柳田ワールドをビジュアル化するなら、やっぱり水木しげるさんなのかなぁ。
2020/05/11 22:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
柳田國男の『遠野物語』を水木しげるがコミック化。遠野物語の入門書としていいかなぁと思ったけれど、逆に、原作を先に読んでからのほうが、面白いし、理解も早いのではと思う。傍らに、原作を置いて、読み進めることをおススメする。
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なかなかの組み合わせですね。
原著も読みましたが、やはりビジュアルで迫ってくるものは違います。
一般的に遠野物語というと、妖怪がたくさん出てくるイメージですが、実際にはいわゆるキャラクターとしての妖怪はそれほど登場せず、むしろ、どこどこ村の誰さんちの話という具体的なエピソードが中心です。
特に「オチ」がなくてぱっと終わっちゃう話もあって、それが逆に怖かったりしますね。
挿入されているエッセイの内容も充実していて、遠野に行ってみたいなあと思わせる一冊です。
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2010.02.14 日本経済新聞に掲載されました。
2010.03.14 朝日新聞「本の舞台裏」で紹介されました。
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★前世 遠野に存在していたのは確かなようだ(p.256)
(一)水木しげるさんの絵柄は遠野物語に合っています。また、読み較べてはないけど原作に忠実なようです。著者自身の合いの手が入ったりします。
(二)ひとつひとつの話はあっさりしています。
(三)三十年ほど前遠野に行ったことがありますがそのときすでにわりと観光地化して不思議な雰囲気はありませんでした。とはいうものの陽光に輝く郊外の田園風景はのんびりした気分になれましたし、夜歩いているとたしかに怖いだろうなと思えるくらいなにもない感じでした。いまはどうなっているでしょう?
■遠野物語についての簡単なメモ■
【安倍貞任/あべのさだとう】朝敵認定されているが東北では英雄だった。遠野にはその伝説が多く残されている。早池峰の安倍が城という岩には今でも貞任の母が住んでいるらしい。
【雨風祭/あめかぜまつり】男女二体の人形をつくり道の辻まで送り行く。
【石臼】手紙を届けたお礼にもらった。米粒をひとつ入れると黄金を出す。妻が欲をかいてだいなしに。
【馬追い鳥】ホトトギスに似て少し大きい。「アーホー」と鳴く。飢饉の前兆。
【御犬】狼のこと。犬のふったち。
【大坊主】餅が好物。焼けた石を餅と勘違いして食べてしまう。
【大山男】山男のさらにデカいヤツ。
【オクナイサマ】大同と呼ばれる旧家でまつられている。桑の木を削った神像。家の神、作の神。
【オコマサマ】神体は男根に似せられている。コンセサマと似ている。
【オシラサマ】養蚕の神。遠野を代表する話のひとつ。娘と通じた馬を殺し首を切り落とすと娘はそれに乗ってどこかに行ったという有名な話。なんで養蚕と関わってくるのかいまいち釈然としていないのだけど。
【オット鳥】寂しい声の鳥。
【語り部】昔話を語ってくれる人。
【郭公】姉が芋の固い部分を食べているのはそっちの方が旨いからだと誤解した妹に包丁を立てられた姉が変じた。それを悔やんだ妹はホトトギスになった。
【河童】遠野を代表する妖怪のひとつ。遠野の河童は顔が赤いらしい。常堅寺にはカッパ狛犬もあったらしい。脚は猿か人間の掌に似ているかたち。馬を引きずり込もうとして逆に引きずり出されて裁判? にかけられた。
【菊池】松崎の人。庭作りの名人。珍しい形の石を見つけて持って帰ろうとしたが持って帰れなかった。
【菊池菊蔵】和野の人。狐に化かされて餅を取られた。
【菊池松之丞】飯豊の人。傷寒(腸チフス)を病んでいたとき幽体離脱して死んだ父や息子と会った。
【菊池弥之助】笛が上手い。境木峠(さかいげとうげ)で謎の声をかけられた。
【ケセネ】米、アワその他の穀物。
【狐】雉撃ちの鉄砲に土をこめたり、妻の夢に入り込み夫を騙そうとしたり、死体を操ったりする。
【ゴンゲサマ】神楽舞の組ごとにひとつずつ備えられている木彫りの像。獅子頭に似たタイプ。火伏せに霊験がある。
【コンセサマ】男根に似せられている神体はオコマサマと似ている。
【佐々木嘉兵衛】山女を撃ち殺し髪を奪ったが山男に取り返された。
【佐々木鏡石】佐々木喜善。遠野の不思議話を柳田國男に教えてくれた人。祖母の姉は魔法に通じていた。
【ザシキワラシ】いると家が栄える。神として扱われている。遠野を代表する話のひとつ。
【サムトの婆】寒戸にいた娘だが山男にさらわれたらしい。ある嵐の夜少しだけ顔を現した。
【猿のふったち】わりと人に似ていて好色。女性を覗いたりする。毛皮には松ヤニを塗り砂をつけているので防弾チョッキになっている。
【サンズ縄】魔除けとしている場所の周りを囲む。
【蜃気楼】山田ではたびたび蜃気楼が見られる。蛟とか大蛤のしわざとよく言われる。
【大同】旧家。オクナイサマやオシラサマをまつっている。寝ているとおどされたりする。神様のいたずらかもしれない。
【田尻丸吉】子どもの頃幽霊に出会った。
【ダンノハナ】近くに相対する蓮台野(でんだらの)があり六十を超えるとそこに追いやられる。日中は里で農作業などやって稼ぎ夜は戻る。野に出ることを「ハカダチ」、戻ることを「ハカアガリ」と言う。
【天狗】大男たち。オオイワの上で金の勘定をしていた。
【天狗森】若者が天狗に相撲をしかけたが負けたうえに後に手足を抜き取られて死んだ。
【遠野】平地。原野。当時、石狩の平野よりも人口密度が低かったらしい。
【遠野三山】早池峰、六角牛山、石神。若い女神が住まうという。
【鳥御前】元南部男爵家の鷹匠。遠野の山々に明るい。不思議な男女に出会ってちょっとからかったら最終的に死ぬことになった。
【ドンドハレ】昔話の最後に言う言葉。
【新田乙蔵/にった・おとぞう】深山の伝説をやく知っていたが臭かったので聞きに来る人は少なかった。
【白鹿/はくろく】神とも言われている。嘉兵衛爺が撃つと白い石だった。
【離森/はなれもり】燐寸の軸工場があった長者屋敷にけらけら女っぽいのが来たり、従業員を操って連れ出したりする女が出たりした。
【笛吹峠】山女や山男が出るらしい。
【福二】土淵村の助役、北川清の弟。婿に行った先で大津波に遭い妻と子を失うがある夜遠い便所に行こうとして死んだ妻とその死後の夫と出逢う。
【経立/ふったち】年を経た獣が怪しい能力を身につけ怪異を起こす。
【曲り家】人の住まいと馬小屋がL字形に合体した形の家。
【マヨイガ】山中で出くわす立派な家。何かしら持ち出すといいことがある。小国の三浦家の主人の妻が出会ったが何も取らずに帰ると後にわざわざ椀を送ってきた。
【柳田國男】著者。
【山男】ときおり里の娘をさらい生まれた子は食べてしまう。外国人説も聞いたことはあります。
【山女】山男にさらわれた人間の女かも。おおむね神隠しにあったとされる。それとは別に妖怪としての山女もいるような感じもする。
【山神】顔が赤い。逢い引きを邪魔されたら仕返しするし、人に占いの術や読心術を授けたりする。
【山口孫左衛門】家に童女のザシキワラシが二人いた。学がある。キツネと親しくなった。
【山口村の吉兵衛】山女に遭遇して寝込み死んでしまった。
【ヤマハハ】山姥のこと。若い娘を誘拐したりする。
【雪女】遠野の雪女は童子をあまた引き連れているそうだ。
���六部】全国を行脚する僧。行者。
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オリジナルの話がそうなんだと思うけど
普通に女の人が山に居たら、怪しいから撃ち殺すとかどうかしておる
水木せんせいが遠野物語の地に行き、解説しているという連載ものなので
もちろん劇中のせんせいの腕はありません。
腕組みの表現とか…
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もっと評価されるべき!な一冊。
遠野物語を漫画化?ふざけるな。誰がやるのさ!水木先生。どひゃー!って感じです。この企画打ち出した編集は神。
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このタッグすっげ!!
淡々としてるのに面白くて、一気に読めてしまう。ねずみ男が出てきたりして、水木ファンならより楽しめるのではなかろうか。
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朝から昼までぐうぐうぐう。一昨日だったか、家で寝ていると向こうの方から小走りに近づいてくる足音が聞こえてきたので、うつぶせたまま目を覚ました。近づく足音は枕元へ、かと思うと寝ている僕のまわりを1周回った。「弟かな?」と思って体を起こそうとするも何故か体が動かない。とりあえず《寝かせてくれー》という意味を込めて、「う゛ーーー」と唸る。そしたらフッと足音気配が消えた。「おかしいなあ」と思ったけども、パソコンがある方からクリックの音が聞こえてきたので、「やっぱ弟か」と思ってまた寝た。しばらくすると弟が帰ってきて起こされた・・・・。
あな、おそろしや。夢だと思いたいけれど、一周回られた時は人が動くとき立つ風を確かに感じたし。アレはいったい何だったのだろうか。
人の世には時々説明のつかないことが起こったりするものである。また、まともに説明しないほうがかえってよい(正確に説明すると都合が悪い)と言うことがあったりするものである。しかし人の世は腑に落ちぬことを許さぬもの。ゆえに「説得」をしなくてはならない。そんな人間の心から妖怪は生まれる。それらを「妖怪の仕業」として、人の手には負えぬものとして、または人とは相容れぬものの仕業として、落としどころをつける。これによって様々な「非道」が隠蔽されてきたということもあったろう。
本書は柳田国男の『遠野物語』の100周年を記念して、その中の妖怪にまつわる逸話を水木しげるが漫画化したものである。88歳にしてまたもやブームを迎えた水木氏。本書のなかに「キタローが巨万の富を届けてくれたからね(もう十分)」と言ってニヤニヤ顔で黄金の横取りを断るシーンがある。妖怪め!
漫画にしては少々値の張る本書であるが、近年の何か説得力に欠ける古典小説漫画化ブームの中でも、「専門家」がやってくれると買う気が起こるというものである。決して、最近のゲゲゲブームに乗っかっている訳ではないと断っておこう!
「さすがだなあ」と思うのが、柳田国男を「カバー」した作品にもかかわらず、完全に水木しげるで消化しているところだ。「ゲゲゲ」のノリと変わらない。88歳の妖怪の片腕は芯からぶれない。そして何よりもこの画風。恐ろしいような、可笑しいような、引き込まれる魅力。どこか絵巻のような絵。あたりまえだろうが、これほど「妖怪」を語れる漫画家はいないだろう。
妖怪がどこまでも科学的でない(説明されない)存在だとしたら、本書でも妖怪の存在をどこまでも肯定する水木サン、妖怪語りでは原作者を凌駕してしまった・・・・(原作読んでない)・・・、どうだろうか。
ちなみに、冒頭の奇っ怪談を「正確に」説明しようとするなら。足音が近づいてくるのは夢で、吹いた風はクーラー、クリックの音は水槽でポンプからでる泡が水面ではじける音、と言えたりもするが、そんなはずはない。
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今年は遠野物語発刊100周年を記念して多くの記念行事が催されています。この本は記念すべき年に水木しげるが遠野物語をコミック化したもの。妖怪界の両巨頭、柳田国男と水木しげるの超コラボレーションです。
水木しげるが遠野物語に独自の視点を加え、独特なキャラクターを生み出しています。1話1話がコンパクトに凝縮され過ぎている感もありますが、遠野物語の魅力が十分に伝わってきました。
また、遠野に関するコラム「2010年、遠野の風景」が数回織り込まれていて、遠野の魅力を伝えています。
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始めて水木先生が描いた漫画を読みました。
人物と背景のコントラストが面白く、ぐいぐいとこの話に魅かれていくなと思った
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内容紹介
座敷童、河童、鬼……生活の中から人々の想像力が生み出した妖怪が、今動き始める。妖怪の原点である柳田國男氏の名著を水木しげる氏がコミック化。日本妖怪史上最強の黄金タッグが実現。妖怪の里遠野紀行も併録。
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びわこ成蹊スポーツ大学のボランティア活動で滞在していた岩手県遠野市は、「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる氏がインスピレーションを得た土地。
1910年に柳田國男氏が発表した「遠野物語」を、水木しげる氏が怪談漫画で表現した一冊。
このような民話が、確かに残っていてもおかしくない土地だなぁと感じました。夜真っ暗で、歩くの怖かったです(笑)。
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「『遠野物語』ではあまり妖怪の名は出てこないが……」「みんな妖怪ですよッ!!」(最終話より)。2008年,ビッグコミック誌上で水木しげるが齢86歳にして開始した話題の連載の単行本。日本民俗学の名著「遠野物語(柳田國男)」を独特のタッチでマンガ化している。
ときどき,ストーリーテラーとしての水木先生自身と思われるキャラクタが登場し,コマ運びに緩急をつけている。このキャラクタは「すごいもんだねえ」とか,「…物悲しい話だね…」「保護色というもんかねえ」など,簡単な感想を述べるばかりで大した重要性はないのだが(まれに冒頭のセリフのように激昂することはあるけど),これがために単なる「遠野物語」の翻案マンガを読んでいるだけではなく,水木しげると遠野の里を探訪し,二人で古老の話に耳を傾けているような雰囲気が生まれている。
原作「遠野物語」の多くは語らず,淡々と怪異を綴る筆致と,水木しげるの派手さは無いが黒と白の多彩な表情を描き分ける絵はよくマッチしている。原作本を読みながら頭に思い浮かんでいた風景とあまりにも似ていて既視感を覚えるほどだった。どのコマも1枚の絵画として成り立つような美しさがあり,絵を楽しむマンガとしてもオススメ(本)
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柳田國男遠野物語をコミック化したものです。
柳田國男の生家がある町に住んでいながらも、
恥ずかしいことですが原文を読んでいないので、
どこまで忠実に漫画化されたかは分かりませんが、
初心者にもわかりやすくてよいと思います。
「民俗学」と聞くと堅苦しくなるけど、
水木しげるさんの作画によって
とっつきやすくなっているように思います。
河童やザシキワラシの話は有名ですが、
他にもたくさんのお話があり、
これからも語り継いでいくべきものではないかと感じました。
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柳田國男遠野物語をコミック化したもの。
水木しげるさんの作画もあって、ぐぃぐぃと世界観に引き込まれました。
沢山のお話が短編で入っており、河童、座敷童、山女等いろいろ登場します。
ハッピーエンドはあまりありませんが、これからも語り継がれていくべきお話だと思います。民俗学というと難しく感じますが、初心者でも読みやすいと思います。
個人的にはもっともっと評価されて欲しい一冊。
2010.02.14 日本経済新聞に掲載されました。
2010.03.14 朝日新聞「本の舞台裏」で紹介されました。