冊。
装丁も美しい本です。
女性のみ集めるのも差別化と思ったが…。
2018/09/08 14:32
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投稿者:金山-Kinzan - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界を変えた50人の女性科学者たち」
このタイトルを見ると、「硬そうな本だな」という印象を持たれるでしょう。
実際硬い内容です。硬いとつい、読みずらいものになってしまう。そこを親しみやすいイラストと共に彼女たちを紹介することで、読みずらくならないよう工夫しています。
正に、イラストと伝記のコラボです。
これまでも、イラスト入りの科学関係の本がなかった訳ではありませんが、どちらかといえば、科学の実験の過程や物質を説明するためのイラスト、というのが主流でした。伝記でイラストが入っていても、硬いか子供向けかのどちらかでした。
本書のイラストは、オシャレですが、子供向けと限定されません。正に大人も子供も楽しめるイラストです。
一人の科学者につき、見開きで一頁を使用。左のページが本人をイメージしたイラスト、右のページがその人の伝記となっています。
古代から現代までの、女性科学者が紹介されています。
女性の科学者が歩んだ道のりは、苦難に満ちたものでした。女性だから大学や大学院に入れてもらえない、最初の登場するヒュパティアに至っては、殺されています。理由の半分は天文学を教えたこと(当時地動説は犯罪)ですが、半分は女性が男性にものを教えることがキリスト教の教義に合わなかったことによる逆恨みです。
残念ながら日本人はいません。本書の言う「科学者」は医師も含まれています。最近、某医大での女性差別が大々的に報道されている通り、まだ日本においては女性への差別が残っています。しかし、それも、個々の女性たちが地道に研究を重ね、成果を出していけば、解消していくと信じています。
私たち生きている時代よりも、女性が差別されていた時代に科学の研究に心血を注いだ女性たちがいる。尊敬すべきです。そして、そうした先人の苦労があったからこそ、今こうして女性でもいろいろな分野で研究ができるようになったのは忘れてはならないと思います。(戦前は、日本は女性は大学に入れなかったのですから)
「物理学を考える時、アインシュタインだけでなく、エミー・ネーターの名前も挙げられるようになるべきです」
忘れられていた女性科学者たちを、今こそ思い出すべきです。
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投稿者:まるはなあや - この投稿者のレビュー一覧を見る
性別や人種差別を乗り越え偉業を成し遂げた50人の女性科学者たちが、ユーモラスなイラストとともに簡潔に紹介されていました。幼い子供には少し難しいかもしれませんが、老若男女を問わず、世界中の人たちに読んでみてほしい児童書だと思いました。
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米国人の著者だからか,圧倒的欧米人率。アジア人は3人,うち2人は米国で大学教育を受けた人。アフリカ系の人は結構入ってる。ジェンダーもそうだけど,人種とか社会経済地位とか,いろんな側面からのマイノリティ(女性は男性の人数と比べて「少数派」ではないが,要するに不平等に扱われてきた人たち)に対する扱いが減るといいなというのが読後の感想。
この本で初めて知ったシルヴィア・アールがめっちゃ格好良くて憧れる。海洋生物学者,探検家,潜水技術者。環境保護活動者。現在も現役で活躍中。
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物理や化学、技術、工学、数学など科学の分野で目覚ましい実績をあげた、女性50人をおしゃれなイラストともに紹介されたビジュアルブック。
なんといってもインパクト大の装丁が目をひく。
内容もインパクト大で、知らなかったこと、知るべきことがたくさん込められている。
史上初のプログラミング言語COBOLを生み出したプログラミングの母グレース・ホーッパ―。コンピューターに「話しかける」という発想がいかにも女性らしい。彼女は「最も有害な決まり文句は『われわれはいつもこのやりかたでやってきた』のです」と常に世界に呼びかけていた。
DNAの二重らせんの発見者は、ロザリント・ルランクリンだったこと、彼女のデータを盗み見たワトソンがノーベル賞を受賞したことなど。
その時代にかき消されてしまった彼女たちの偉業に経緯を評し、その魂は永遠に継承されていくことを願ってやまない。
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歴史の陰に科学あり。その科学の陰に女性科学者あり。
本書は偉大な功績を残しつつ、あまり注目を浴びてこなかった50人の女性科学者にスポットライトを当てる。
著者のレイチェル・イグノトフスキーはイラストレーター。教育や科学リテラシーに深い関心を持ち、わかりやすいイラストで情報を伝えようと試みている。本書は、米国でビジュアルブックとして出版されて20万部を突破、世界19カ国で翻訳されたという注目の1冊である。
50人の女性科学者の業績を、彼女たちの似顔絵と略歴、印象的なエピソードやひとことで綴る。
目次をざっと見ても、知らない人物が多いことに驚く。
古代の天文学者・数学者ヒュパティア、化石コレクターのメアリー・アニング、ラジウムのマリー・キュリー、『沈黙の春』のレイチェル・カーソン、『二重らせん』のワトソン・クリックの陰に隠れたロザリンド・フランクリン、霊長類研究のジェーン・グドールなど、比較的有名な人物も取り上げられていることはいるが、大半は知らない名前がならぶ。
だが業績を見ると綺羅星のごとくである。
科学・技術・工学・数学(STEM)の分野で活躍した50人。理論物理学者、細胞遺伝学者、コンピュータ科学者、神経科医、薬理学者、プログラマー、宇宙飛行士。
人物によっては著者の筆がいささか前のめりに感じられ、実際には評価の分かれそうな例もある。とはいえ、いずれも後世に与えた影響の大きい、マイルストーン的な成果を残した人たちである。この本をきっかけに名前を知り、より深く調べる端緒となればそれもまたよしということだろう。
驚くのは、時代によっては、そもそも女性が学ぶこと自体が困難で、男子学生と机を並べることも許されなかった場合があることである。さらには女性であることに加え、ユダヤ人として迫害されていたり、貧困に苦しんでいたり、マイノリティとして抑圧されていたりした人物が少なくない。
障害や障壁を乗り越え、彼女たちを先へと進めたのは、「知りたい」という欲求だったのだ。
映画女優である上に発明家であるとか、植物学者で女性参政権活動家であるとか、業績が多岐にわたる人物も多い。そのバイタリティに勇気づけられる人もいるだろう。
イラストはポップだが、細密で、背景を相当調べて描き込んでいることが感じられる。
作りからして、「女の子」向けではあるのだろうが、高い壁に負けずに「その先」を目指すさまざまな人に元気を与えてくれる1冊だろう。
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テーマ的には、やったー
( ≧∀≦)ノ!!
なんですが、イラストが日本テイストじゃないので、日本の子どもは見てくれないでしょう。
でも買って!
調べるとき便利だから……。
でもって、司書は読んで!
このレベルは知っとくべき人たちなんだから!
2018/09/13 更新
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著者レイチェル・イグノトフスキーは、教育的アート作品の創作に情熱を燃やしている。本書はイマジネーション溢れる豊富なイラストと、短文形式のわかりやすい文体で、50人の女性科学者の生い立ちから業績が、丁寧に綴られている。性差別の困難な状況にめげずに頭角を現し、周囲に認めさせていくプロセスには想像以上の苦労があったことがうかがわれる。人類の半分が女性であり、遺伝学的にも優勢であるという科学的見解もある中、今後も女性が進出する裾野は広がり、活躍できる環境が重要であると、改めて感じた。
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自身もSTEMの分野にいる女性だけど、無意識のうちに過去の発見、発明は男性のもの、っていう認識があったなあとぼんやり思う。
イーディスクラークの「女性医師に絶対的な需要があるのと同じように女性エンジニアの需要があるわけではありません。しかし、いい仕事ができる人の需要は、常にあります」という言葉は、女性エンジニアとして考えさせられます。
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世界を変えた50人の女性科学者たち。レイチェル・イグノトフスキー先生の著書。世界には社会を変えるような素晴らしい研究成果を上げてきた女性科学者、女性研究者がたくさんいる。女性差別や女性蔑視といった障害を乗り越えながら、優れた研究成果を上げるなんて本当に大変なこと。女性活躍後進国の日本でも優れた女性科学者、女性研究者がもっと増えるように社会全体として支援する必要があります。
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別に科学分野に明るくなくとも、女性(特に女の子)をエンパワーしてくれる本。科学者、というだけあって取り上げられている人には近現代の人が多い。それ以前の時代にも女性科学者はいたと思うが、更級日記の”菅原孝標女”のように、才があっても名前が残らなかったのかもしれない。
各科学者の略歴を読むと、とにかく『女子は正規の教育を受けられなかったので…』とか『功績を横取りされ…』とか『女性は正規職員になれず…』のワードが頻出し、悲しくなる。『キャプテンマーベル』の映画で、周囲がダンバースの心を折ろうとしてくるのと同じだ。その逆境下で、彼女らの凄まじい努力や冒険心によってまた凄まじい成果を得ていることに素直に励まされる。
特に核酸の結晶構造解析で実質的に二重らせん構造を明らかにしていたロザリンド・フランクリンの業績は今すぐに生物の教科書に乗せるべきと感じた。ワトソンやクリックは細文字にしてよいから、フランクリンの名前は太文字で記してほしい。
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恵まれた環境とはとてもいえないような状況でも、自分の学びたいこと、知りたいことを突き詰めた女性科学者たちを尊敬するとともに、自分も彼女たちのような姿勢で学ぼうと思った。
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世界の女性科学者を見開き1ページで紹介。古代エジプトから20世紀まで、欧米だけでなく中国をはじめとするアジア人も。近代以降は、女性であるというだけで差別的な扱いをされた人がほとんどだった。
日本人がいなかったのが残念。それだけ日本の女性は強いたげられていたという事なのか?