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1972年、48歳で急死したSF小説家、広瀬正による傑作タイムトラベル小説。
昭和38年、主人公の前に突然、現れたタイムマシンを発端に、主人公は時系列の渦に巻き込まれる。
タイムトラベルによるパラドックスをこれでもかと張り巡らし、数々の複線が最後には気持ちよくまとまっていく。
実はコノ人はアレで、アノ人はコレだった・・・。そんな展開を繰り返し、「あー、こういうことだったのか」と、主人公も読者も納得の大団円、ハッピーエンド。
「近親相姦」なんてコトバが浮かびそうな気がしないでもないラストではあるけど、壮大で練りに練り込まれたストーリーに感動してしまった。
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タイムマシンに翻弄された人生。
考えさせられるなぁ。
頭ん中がこんがらがるけど、おもしろい。
ラストの真相はちょっと予想外。
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感じ方はそれぞれかと思いますが。
「SF」を前提にして読むと、少し趣がことなるかもしれません。
いわゆるSFと言うよりも、時間冒険市井小説、とでもいうような印象です。
スタートから巡り巡って時間をあちらこちらへと旅しながら振り出しに戻ってくる奇妙なスゴロクのようです。
途中で、主人公が誰なのか(読み手がなっているようにも思いますが)わからなくなるような、今どこへ連れていかれているのか、どこに着地するのか、放りだされるような感じを覚えます。
けれど、しっかりとゴールはあって。
それも、「ああ」と安堵の気持ちとすとんと腑に落ちる感じがあって、読後はなるほど、と思わされます。
個人的な好みから言うと、すこし長いかな、と思います。
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20数年前に初めて出会って、夢中で読んだ。その後もふと読みたくなって、時々読んでしまうお気に入りの一冊。
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文句なく最高のパラドックスでした。実は最初の出だしと、表紙の絵で戦争ものだと思って読み始めたのですが、すぐに違うことがわかりました。
4つの名前と3つの時空。
最後はあまりにややこしくて、卵が先か?鶏が先か?の議論に陥ってしまいました。
以下ネタバレ注意
私は娘の言葉に脱帽しました。「まあいいじゃない、いまは幸せなんだし。それにお父さんとお母さんは究極の近親相姦をしたわけだけど、こうして娘が立派に育っているんだし。」と言うような台詞だったと思うんですが、なかなか言えない台詞だと思いますね〜。
普通だったら、聞いだけで頭が混乱してしまいますよ。だって、お母さんがお母さんを産んで、そのお母さんが自分を産んだんですよ?
ね、これだけ聞いただけでも頭が痛くなってきたでしょ。なのに、今が幸せなんだから良いじゃない、って台詞が言えるなんて、強い子だな〜って思いました。
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初、広瀬正作品。
伏線がすごくて、途中で何度か考え直す必要がありましたが、
昭和初期の人々の暮らしぶりや温かさも垣間見ることができ、
とても楽しく読むことができました。
最後は頭が混乱して整理しないと難しくなってしまいましたが、
1つ1つ繋がる毎に興奮し、全てが繋がってしまえば
すごい!としか言い様がなかったです。
全てが繋がった時、じんわり心が温かくなります。
浜田の人の良さが全てを良い方向へ進め、
人への親切が自分に帰ってきたまさに良い例ですよね(笑)
でも、、そもそもタイムマシンは何処からやってきたのだろう?
疑問も残ります。
【1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?】
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戦時中の昭和20年5月25日、俊夫は隣の家に住む伊沢先生が空襲で倒れているのを発見する。その時、先生は俊夫に18年後の5月25日の0時に庭にあるドーム型の建物に来るよう伝えた。18年後、俊夫がそこを訪れると、そこには18年前と同じ姿をした隣の家に住んでいた啓子がいた。彼女はタイムスリップし、そこに立っていた。しかし、その後、俊夫は啓子を残し、31年前にタイムスリップする。俊夫はそこで帰る術をなくし、中河原伝蔵として生きていく。その後、俊夫は戦争を経て家に戻ると、隣のドーム型の家には小田切美子という女優が住んでいた。伝蔵は彼女と結婚し、彼女の本名である及川を名乗るようになる。彼と彼女はそこに住んだ。15年後、浜田俊夫という男が訪ねてきた。その後、彼は消え、啓子という女だけが残った。そして、啓子は過去に消え、美子は過去を思い出すのである。啓子は自分自身であり、自分の母親であり、自分の娘であったのだ。
タイムマシンの導入部分がやや簡素にされていたところで、やばいかなーと思ったが、その後の過去の東京、特に銀座の描写の美しさ、そしてケー子や山城といった人物の登場の仕方等を通じてそうした不安は消え去った。どんどん話に引き込まれていくのである。ケー子のメモ書き、浜中啓小及、の意味に気づくことができなかった分、最期にその意味を知っていく過程はすごかった。タイムパラドックスに関しては、基本的に起こらない、もしくは避けられるものと捉えながらも、一人の人間の誕生に関して循環的に描かれていることには、タイムパラドックス以上に衝撃を受けた。時間という手段を使いながら、人の謎を巧みに描いた面白い作品であったと思う。
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最近の本はみなさまお読みの事と思い
あえて、少し昔の本を選びました。
出てくる人がみなやさしいんですよねえ
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タイムマシンものです。
なにげな~く読んでいて、最後に「あっ!」と驚かされるような感じでした。
途中で、「えっ、これどうなっちゃうわけ?」と思うようなことが起こって、そこから先は一気に「おお~、そうかぁ」と、タイムマシンものの醍醐味と言えるような展開になります。
ドラえもんで、ドラえもんがのび太の宿題をやるために、2時間後・4時間後とかの自分をタイムマシンで連れてきて、一緒に宿題をやらせる、というのがありましたが、あれを読んだときと同じような感覚に陥りました。
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「マイナス・ゼロ」は広瀬正のタイム・トラベルものの傑作SF。1960年に刊行された小説だけど、今読んでも最高に面白く、全く古さを感じさせない驚異的な作品。一時は絶版になっていて、結構な値段で売られていた記憶がある。
2008年に復刊された時の文庫本のチラシには
不朽の感動に満ちあふれた作品世界に書店員さん大絶賛!!
「日本人によって書かれたタイムトラベル小説の最高傑作。」
「今読んでも古びてない、むしろ風味が増していてさらに熟成している名作」
「当店店長が十年以上前に読んで、今も印象に残っているという一冊。」
「奇抜なアイデア、どんでん返し。ぜひ、もう一度売りたいし、売れる!!これは。」
さすが目利きの書店員さん。すべて言い尽くしてますね。新刊だったら「本屋大賞」に選ばれること間違いなしでしょ。
ストーリーは、空襲のさなかに主人公は隣に住む「先生」から憧れの啓子さんを18年後に迎えにきて欲しいと頼まれる。そして見事にタイムトラベルした啓子さんを迎えることができるのだが、今度は自分がタイムトラベルする羽目に・・・というもの。
僕はタイムトラベルものでも、タイムパラドクスをメインとしたアイデア中心の作品は好みじゃなくて、行きたい時代に行けなかったり、会いたい人に会えなかったりでハラハラしたり切なかったり感情を揺さぶってもくれる作品が好き。「マイナス・ゼロ」はその代表。何層にも入り組んだタイムラインとそこでの登場人物の思いが最後には見事に収束。ほんと何度読んでも惚れ惚れする。
しかも主人公は昔の日本に一人放りだされても全然めげずに、技術者としての知識を生かして前向きに生きてゆくのが、また好ましいところ。
僕の中で「マイナス・ゼロ」に近い位置づけの傑作タイムトラベルものは、ハインラインの「夏への扉」。こちらもハラハラしたり切なかったり。タイムトラベルものとラブロマンスって食い合わせがいいと思う。そういえば、こちらも主人公は前向きな技術者だった。
あとタイムトラベルSFの傑作は、ケン・グリムウッドの「リプレイ」。こちらは何度も何度も人生を繰り返す男の話で、これも切なかった。日本では北村薫のタイムトラベル三部作「スキップ」「ターン」「リセット」。特に「リセット」は泣けたな?。
映画では「バタフライエフェクト」が断トツ。この切なさったらないね。最後のシーンで街の喧騒が消えた一瞬にオアシスの「Stop Crying Your Heart Out」がそっと流れる。痺れる~
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復刻全集が出たときに本屋で平積みになっていたので手に取った.
タイムマシンものとしては古典的.
と思ったけど, もともと書かれた年を考えると, 古典的な作品が影響されているところの古典の方に属するのかなぁと.
時代背景の記述が詳細で, その時代をよく知っている人にとっては懐かしさを覚える「三丁目の夕日」や「20世紀少年」が持っているのと同じ側面を持っているような気がする.
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ズドンという衝撃が身体中に走った。この著者の発想力はすごいですね。昭和38年からタイムマシンで時空を超えて昭和7年の世界へ。その当時の銀座の街並み、カシラを筆頭に人々の人情が活き活きと描かれていてそれだけでもとても楽しい。そして多くの散らばっていた伏線がひとつになりどういう結末を迎えるんだろうと思ったけど、最後は想像を遥かに超えた終わり方だった。幾つかのタイムパラドックスが描かれているけど、著者はひとつの答えを軸にしているので違和感を感じることはなかった。とても素晴らしいSF小説だった。
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SFもの ストーリーがちょっと強引?
面白かったけど中盤の中だるみっぷりは異常
昔の東京を知るにはいいかもしれない。
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タイムスリップSF 。全体を通して感じたことは、主人公のようにどんな状況においてもその状況を受け入れ精一杯生きられる人は強いということでした。
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長年の宿題、広瀬正をやっと。当然素晴らしい。ノスタルジックでほのぼのとした過去の情景をゆったり味わえつつもワクワク感を持続させる筋運び、そして美しい時間の輪の回収。堪能した!