不思議の国のアリスは
2018/12/04 07:06
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おどおどさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
1作目しか知らないけれど、これを機会にシリーズで読んでみたい。
こちらは三部作とうたっているので、この続きも楽しみである。
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面白かったです。カラフルで可愛い装丁で気になっていました。
不思議の国から帰ってきた少年少女が入学する学校が舞台でした。
彼らは、また彼らの不思議の国へ帰りたいと願っている。この世界は自分の本当の世界ではない…と思うこと、彼らはもっと切実でした。
死者の国にいたナンシーが主人公で、彼女が入学してきてから様々な事件が…というお話だったのですが、起こる殺人事件が結構凄惨でした。
キャラクターは、ケイドもジルも好きでしたが、特に好きなのがジャックでした。マッドサイエンテイストの弟子で、冷静沈着で紳士な女の子。
殺人事件はジルが起こしたもので、ジャックは落とし前をつけてふたりでヴァンパイアの国へ戻りました。
ナンシーもラストに、自分の国へ。
闇を感じさせるファンタジーで好きな世界でした。3部作で、次はジャックとジルの前日譚のようなので続きも気になります。
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本屋で平積みにされていたしヒューゴ・ネビュラ賞W受賞と書かれていたので興味を持ちました。SFというよりはファンタジーだよね、コレと思いながら読みました。
原文なのか訳なのかはわかりませんがちょっと文章が固いというか、わかりにくい表現があったり、どこにかかっているのかわからない単語とかがありました。まあ出てくる言葉自体もとっつきにくくて難しいんですが。高ロジックとかいきなり言われてもよくわからない(笑)ナンシーの戸惑いはよくわかる(笑)そして同じような経験をしている割には排他的というか同属感が無い子供たちだなぁ…と。まあ子供ってほど子供でもないか。主人公だって16だか17って書いてあったし。確か。
個人的にはナンシーよりはジャックとジルの双子の方がキャラが立ってるし面白いなぁと思いました。案の定食われちゃった感じがしなくもない。でもナンシーの方がモテてる感じなのはなぜなのか?(笑)
ジャックの最後「故郷」ってのは原文ではHomeなのかなぁ。訳って確かに難しそう。あの二人の最後はなんとなく好きでしたが、それに至る過程はう~ンという所。
神隠しにあった子が現実に適応できなくて、でも現実に適応するための学校に行くのかと思ったら殺人事件が起きて、これってミステリーなの?と思ったら骨が動いたりしてなんだ結局ファンタジーなの?とちょっと世界観が統一されてなかった気がします。
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異世界へ行った経験をもつ少女少年たちが集められた寄宿学校。死者の殿堂から戻ったナンシーの転入から事件が起こる。
異界冒険譚の数だけ、訪問者・帰郷者のその後がある。扉の向こうを想い、分析し、現状と向き合う。
ハイファンタジー好きには苦くて楽しい物語。
ナンシー、スミ、ジャックとジル、ロリエル、ケイド。短い物語の中でそれぞれの冒険を追体験した気持ちになる。
エリノアの来し方とその後はどうなるんだろう。
続巻も楽しみ。
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ドキドキしっぱなしだった。異世界へ行った子供たちが元の世界に戻ってきてそれで幸福に暮らしました……とは限らないわけで、異世界が自分の場所だと知ってしまったとしたら、ここにいる彼らは不幸しかない。なんてなんて、哲学的で面白い小説なんだろう! ここではないどこかのことを実際に経験した者たちは、誰もが自分は主人公だと、暴力的に思わせる。本気で久々に考えさせられる小説。
早く2巻3巻が読みたいです。
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果たして,ファンタジーとは現実からの逃避なのか.アリス・ナルニア国・オズ,これらの世界を扉の向こうに据えながら,現実世界での“帰国者”達の心の葛藤を,事件を通して描く.決してファンタジーは心休まる精神的安定世界ではなく,現実世界とのバランスの下で成り立つ確固たる世界観を備えている,コインの裏表であることを突きつける.
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期待したほどおもしろくはなかった。
鬱屈したティーンエイジャー時代に読むと、もしかするとものすごく読み取って共感できたのかもしれない。
関連作品を読むともっと楽しめるのかしら。
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「不思議の国」にも色々あって、ナンセンスだったりロジックだったり。でもそこへ行った子供たちはみんな一様に帰りたがっている。よばれたのはきっとその世界に合う要素があるから。みんな「故郷」に帰りたいと思っている。そんなか少年少女たちの学校で事件が起きる。ファンタジーと推理小説的要素が合わさった、不思議な視点の小説でした。登場人物の設定が面白く、彼女たちの冒険はどんなものだったのか想像させられます。短い話しでも深みがあり楽しめました。
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“エリノア・ウェストの迷える青少年のためのホーム”は、家族でさえ受け入れられないある種の問題児たちを受け入れる全寮制の学校。
しかし本当は、異世界への扉をくぐり、また戻って来てしまった…そして“むこうの世界”こそが自分の故郷と感じ、もう一度戻りたいと願う子供たちのための学校だった。
新しくこの学校に入学したナンシーも、これまで『死者の殿堂』での体験を誰にも信じてもらえずに苦しんでいた。しかし、この学校では、学校の責任者であるエリノアをはじめ、皆が異世界の存在をそのままに受け入れていて、自分をとりつくろう必要はないと教えられる。
しかしある朝、ルームメイトのスミが無惨な死体となって発見される。
新顔のナンシーや、マッドサイエンティストの弟子だったジャックは疑いの目を向けられ…
全寮制の学校の中で起こる連続殺人…というミステリ仕立て。
様々に不可思議な異世界も楽しい。
それより何より、スミの言葉が素晴らしい。
“あんたは自分以外の誰の扉でもないし、自分の物語がどうやって終わるか教えられるのは自分だけ。”
現実の世界とうまくやっていけずにいる、いま何かに苦しんでいるすべての人に届けられたらいい。
全員がハッピーになれたわけではないけれど…ナンシーが『死者の殿堂』へ帰ることができて、良かった。
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おもしろいいいい
「自分の物語がどうやって終わるか教えられるのは自分だけ」
スミの残したこの言葉にすべてが集約されてるように思える。
物語に魅せられたかつての少女たちはみんなある意味自分の扉に執着しているのかも。
続きも読まなくちゃ!
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ファンタジー風な小説でした。
異世界に行って帰ってきた子供達の話で、子供達は異世界に帰ろうとするが自らの力ではどうすることもできない。その時、子供達がいる寄宿学校で殺人事件が起こる。
推理小説ではないが、ファンタジーと呼ぶには現実的だなぁと思いました。
異世界帰りの主人公だからこそ言える女の子への見解はピリっときて流石イギリス小説…となりました。
多分次巻では思いっきりファンタジーなのかなぁと思います。
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本当は最終話の表紙に惹かれた。
借りて読もうと思ったら三部作なんじゃんって事で最初から。
「不思議の国のアリス」のように異世界に迷い込んでしまった少年少女たちが現実の世界に戻り、
また異世界に戻りたいと願う気持ちと、現実との折り合いを教えてくれる学校の話。
出だしは内容を把握するのにだいぶ考え考え読み進めていったが、
学校で事件が起きて誰が犯人なのかとミステリー要素も組み込まれてからは読みやすくなった。
続きが早く読みたいと思ってしまう。
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ファンタジー3部作の1作目。
異世界へ行って戻ってきた少女たちが集まる学園での物語。
いくつも異世界があるという異色の設定が光ります。
転入生のナンシーは、学園に足を踏み入れる。
突然、「死者の殿堂」という異世界に飛び、ナンシーには何年もそこで過ごして順応した記憶があるのだが、現実には半年間の行方不明。両親に何を話しても、空想としか受け止めてもらえないまま。
この学園は、異世界に戻りたい気持ちを抱いている子のためのものだった。
学長のエリノア自身、異世界に行った経験がある。しかも、何度も。
それは異例なことで、普通は行くのは一度だけで二度と戻れないため、そのことをだんだんに受け入れ、こっちの世界に馴染む必要があるのだ。
お菓子の国など、不思議の国に近そうなイメージの異世界もあれば、骸骨国など見当がつかない世界、ヴァンパイア、死者など、危険そうな世界もある。
そんな世界の性質を表すのに、「ナンセンス←→ロジック」「邪悪さ←→高潔さ」という指標を使うのもユニーク。
ほとんどが女子だが、妖精の国で王女と扱われていた美少年のケイドのように、男子もいる。
そんな学園で殺人事件が起こり…?
今自分がいる世界に馴染めないでいる10代半ばの子は結構いるでしょう。
感じやすい年齢の少女が黒い口紅やキッチュなドレスで装うゴスロリ・ファッションを思わせるダークさがある世界で、表紙のイラストがぴったり。
設定が変わっている割には短い作品なので、これだけではわからない気もしますが。
1作目では男装しているクールなジャックと双子のジルが異世界にいた当時の話になっている、2作目が面白かったです。
ヒューゴー賞など主要な三賞を受賞している、骨太な作品です。
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ジルのやり逃げ感がすごい・・続きがこの ジルとジャックのちょっと前の話ということですが、どんな感じになるのか想像できないです。
十二国記で言う魔性の子的な話でしょうか。次巻は完全に向こうの話という事なので、読んでみたいです。
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一度〈あちら側の世界〉に行って、ふたたびこの世界へ戻ってきた子どもたちばかりを集めたエリノアの学校には、ナンセンスの世界へ行ったスミ、吸血鬼の統べる荒地に行った双子のジャックとジル、妖精界に捨てられたケイドたちがいた。〈死者の殿堂〉から戻ってきて世間に馴染めずにいたナンシーが編入してくると、その二日後に残酷な事件が発生する。慣れない環境に戸惑うナンシーに、疑いの目を向ける生徒たち。その後も何者かによって次々に少女たちが狙われ……。
異世界から現実世界へ戻ってきた子どもたちの虚脱状態にスポットを当てたのが面白いアイデア。異世界へ行く前後で性格が真逆になり、親と世間の無理解に苦しむ少年少女たちは、異世界をこそ「ふるさと」と感じ、早く戻りたいと切望している。二年目の九月に誰も迎えにきてくれなかったハリー・ポッターが集まってるような学校と言ったらいいか。やがて起こる集団ヒステリーの予感をはらんだ学園生活の描写は、恩田陸の『麦の海に沈む果実』も連想する。ナンシーのキャラも記憶喪失中の理瀬に近いかも。
各々が訪れた世界を〈ロジック←→ナンセンス〉〈ウィキッド←→ヴァーチュー〉という対立概念の軸を使ってマッピングしているのも面白い。たとえばナンシーの〈死者の殿堂〉は「高ロジック・高ウィキッド」と言い表される。そして、キラキラしたかわいい生きものたちの世界を旅した生徒たちは、ナンシーや双子たちのように不気味な世界から帰ってきた生徒を見下して差別していることがのちのち明らかになる。
ケイドの性自認や、「なぜこの学校には女の子ばかりなのか」という質問に対するランディのフェミニズム的(むしろ男性学的?)な返答など、もろもろ思春期の鬱屈をファンタジーに落とし込んだ最新版アップデート!という感じなんだろうと思いつつ、少々言葉足らずでテーマが先走っている、というのが素直な感想。
一番気になるのはエリノアの描き方。本書はナンシーを主人公にしながら、書き出しはエリノア視点で始まる。大人が読んでも共感できるキャラクターとして設定されているのかなと思うのだが、エリノアは死体の処理をナンシーたち学園の嫌われ者グループに押し付けてしまったり、素性を全部ケイドの口から説明して終わりだったり、非常に中途半端な存在である。ティーンたちの会話を通じて伝えようとしているセクシャリティに対する問題意識と比較して、子どもの保護者としての大人の描き方には疑問が残った。ダンブルドアだってもうちょっと頼りになる(笑)。
また後半の、ジルを一人にしちゃいけない→手分けして探す→見つからない→屋根裏に集合→逆にジルがみんなを探しにくる、の流れがまどろっこしすぎる。魅力的なところも多いけど、上手な小説ではないと思う。ヒューゴー賞・ネビュラ賞同時受賞というので期待していたので、三部作を全部読んだら評価がまた変わるといいなと思う。