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江戸から明治への市井の人々の姿。
円朝をめぐる女を描きながら、世相を描く。
あー、累ヶ淵、もしくは牡丹燈籠を観たい、聞きたい。
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明治時代の落語家円朝を題材にした作品はいくつか読んだが、なぜ現代までその高い評価が継続しているのかいまだ得心がいかない。ただし、「真景累ケ淵」を読むとそこにあぶり出された奥深い人間の情念にぞっとさせられる。本著では円朝の弟子というかマネージャー的な男を語り部にしてその女性遍歴が綴られ、大きな変化の真っただ中にあった当時の世相と一方で普遍的な男と女のお話が語られている。神話化されてしまった感のある主人公だが、ここでは彼に関わった女の様子と共にとても身近に感じられて親しみさえ覚える。
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円朝について勉強した後、柄谷「日本近代文学の起源」辺りを再読、という読書計画の手始めとして。
円朝の残存する記録をネタにした二次創作のような立て付けなので、当初目的からするとそぐわないけど、本当に落語家が語っているかのような軽妙な語り口で楽しく読めた。
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円朝の弟子が語るという設定。落語家の話を聞いているようで読みやすかった。出てくる女性はタイプは様々だけど、一所懸命で可愛い。
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江戸末期から明治まで、近代落語の祖と言われた大名人、三遊亭円朝と関わりの深かった女性たちを、身近にいた五厘の目線で噺家の語り口で綴る。
面白かった〜。
落語のことはほとんど知らないのですが、
噺家の生活、江戸時代においては身分などもなかったこと、
吉原のこと、明治になってからの戦争のこと、
鮮やかに情景が目に浮かぶほど細やかな描写で、
それでいて噺家の語り口なので飽きずに楽しく読めました。
円朝を愛した女たち、吉原の花魁、芸者、旗本の娘、など、
複雑な心情を側で見ていた語り手の優しさがいい。
円朝の本心はわからないけれど、語り手が円朝の表情を
話すだけで、その空気感が伝わってくる。
絶頂を極めた円朝も晩年は寂しい様子だったことも描かれる。
庶民の目から見た時代小説。
傑作です。
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伝法な口調の「語り手」の地の文のおかげで、とにかくスピード感を持って読める。
主人公は円朝自身ではなく、あくまでその周辺の「女」であることが
他の円朝ものとは違う利点。
うむ面白い。
いろんな女。
ただ決め手に欠ける。
そんな読後感。
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内容(「BOOK」データベースより)
時代の絶頂を極め、近代落語の祖と言われた大名人・三遊亭円朝と彼を愛した五人の女。江戸から明治に変わる歴史の大転換期に生きた彼らの姿、いつの世も深く果てない男女の仲を、語りの名手がいま鮮やかに炙り出す―全盛を支えた名妓から、淋しい晩年を看取った娘分まで、女を活写する傑作時代小説。
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落語が好きで、「塩原多助」も、「真景累ヶ淵」も、昔、『明治文学全集』で読んだことがある。
まったく読んだことがない作家の作品だけれど、数年前からずっと気になっていた。
円朝のおかみさんとなったお幸、円朝の子を産んだお里、ひょんなことから関わりを持った長門太夫、養女お節などの女性たちとのかかわりを通して、円朝の半生が浮かび上がってくる仕掛けの小説だった。
それを語るのは、円朝の弟子で、今や本業では食いあげて、五厘という、芸人にくっついて上前をはねる仕事(今でいうならマネージャー?)となった八。
まず印象的なのは、本当に聞こえてくるかのような、歯切れのいい江戸弁。
これに惚れ惚れしてしまう。
江戸っ子の痩せ我慢や、そこに根差す粋。
絶対自分には無理(笑)
円朝の語り口がどんなものかも描かれていて、想像を掻き立てられる。
怪談になるとわざと声を細めて粘っこい話し方をする、なんてある。
小さな声でもよく通った、などとも書いてある。
どんな風だったのだろう。
タイムスリップして聞いてみたい。
怖がりで、だからこそ怪談話に強みがあったという分析も面白い。
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昨年の12月から読み出したのに、なかなか読み切れなかった本である。
活字も大きく、すぐに読めてしまうだろうと、思っていたのだが・・・
円朝という偉大な落語家の話なのだが、、、、売れない(?)弟子が、語り手のように、物がっていく。
テンポの良さに、最初は、ググっと引き込まれて行った。
噺家とお姫様のような旗本のお嬢様の女性。
円朝の息子、、、後に勘当されるのだが、その母親。
吉原の花魁。
引く手あまたの柳橋の名妓から正妻になったお幸さん。
そして、円朝の養女の娘たちと、最後まで世話をした娘。
この時代を風靡した落語家の円朝が、人脈が凄いのに驚かされる。
そして、そのパトロンでさえ、芸を磨かすのに、お金を惜しまない所が、凄い時代だったのだと、、、、。
読んでいて、実物像が、どんなであったのでだろうと・・・と、そして、その時代の身分の差の結婚に、やはり、越えてはいけない範疇が、あったのだと、、、感じてしまった。