神を信じる人間の戦い
2012/03/10 00:56
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
正統ガルダ帝国には戦乱の時代があった。中央教会の腐敗に端を発した改革教会の旗揚げ、諸侯権利の剥奪などが相まって、体制派と反体制派の内乱に発展した。戦いは体制派と中央教会の有利に進んだが、それを支えた≪獅子の牙≫の一人が≪裏切りの獅子≫となってその御使いと共に改革教会として参戦し、≪竜の魔女≫が禍竜と呼ばれる戦力を投入し、≪赤い聖女≫が精神的支柱として立つことで戦乱は拮抗し拡大、隣国セレスター王国の介入を招くまでになった。
しかしその禍竜戦争も≪赤い聖女≫の処刑で終結し、改革教会は瓦解、≪裏切りの獅子≫≪竜の魔女≫も姿を消してしまった。そして正統ガルダ帝国には徐々に平和が訪れ、街は復興に向けて再建が進んでいる。
そんな街のひとつであるハーゲンの教会の見習い聖職者であるアンナは、いつも彼女のことを見つめている視線に気づいた。その視線の持ち主を追いかけてたどり着いた移民街にいたのは、その男・ユリウスと、彼の師匠だという幼い少女・サロメだ。
台所仕事をしている最中に追いかけたアンナが包丁を持って他人の家に押し入ったのはともかく、ユリウスという青年は働きもせず酒を飲んでばかりで、小さなサロメに養ってもらっている。包丁を片手にそれを糾弾したアンナは、教会のノイマン司教に頼み、彼に仕事を斡旋してもらうことにする。
様々なことがありつつも、平穏な暮らしが始まるのかと思った瞬間、改革教会に属する帝国騎士ラルフが仲間を率いてハーゲンを攻略し、領主代理たちを殺害して、アンナを差し出すように言う。その目的とは一体何なのか?
神を信じ、人の善意を信じ、平和を信じ、多少のドタバタはありつつも平穏に暮らしていたアンナに襲い掛かる苦難の数々。彼女が愛する街を、人々を傷つけさせたのは、彼女のせいだという。そのことに衝撃を受け、人々を守る為に自分を犠牲にするだけでなく、神への信仰まで捨てさせられるアンナに対し、ユリウスは神の無謬を前提とする言葉をかける。
禍竜戦争の主役たちの一部は登場するも、そのときに何があったのかはこの巻では明かされない。ただいま起きている出来事は、そのときの出来事に起因することは確かだ。それが何なのかは、これから徐々に明らかにされることだろう。
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“「どうじゃ?ユリウス。普通の労働もいいものじゃろ?おぬしがそういう喜びを知ってくれて、わしも嬉しいぞ」
「あんた、俺のこの死んだような目を見て、そんなことよく口走ることできますね」
「ユリウスさんはがんばったと思いますよ。わたしも、お仕事勧めてよかったって、心から思っています」
「だから、この死んだ魚みたいな目を見てから、そういうことは言って下さい。こういうのは本当、苦手なんですよ。人と話すのも億劫なのに......」
「でも、ユリウスさん。本当に楽しそうにしてますよ」
「どこを見て、そんな......」
言い返そうとして、ユリウスは口を閉じた。
アンナが身を乗り出し、顔を覗き込んでいる。
澄んだ瞳に、ユリウス自身の顔が映り込んでいた。”
サロメ可愛い。
ユリウスの口調が今ひとつ摑めないけど好きだ。
あと三人の会話が楽しい。
禍竜戦争が今ひとつよく分からなくて。
事実は伝えられてる内容とは違うのかなー。
ユリウスとサロメの過去にアンナの秘密。
10月に続き出るらしいし待機。
“「や、やめてください!ユリウスさん、痛い!」
「嫌だ!俺はお前みたいに自己犠牲に浸って気持ちよくなっている奴には虫酸が走るんだ。黙ってついてきてください」
「街の人がどうなってもいいんですか!?ちょっと考えて......」
「どうなってもいいに決まってるでしょ。なんで、赤の他人の心配なんてしないといけないんだ。気持ち悪い」
「ユリウスさん!見損ないました!」
必死で抵抗するアンナが手枷をされた腕を大きく振り上げる。
「うるさい!それはこっちの台詞だ!ちょっと黙ってろ!」
それに対して、ユリウスは彼女の腹へ一撃を叩き込んだ。
「はぐっ!?」
気を失った彼女の身体が、ユリウスの腕の中に倒れこんでくる。
「......あ。やっちゃった」
ユリウスは気まずい顔で頬を掻く。
「......なんか、俺も暴力振るっているような......。えっと......。俺め、絶対許さん」”
2012 08 25 再読
聖職者なのにミニスカ…?"服の裾が翻り云々"ってことはロングスカートを思っていた?
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色々あるけど、ヒロインがトラブル+自己犠牲の徹底したヒロイン体質でありながら、ド天然のドSシスターというキャラクターは見物。
序盤の、助けの手をつかんでもらえなければ「追って追って、追い詰めてから、つかんでもらう!」とか、「迷える子羊を捕まえて引き摺り出す」の言動でドハマリしたw
あと、サロメ様超絶かわいいです。
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揃いも揃ってメインがメンドクサイ人たちだなあ。あ、褒め言葉ですよ?…多分(笑)序盤は空回りバイオレンスなアンナさんのまったりファンタジーかと思ってたら途中から一気に来ましたね。引きも含めていろいろ謎が残りまくりなので続きも読みます。
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久々のファンタジー作品の当りでしょうか。
どうも最近はファンタジー系に期待が薄れていたので、楽しめる作品が出てきて良かったです。
今のところ2冊出ていますが、纏めて2冊読んでしまいました。
国家間の争いに宗教的な要素までが相俟って混迷した状況に陥った戦後の城下町で
教会の見習い聖職者であるアンナは自分を毎日の様に見ている青年ユリウスの存在に気付く。
ユリウスは生活を共にする魔女・サロメに仕事をさせるが自分は働かず。
突拍子もない発想でユリウスを諫め働こうとさせようと交流する様になったアンナでしたが、
先の戦で敗軍となった残党がアンナを求めて街を襲ってきます。
協会側にとって忌むべき存在である魔女を巡り、彼等の運命が動き始めます。
元は協会の尖兵として怖れられたユリウスも、戦の中で魔女側につき、
協会に追われる立場であり、未だ理由も分らないがアンナも狙われています。
先の戦の収束の一つの鍵となった自決した聖女がアンナとどの様に関わっているのか。
未だ始まったばかりで気になる点が多々あります。
最近よく出ているファンタジーは兎に角巫山戯たものが多く、世界に嵌れませんでした。
かの『ゼロの使い魔』にしても大規模な戦争に突入しながらも緊張感は薄いです。
且つコメディ部分を強調するものだから、それが却って弛緩させてしまったかと。
メリハリには至っていないのが最近の多くのファンタジー作品なのかなと。
その点では、本作品はラノベにしては人が死にますし、
主要キャラも結構厳しい状況に陥ります。
只酷い状況を作るだけではなく、それによってもたらされる感情にも結構きちんと触れております。
その上で抜くところでの軽妙なやりとりが面白く感じられるものに仕上がっているかと感じます。
キャラ設定がきちんと為されているのではないかと。
戦闘描写もなかなかアイディアが詰っておりますし、上手く見せられています。
イラストを手掛けるのはぽんかん⑧氏ですが、最近になって目を引く絵であり、
その関連から異なる作者の作品を買っていっておりますが、
何れも楽しめているのは相当の確率と言って良いでしょう。
因みにそれらは以下の通り。
『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』 渡航著
『生徒会探偵キリカ』 杉井光著
『獅子は働かず 聖女は赤く』 八薙 玉造著
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ファンタジーです.
そんなに面白くなかった.
まずヒロインが気持ち悪い.
人の話を聞かずこう思ったらの直情型で自意識過剰気味で自己犠牲の塊.
お前が死んだところで暴れる竜は止まらないんだよ.
自己犠牲に浸って気持ちよくなってるアレがとても気持ち悪い.
もちろん個人的な感想であり,実際の効果・効能とは異なる場合がございます.
まぁ,包丁とか鎌や鍬を振り回しながら他人の生活の心配をする件は笑えたけど
そう何回も使えるネタじゃないでしょう.
困ったことがあったら直ぐに(無意識的に?)暴力に訴える点も減点対象に.
主人公君はよくある駄目人間風味のツッコミ体質なので特に言及しないでおこう.
あ,ぽんかん⑧さんのイラストは良かったよ.
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いやー面白かった! 一気に読み終えました。これぞ王道って感じです。
意外だったのは人がばんばん死んでいく展開です。生ぬるく無く、きちんと殺伐とした舞台に沿ってシビアに話は進んで行きます。
キャラは皆魅力的です! それで毒は中和されている気がします。
マイナーだけど王道なファンタジーを発掘したい方にお薦めです。
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もっとぐうたらな話かと誤解してました。エミリー以来の肉弾戦っぽい話で、なかなかいいのではないか?と、ちょっと見直し。
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持ち味を残しつつ旅の中二主人公がヒロインと出会うというテンプレ展開を
頑張って成し遂げようという作者の苦心がみえる作品
『エミリー』ファンとしては涙ぐましい
良く頑張りました
あとは刊行ペースだ
レーベル立地はどうにもならないし