経営戦略を歴史的に見ながら再定義した書!
2018/07/09 08:04
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、経営戦略論を歴史的に俯瞰し、その中でそれが一体何を探求する学問であり、どのような発展を遂げてきたのかを明らかにしながら、経営戦略というものの再定義を試みる作品です。有史以前から現代のAI時代という壮大な歴史の中で、どのようなものが見えてくるのでしょうか。非常に興味深い一冊です。経営論に興味をお持ちの方々にはぜひ、読んで頂きたい作品です。
新興企業に対しても重宝する
2022/11/29 07:23
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投稿者:Hoyobo - この投稿者のレビュー一覧を見る
一般的にこの書籍は戦略論についてアカデミアと実務の橋渡しをしようとしている点などが強調されている印象があるが、個人的に有難いのが新興企業に対するアプローチだ。独立した章(10章)としても議論されているが、それまでにも節目節目で言及されていて、隠された重要テーマなのではないかという気さえしてくる。他の経営テーマと同様に、新興企業に関する戦略論もなかなか本格的に扱われることは少ないのでそういった関心の方にも是非お勧めしたい。
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戦略の理論と実践の橋渡しをしてくれる一冊。
さまざまな戦略フレームワークが生まれた背景と文脈を理解しながら、それぞれの活用法と限界を知れる。
また、実践においては、大企業からベンチャー、そして、グローバル展開に渡るまで、その局面におうじて使うべき考え方がまったく違うことを体系的に学ぶことができる。
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「経営学とは、実学と社会科学(理論)という2つの側面を持つ学問であるが、この間には大きな断絶がある。」
これは従来の経営学における議論でも度々指摘されてきた事実であるが、この断絶を埋める方法について言及した書物は多くなかった。本書の目的は、この両者の橋渡しをすることであり、実務家、研究者の両者にとって示唆に富むものである。
本書の内容は、そもそも「経営学とは何か」という問いから始まり、理論としての経営学の変遷、実学としての経営学の変化、そして最後に未来の経営がどのように変化するのか、著者による主張がなされている。
個人的に本書の価値であると考えるのは、理論変遷、実学の関心の変化などを読み解く際に、それがなぜ変化したのか、当時の社会変化をもとにその変遷のプロセスまで言及されていることである。
個々のフレームワーク、理論に関して詳述している書物は多いものの、それらがどのように結びついているのかという部分まで踏み込んでいるものは少ない。この点においても、本書は何度も読み返したくなる一冊であると言える。
両者の議論をカバーするため、本書は約500ページに渡る。
やや長いという印象を受けるかもしれないが、明快な語り口で議論をされているため、冗長であるとは感じない。
特にビジネスパーソン、研究を志す学生などにとって、両者の考え方、関心、議論の変遷を理解し、自身の立場から経営に携わる際の思考の軸となるだろう。
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理論と実践の架橋を目指したという戦略論の本。
500ページの大ボリュームで、かなり広範は内容が盛り込まれている。初めて戦略論を勉強する人より、スタンダードな戦略論のテキストをいくつか読んだことのある人の方が向いていると思う。
一方で、盛り込みすぎて散漫になっている気もするし、全体を貫く統一的な視点がないようにも思う。
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世の中の「経営戦略」を網羅できる便利で読み応えのある一冊。辞書的にも使えてオフィスに一冊は必携。例えて言うなら経営戦略に関するサピエンス全史で過去からの大きな流れを整然とつかめるし、なぜそんな考え方が生まれそして廃れたのかについても理解できる。ところどころに入っている著者のコメントが気が利いていて勉強になる。この本を書き上げるのに5年かかったと言うが、これだけ多数の論文や書籍、学会発表を参照して分析するなら、それくらいはかかるだろうと思える大作。
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経営戦略論の系譜が詳しく取り上げられている。これをさらに柔らかくすると「経営戦略全史」(ディスカヴァー・レボリューションズ, 2013年, 三谷 宏治(著))になるイメージ。
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経営戦略学史。実務との乖離が指摘される経営学だが、事例を統合史一般化する作業には時間が必要で、実際は企業経営の環境の変化に合わせ、経営学も大いに変化している。
ここでは、戦争の戦略における予算と目的遂行から始まり、テイラーなどの大量生産技術をどのように生かすかということで、安定した需要環境の中で経験曲線をどれだけ先に進めるかというBCGマトリックスが生まれた。オイルショックを経て単純な大量生産による業績拡張が難しくなってくると産業間の利益率の差異から、外部環境を詳細に分析するポーターのファイブフォーシズは生まれ、差別化/コストリーダーシップ/フォーカス戦略が誕生する。情報技術や国際化で
外部環境も大きく変化して分析が間に合わなくなってくると、内部環境にフォーカスがあたり、企業内資源の異質性・固着生に注目した資源ベースの理論が台頭してくる。また同時に企業の成長段階に合わせ、多角化をどう評価運営していくかという事業戦略を超えた全社戦略も同様に発展していく、そこでバランスとスコアカードによる自社評価がされ、人事、財務、といった機能別の戦略も同様。また実行の度合いを担保することも当然求められており、KPI管理などで対応するが、この対応は戦略と従業員の意識のアラインメントが重要である。
現在では、新興企業に対し、外部内部の詳細な分析をしている余裕はないので、はしりながら,A/Bテストのような実験をしつつ戦術の完成度を高めていく仮説思考計画法が出てきた。
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グロービスでおなじみのフレームワークを歴史的文脈の中で評価する著書。PPMなどが時代遅れであることなど、相対化できるのは非常によかった。
とは言え、2000年以降の学説紹介が少なく、実務で使えるフレームワークは一体なんなのかが不明でモヤモヤは残った。
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経営戦略の実務と理論の架け橋となることを目指した挑戦的な本。
理論編においては網羅的に振り返られていることから、思考や各種議論の体系的な整理となり非常によい。
メモ
・技術による直接影響の大きなものは次の二つ
効率性の向上。不確実性の低減。
⭐️技術による間接影響の大きなものは競争優位の源泉となりうる資源能力知識の変化。特定の資源能力知識の優位を低減させる一方、技術の活用を前提とする資源能力知識の価値が高まる。
・技術が進化することはvrioの前提条件が変化するということ
・経営戦略の未来に訪れる三つの変化の可能性
経営における人の関与があらゆる階層で小さくなる
個品開発個品製造個品販売が普及する
直接の取引相手が必ずしも人間ではなくなる
・外部環境分析を中核としたポジションの議論と内部環境分析を中心としたパースペクティブの議論、そして、外部でも内部とも関連付け困難な戦略行動を取り扱うプロイの三概念がある。プロイはゲーム理論やヒューリスティックのような話。
・昔は小規模企業間取引であったが、独占による超過利潤を求めることが可能になると大企業が存在し、そこで軍事や国家運営ノウハウなどが活かされていくようになっていった。その後経営を測定し改善する科学的プロセスが反映されるように。しばらく管理する側とされる側という思想であったが、労働側も当然人間として意思があり、経営者は目標やビジョンによりこれを統合して方向付けしていけことが必要であるという整理がなされ出した。
・アンゾフによると多角化は4つの種類
水平型 近い事業領域に別の製品群。吉野家がはなまるうどん。
垂直型 自社の調達先、販売先に進出。ユニクロのSPA開始、ドトールコーヒー栽培など
集中型 自社製品と近い製品群への多角化。ダイソンがモーター基軸にヘアドライヤー
集成型 中核事業の競争力を背景に一見無関係に見える事業に参入。イオンがメディカルモールへ。楽天が旅行や書籍を取り扱うなど
・BCGマトリックスは製品イノベーションが限定的で大量生産が生まれる標準品が産業の中心であった時代を前提に設計されている。縦軸には競争の概念が抜け落ちており、横軸には標準品の前提がある。
・ファイブフォースは経済全体の成長が停滞する中、事業ポートフォリオ組換えでなく、産業を精緻に分析して理解する必要性が高まる中、産業構造理解に基づき、自社打ち手を戦略的に検討する必要がある中生まれたもの。
・ファイブフォース分析、ほんとうはそれぞれの市場参加者の具体的な行動を左右する要因を可能な限り定量的に捉えたものである必要がある。よくある間違い
産業の定義が広すぎるか狭すぎる。
要因だけが単純列挙されており厳格分析されてない
全ての要因を平等に扱い、重要要因を深掘りでにてない。
結果と原因の混同
単年数値のみ用いて業界変化トレンドを無視している
一時的あるいは周期的な変化と真に構造的な変化を混同している
戦略的決定のためでなく、業界魅力度を判断しようとしている。
・roaの差異要因、産業効果は2割しか説明できてない可能性。
・競争が激しくなるとともに産業構造からの議論でなく、内部資源に立脚した分析が求められた。
・コアコンピタンスとは広範かつ多様な市場への参入可能性をもたらすもの。最終製品が顧客に提供する価値を向上させるものであり、他社には模倣が困難な技術やスキル、その融合体を示す。
・特に評価される可能性が高い資源は無形資源。有形資源は市場交換しやすいため競合も入手しやすく、産業構造変化や技術革新で価値を失いやすいと考えられる。異質性がたかく固着しやすい資源は企業が持つ無形の独自性に価値を見出すことになる。
・欧米経営戦略教科書での定石
外部環境理解 PESTEL 5F シナリオ分析
内部環境理解 資源ベース理論、知識ベース理論、ダイナミックケイパビリティ
競争優位源泉決める 差別化、コスト優位、イノベーション 競合関係がカギ
・スタートアップで用いられるKPIの例
顧客関連指標 顧客獲得コスト、顧客定着率、顧客生涯価値、SNS拡散率
UIUX関連指標 タスク成功率、タスク所要時間、検索ナビゲーション比率、エラー発生率
財務関連指標 LTV/CAC比率、CAC回収期間、バーンレート、ランウェイ
外形情報 アクティブユーザー数、ページビュー、流通・決済総額
・規模の大きい組織や変化のスピードの早い環境の企業ほどKPIも短期でその意義を失い、単なる数値報告に成り下がる傾向あり。
・リーンスタートアップの要点
事業モデルに紐づく仮定や前提条件を構造化して理解すること
創業初期は仮定や前提条件の検証へ注力すること
検証に対し顧客を巻き込み、市場でそれを行うこと
・新興企業、段階的に全社戦略が事業戦略から独立する。成長の過程で新興企業はその特性を失い、成熟企業へと変化する。成熟後も創造性を失わない企業が組織の永続性に近づいていく。
・国際展開におけるジレンマは統合と適合。単一にすると複雑性低下して運営コスト下がる一方現地の特殊事情に対応できない。
・地理的な距離に関係するコスト、現地環境に不案内であるためのコスト、現地の環境特性により生じるコスト、母国の環境特性により生じるコスト。
・三つの要素が他国市場参入を左右する
所有の優位、立地の優位、内部化の優位
・国外市場で得られる付加価値
販売量増加、コスト削減、差別化、産業魅力度、リスク平準化、知識資源能力獲得
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経営戦略のケース毎の定石と、それを実践する際の視点と課題を体系的に纏めた一冊。
まずは経営戦略を時系列で紐解き、その成り立ちを追う。その後、前章で見た時系列に乗せて事業の外、中からの視点を展開する。さいごに、現代経営の3つのケースを取り上げ、経営戦略の各理論が新規事業、多国籍企業、情報技術それぞれにどう対応するかを確認する。
いきなり読むにはやや重いが、経営戦略論をひと通り学習した後では各論の関連とその時代背景が掴めることで理解度が格段に深まる。
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経営戦略が時代背景とともに発展してきていることが良く分かった。そして、実務家の気にする行動に関する理論が弱いことも。
戦略と行動の断絶が、日本のような実務たたき上げの経営者が多い組織では、戦略的意思決定が行われず、管理的意思決定と業務的意思決定に終始する原因のひとつになっているのではないか。
経営のビジョン、目標、戦略、予算の間に断絶が存在している。どれも耳が痛い指摘ばかりだ…。
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そもそもが難しいテーマで、内容を全て理解し切るには、私の能力が足りてないところがあったが、重い内容の割りには、比較的平易な文章表現で構成されていたので、読み切ることができた。
経営戦略の立案も実行も(今のところ)人間が行うものであり、人間の持つ不確実性、非合理性の下で経営戦略を如何に実践していくべきか?というところが印象的であった。
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経営学の理論と、巷に溢れる経営how to本みたいなものがどう違うのか掴みかねていたが、本書を読んで経営学の理論がどのように学術としての体を成しているのかがやっと掴めた気がした。
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経営とその周辺領域との関係性にも注意しながら、古典的理論・実践から現在の複雑化した理論・実践まで触れて説明されている。マネジメントや数字の管理においては自動化・最適化は可能。だが、結局戦略面の最高の選択は分からないので、トップがビジョンを語ってメンバーの士気を上げて組織全体で頑張るみたいなことかなと。その頑張り方のパターンももちろんたくさん触れられている。