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明日、新しい時代である「令和」を迎えるにあたり、部屋の片隅に読みかけとして置かれていた本を一斉に整理することにしました。恐らく読み終えたら、面白いポイントが多く見つかると思いますが、現在読んでいる本も多くある中で、このような決断を致しました。
星一つとしているのは、私が読了できなかったという目印であり、内容とは関係ないことをお断りしておきます。令和のどこかで再会できることを祈念しつつ、この本を登録させていただきます。
平成31年4月30日(平成大晦日)作成
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225頁:圧力を加えて手無理やり……
・「手」はいらない?
226頁:接近を拒否しようとする戦略ととるソ連海軍……
・「戦略をとる」?
226頁:百年五十のスパンを挟んで……
・「百五十年のスパン」?
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著者があとがきで述べている通り、前半の英米についてと後半の日本に関するパートで、大きく流れが異なる。
ただ、英米とビジネスをしていく上で、理解しておくべきコンテクストがとても良い。
英国は
早く見つけ、遅く行動する
粘り強く主張し、潔く譲歩する
日本は
仰いでは 天に恥じず、
伏しては 地に恥じず
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世界の覇権は18世紀初めにイギリスが、その後アメリカが握った。両国は同じアングロサクソンであり、アメリカだけを見ていては、その本当の強さの理由がわからない。
イギリスが世界の覇権を握るため、特に注力したのは「海洋覇権」の確立。自国の船だけでなく、他国の船の安全も保障。この「航行の自由」により、どの国も覇権を受け入れた。
こうした「自由と開放」の論理が、アングロサクソンの覇権の核心。
アングロサクソンの特徴として「偽善」がある。皆の利益を尊重するように見えて、実際は自らの利益の最大化を図る。普遍的な価値観をことさら強調し、そのことを隠す。奴隷解放宣言などがそれにあたる。
「パックス・ブリタニカ」は
・覇権的な軍事力
・強大な経済力
・普遍的な自由貿易のイデオロギー
の3つが支えた。この構造はアメリカに受け継がれ「パックス・アメリカーナ」の基本原理となっている。
イギリスは、他国との共存を重視する「多極的な世界秩序」の維持と安定を目指した。アメリカもこれを引き継いだが、冷戦後「自由=正義」という独自の価値観に世界中を従わせる戦略に転じた。「一極支配」を目指した結果が、イラク戦争やアフガニスタン侵攻の失敗につながった。
アメリカが世界のリーダーとして生き残る道は、多様化してゆく世界で、多角的な協調秩序への移行を先導すること。しかし、トランプ大統領は世界を納得させられる「理念」に欠けており、その役割を望むことは難しい。
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冷戦の継続、共産主義と英米の台頭など、なかなか面白い観点で、世界はこのように動いてきたというのが興味深い。日本にはこのように、長期にわたって国をどうするか、というビジョンが無く、表面的な部分のみで世間が騒ぐので、この新たな段階に入った世界の中で、“日本“をどう守るか、など真剣に考えていかないといけない、と、自分の考えを見直すいいきっかけになった。
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1814年ナポレオン戦争 くるみ割り理論(欧州統一を阻害する欧州以外の勢力、イギリス、ロシアの後押し)
イギリス→地中海からアラビア半島の沿岸部に出て、ペルシャ湾、インド、マラッカ海峡を通り、シンガポール、中国海岸沿い
ロシア→4代綱吉時代にはオホーツク海、ベーリング海、カムチャッカ半島を版図に収める。西には18C(バルト三国、ポーランド)
ロシア→ヨーロッパ進出のためバルカン半島(オスマン帝国)
イギリス→1869年のスエズ運河開通以前 地中海→シリア→イラク南下→ペルシャ湾北端のバスラ→船でインドへ アフガンがロシアに抑えられるとペルシャ湾がロシアに抑えられる可能性あり
1853~56年クリミア戦争(ナイチンゲールの看護くらいの印象しかない) 東エルサレムのキリスト教会の管理権にロシア介入、対オスマン帝国→真の狙いはコンスタンティノープル、海峡へ進出
→イギリス、フランスが危惧し、オーストリアと共にオスマン帝国支援
イギリス東洋艦隊 カムチャッカ半島、オホーツク海でロシアと戦闘 1854年8月 軍港ペトロパヴァロフスクで戦闘(1853年ペリー来航と同時期)
アメリカが日本と交渉中、クリミア戦争中の英露は様子見
1861年ポサドニック号事件 ロシア海軍が対馬を半年間占拠・租借要求
イギリス公使ラザフォート・オールコックと老中安藤正信が協議→ロシアが対馬を抑えたらウラジオストックから対馬海峡、日本海はロシアのもの
→イギリスは上海が危うくなるので協力申し出→幕府の中枢はイギリスの考えを見抜き、結局、イギリスの抗議でロシア撤退
クリミア戦争で黒海、バルカンへの南下失敗のロシア→ロシアは東アジア、中国を狙うとイギリスは予測→1856年5月中国との国境確定→イギリスもアロー号事件で広東攻撃→英仏連合で一気に北京まで支配
過去のアヘン戦争(1840~42年)もロシアの中国支配を阻止するため開国させたもの
幕末の日本・開国→金流出→インフレ、混乱
1875年樺太千島交換条約 イギリス人パークスの助言→ロシアがオホーツク海から太平洋に出るのを防ぐため千島を間接的にイギリス支配にするため
日英同盟→明治外交はイギリスの傀儡だったという簡単な話ではなく当時の世界情勢から判断すべき→真に歴史に学ぶことにつながる。☆イギリスと同盟を結べて浮かれた日本人の姿が目に浮かぶ・一等国になったつもり
イギリス=ヨーロッパの片田舎、見劣り→19Cに勝者 金融(ユダヤ人)、情報力、海洋力
1756~63年(七年戦争・フレンチインディアン戦争)北米で英仏戦→1759年ケベック(エイブラハム平原)の戦い→暗号解読でフランスの援軍情報を解読
航行の自由(自国、他国の安全を保障→自国の船を守るコストを大幅に縮減できる→覇権国のメリット) 現在の中国(排他的)→歴史的に非効率、海洋覇権の確立とは逆の道を進む
WTO、IMF、ハブ空港、インターネット→世界中から多くの利用者→覇権が強固になる 英米のやり方
英語の普及→文法簡単、訛りに寛容→柔軟性、実用性→ものの役に立てばよいという��実重視の姿勢
議会制→当時のヨーロッパの常識では奇妙な制度 イギリス絶対王政→内乱、軍事独裁(クロムウェル独裁)、国王の裏切り→うまくいかず立憲君主制という名の議会制・折衷案
生身の低俗な人間に合わせることが一番生命力豊かな制度を作る ヘンリ8世の離婚問題・ローマカトリック離脱
日本人は誤解 民主主義は理念ではなくパワー(多数の意見だから上意下達よりも強力に推進できる)
成文憲法なし→目の前の現実に合わせて法律があるべき→日本の憲法解釈問題は英米人には理解不能☆憲法改正は他国ではどうでもいいこと・9条利用者が騒ぐだけ・不買運動はありえるか?仏核実験時の不買運動と同一視
アングロサクソン自由と解放→自分の利益の最大化が狙い・巧妙に仕組まれていることを隠すことが大切
ハロルド・ニコルソン「外交」 エリート主義 ファイブ・アイズ(5か国だけで共有する機密情報あり)
現在の日本・成長停滞 ヨーロッパ諸国の衰退期に見られた現象
1584年スペイン領ネーデルランド ウィリアムセシル 橋にたどり着くまでは橋を渡ろうとしてはならない→人は脅威があることを知ることにより橋にたどり着く前にそれを渡ろうとする→時間という最も重要な戦略資源を味方に付けることの必要性
人は常に目前の状況や不安定、不確実さを少しでも減らし、状況を支配しようとする衝動に駆られやすい→命取りになる
行動への傾斜・何かをしたくてたまらない心理→正面突破してしまう
人間にとって物事がどちらにも決まらない状態→異常に耐え難い
成功よりもうまく負けることの方が意味がある
オスマントルコの崩壊、カナダは併合されることが必然として政策→的中せず→独立戦争、クリミア戦争、ボーア戦争、スエズ出兵→歴史の汚点
退却精神 耐え忍ぶことの大切さ
1808年 イベリア半島北端コルーニャへの数百マイルの退却行ジョン・ムーア イギリス戦史の華
潔い譲歩 自らの大きな利益を得る知恵必要・感謝の念
17C初めのある学者 ジェントルマンとはジェントルマンらしく金を使うことのできる人物である 同義反復トートロジー
モンデール・クレイトン 当面する決断が自己の原則に関する問題か、さらに情報を必要とするか、専ら適切な判断を探し求めるべきかの3点を混同してはならない
モラル、情報、判断力→イギリス政治リーダーの必須条件
1970年代のイギリス衰退論→現在では日本より一人当たりのGDPはるかに高い生活水準☆今の日本が学ぶべきは?具体的な記述なし
イギリス、日本→大陸の文化を積極的に取り入れながら従属せず、一国一文明、独立志向
国のあり方が単一的になるとその国の活力に大きなマイナス ×外敵に対するために一枚岩になる→かえって弱い面あり
1760年インドベンガル地方・プラッシーの戦い イギリスがインドからフランスを放逐
1759年アメリカではケベックの戦い
イギリスの覇権 産業革命 他国へ自由貿易を大義に売りさばく
アメリカ独立戦争では敗戦(七年戦争の勝利で驕り・他の主要国の重大な脅威→他国は米国独立のために義勇軍)→��後は敗戦が対外戦略の一大哲学
→教訓としてナポレオン戦争の講和会議→会議は踊る・オーストリアに主導権とらせ宥和政策
冷戦後のアメリカ 正当性なしに武力だけ→覇権は早期にすり減る スペイン帝国と同じ
トランプ政権→世界を納得させる理念なし 大英帝国→奴隷解放(奴隷貿易監視の名目で監視船)→人々を引き付ける要素☆今の日本が海外市場に出るための名目は?災害支援のため・津波地震・防災、交通インフラ、交通事故ゼロ社会…
☆後半は共産主義の批判・マスコミで全く報道されない内容
安倍首相 2015年 戦後70年談話→冷戦の内容なし・深い反省
戦後の講和反対派→ソ連側の人間がアメリカ主導の枠組みに入るのを阻止したかっただけ
昭和初期 中国問題のジャーナリスト尾崎秀実(ほつみ) スパイ事件・ゾルゲ事件 共産主義者
P132戦後日本のアカデミズムに籍を置く人、左翼、リベラル→共産主義や進歩派の思想に寛容・危険性認識せず→各種の工作活動に絡む☆今のマスコミ、教授でも多い…
ソ連崩壊、天安門事件、北朝鮮の現体制→冷戦の問題点→都合の悪い冷戦を隠蔽→日本の戦時中の謝罪要求論調へのすり替え
近衛文麿・昭和天皇への上奏 共産主義達成のために早期和平に反対・戦争継続で破滅した日本の方が共産化簡単 国家総動員を推進した勢力=共産主義思想と親和性高い
レーニン 1920年の演説 日米の対立、戦争に導くのが共産主義者の任務
尾崎が意図的に進めた戦争の拡大と泥沼化は近年数々の証拠で知られるようになる☆一人の記者の記事でそこまで社会をミスリードできるか?・朝日新聞を批判しすぎか?
シベリアではなく南進させ、英米と戦わせるための工作をした
世界を見る観点が日本ではなく、常にアメリカを原点に置いている日本のエリートや知識人
国連憲章 日本の敵国条項 中国の海洋進出でも拒否権を使われたら日本は何もできない
急速な少子化 戦後の対日政策・人口圧力が問題→人工中絶推奨、優生保護法 地方都市の衰退→大店法の影響 農地改革
ペリー時代 イギリスは日本に開国迫らず→アヘン戦争のニュースを聞いている日本を開国させれば敵になるはず・新興国のアメリカの方が警戒心を持たない
日本を高く評価→好意よりも警戒心が強くなることを意味する。
清国 アヘン戦争敗北→アロー号事件→過酷な北京条約 中国にとっては屈辱的な時代
現在の中国「屈辱を乗り越え中華民族が世界にそびえ立つことが目標」→習近平中国の分析に必要な視点
尖閣諸島→領土問題があると認めたら国連、中国の拒否権→終わり 資源があるから中国が干渉し始めただけ☆具体的に何の資源があるのか?報道されず
中国、韓国の歴史認識→自国に都合のいいように世界に宣伝するためのもの
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日本の外交下手は、国際社会では不利となり、同時にその心(正直で几帳面)を守る砦ともなってきた。そのジレンマを直視し続けることが肝要という結論。
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第1部 英米覇権の世界史と日本
1 幕末維新を直撃した英露「グレート・ゲーム」
2 世界覇権の文明史──アングロサクソンはなぜ最強なのか
3 イギリスの知恵と「悪知恵」――早く見つけ、遅く行動し、粘り強く主張し、潔く譲歩する
4 大英帝国覇権の源は国教会にあり
5 アメリカ独立戦争―─トランプには真似できない大英帝国の支配術
第2部 二十世紀の「怪物」と日本――共産主義とパックス・アメリカーナ
6 共産主義と日米戦争──ソ連と尾崎秀実がやったこと
7 ソ連崩壊とパックス・アメリカーナ――二十世紀の日本から冷戦を読み直す
8 世界秩序の転換点を迎えて──「日本」というアイデンティティを背負う気概
9 明治百五十年――試練に立つ日本
10 日本人として生きるということ──次世代に伝える日本の心
<アマゾン書評より>
国際政治では大小の、裏切り、酷薄、残忍、鉄面皮、あらゆる資質が求められる。こうした場面で心優しい、正直な日本人は素晴らしい能力は発揮しない、多くの場合出来ない。国家とは:1.安全保障、2.豊かな生活を国民に与える、3.国家に存在価値があること=精神、誇り、identity, 生きがい、を守り伝える。(A)
いま日本の外交問題は対韓国、中国、北朝鮮にあります。彼らは事実は曲げても良いとの精神構造を持っているので、そうした国とはじっくりと取り組み、腰を据えて歴史論争をすること、とは著者の忠言です。そして常時、国家とは、と自問自答して上に書かれた内容(A)を何度も咀嚼して己の考えを自立させて生きること。