リアルな家族小説
2024/06/27 21:48
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投稿者:ぼん - この投稿者のレビュー一覧を見る
全く予備知識無しで読み始めたのだが、結論から言って主人公は凄く良い青年だと思った。求職中の身とはいえ、あの年頃の男性が祖父のことをあんなに考えて自分の時間・労力を割くなんて、なかなか出来ないと思う。介護の動機だけをみると「酷い人物だ」と思われやすいだろうけど、たとえ主人公とおなじ状況であっても、祖父と関わらない若者の方が現実社会では大半なのではと思う。
主人公は終始、自分自身や物事をコントロールできているつもりでいるけど、最後のシーンで心細さや不安を吐露していて、弱さが露呈する。主人公が自覚していた万能感は、人生のエンディングを迎えつつある祖父を前にした限定的なものであり、一歩外に出て同年代の人々と自分を比較しはじめると跡形もなくなってしまう。
初めて読む羽田作品だったが、登場人物たちはもちらんのこと、筋トレや介護においても描写がとてもリアルで、予想以上に満足した。
介護、老い、第二新卒・・・様々なキーワードが、日常のなかで覆い被さってくる。 綺麗事でない現実のなかで、一気に読まされた。
2023/11/17 09:49
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
介護、老い、第二新卒・・・様々なキーワードが、日常のなかで覆い被さってくる。
綺麗事でない現実のなかで、一気に読まされた。
バラエティの出演などで「又吉じゃない方受賞者」として、個性的な一面のみ取り上げられることも多い筆者だが、現実を書き出し、えぐられる感じがした。
現実を書き出し、えぐられる感じ。
2023/10/14 14:45
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
介護、老い、第二新卒・・・様々なキーワードが、日常のなかで覆い被さってくる。綺麗事でない現実のなかで、一気に読まされた。バラエティの出演などで「又吉じゃない方受賞者」として?個性的な一面のみ取り上げられることも多い筆者だが、現実を書き出し、えぐられる感じがした。
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投稿者:たぐちゃ - この投稿者のレビュー一覧を見る
勉強させていただける内容が多くあり、特に、「生」と「死」については深く考えさせられた。
「生」についての表現は痺れさせらせるものが多くあった。
平均寿命だけ延びても
2021/03/30 03:07
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投稿者:UrusaiTwins - この投稿者のレビュー一覧を見る
平均寿命が世界一の日本で起こっている現実。ただ死ななきゃいいという医療介護。その老人たちを支えるために年金を払わされる若い世代の不公平感もわからないでもないが、その一方で戦後の荒廃の中懸命に働き豊かな日本を建て上げた世代でもあり、その恩恵を受けるのは当然ともいえる。かといって今の若い世代には経済、環境、コロナ、地域情勢まで、将来が見えない彼らなりの不安もあって、そう考えるとバブルの恩恵を受けた私らの世代が一番ダメなのかも。すみません。
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【ベストセラー芥川賞受賞作、待望の文庫化!】「死にたか」と漏らす八十七歳の祖父の手助けを決意した健斗の意外な行動とは!? 新しい家族小説の誕生を告げた芥川賞受賞作。
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家で邪魔者扱いされる祖父と主人公「僕」の関係を描いた作品。
やることもなく、年齢による不快さの中で生きる祖父。死にたいと口にしつつも、体だけは健康であり、その願いは叶えられそうにない。
そこで、僕は祖父の願いを叶えるべく、色々なことを祖父に行う。そんな中、僕の内面も変化が訪れる。
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とりあえずどれかを読んでみたかった作家の、芥川賞受賞作品が文庫化された、ってことで入手。しかしまず驚いたのは、そのフォントの大きさに、なのでした。もう一編、中編作品を抱き合わせれば良いのに。内容は、介護問題に対する新しい視線提起。介護が嫌だからやってあげずに放っておく、ではなくて、あれこれ積極的に世話を焼くことによって本人には何もさせず、身体機能の衰えを加速させることによって早く楽にさせてあげるという。逆転の発想ですね。結構残酷だけど。
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要介護者を持つ家族が抱える問題、過剰介護、尊厳死、いろいろなことが書かれていた。
健斗は『尊厳死』と言っていたが、母親も健斗も、祖父という厄介者を排除したいと思っているだけのように感じた。
母親は「特別養護老人ホーム」へ、健斗は「死」へと。
最後の方でイイ感じにもっていこうとしていたが、読んでてあまりいい気分の作品ではなかった。
毎回感じるのだが、芥川賞作品はどうも自分には合わないらしい。
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老人との関わりの物語だが、主人公が淡々としているのでさらっとしている。チョットさっぱりしすぎていて現実感が無い感じ。
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死にたい死にたいと言いながら、生きている限り生にしがみつくのが人間ですね。筋肉も脳みそも使わなきゃ弱る。
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昭和一桁生まれ、戦争を知っている人たちは、本人が意識しようがしまいが心の持ち様がちがう。それを強く感じた大阪北部地震です。本作に登場する爺ちゃんもそう。「死にたか」が口癖の祖父。その願いを叶えてやりたいと思う孫。しかし祖父の尊厳を守ろうとする孫の「良い話」というわけではありません。死ぬつもりもなさそうな祖父の様子を見て、孫が体を鍛え始める辺り、いつもながらに羽田さんはブラック。今回の地震後、そういう皮肉めいた見方ではなく、命があればそれで良しという両親の姿に驚き、意外にデカかったな我が両親と思うのでした。
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字が大きくてページが150p程度なので軽く読める。
死にたい死にたいと言う介護の必要な祖父の意思を尊重し祖父へ過剰な介護をする健斗。
筋トレと就職活動と祖父への介護に勤しむ主人公の心の内を描いた作品。
老人、介護、尊厳死、肉体と精神の再構築などがテーマなのか。
何れにしても、何も考えないでダラダラ読めるのが良い!
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じいちゃん、なかなか図太い人。
「死にたか」って言いつつ、全然その気ないんだもん。こういうお年寄りはたくさんいると思う。弱者のふりをして、その実、なかなかに強い。
主人公は、苦しみのない安らかな死をもたらすために過剰な介護に勤しむが、端から見れば、やり方は間違ってるけど、祖父想いの優しい孫。
仕事を辞めて、人生のお休みみたいな時期に、自分より弱ってるように見える祖父を横目にひたすら身体を鍛える。なんだか分かりやすい。
お風呂のシーンが印象的。祖父の手を半ば振りほどく形で風呂から出た健斗が戻ってくると、祖父が溺れそうになっている。
慌てて助けたが、祖父は健斗を責めるでもなく、何も言わない。
優しくしてくれる健斗を敵に回してはいけないと思ったか、と最初は思った。でも、大事な孫を責めるなんて考えもしなかったのかも、と思ったら、老いてもおじいちゃんはおじいちゃんなのだなぁと、凄みを感じる。
最後も、祖父は健斗を優しく送り出してくれる。
「死にたか」と言うこのおじいちゃんが、長く生きてくれれば良いな。
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仕事を辞めて就活中の青年と、自宅でほぼ寝たきりのおじいさんの話。
介護に甘えっぱなしのおじいさんの、やれあそこが痛い、ここが痛い的な構って欲しいアピールとか、実は軽く余力残している感じとか、この人をイラつかせる設定の力加減が絶妙でした。
逆に主人公は、誰に言われるでもなく善意でおじいちゃんの介護をしていること自体は偉いと思えるのに、それ以外のなんだか無駄に自信過剰な感じが妙に鼻に付きました。
例えば、筋トレだったり、勉強だったりと、自分の行動とその結果に対する信頼度が半端ないというか、、なんつーかこいつモテなそうだなーって漠然と感じたので、彼女がいるっていうのがなんだか不思議でした。