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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初はちょっと暗いというかダラダラ話が続くので、んーって思っていs舞いましたが、よんでいるうちにおもしろくなっていきました。
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横溝正史の新刊が角川文庫から出るのは、なんと15年ぶりのことらしい。これを長いとみるか意外に短いとみるかは解らないが、あの黒い背表紙で、おどろおどろしいカバー絵がついた角川文庫を手に取ると、それだけで何か感慨深いものがあるのは確かだ。
副題に『怪奇』という単語が含まれていることからも解るように、本書は所謂『本格もの』ではなく、怪奇趣味に主眼を置いた作品セレクトがなされている。基本的に戦前の作品である理由は編者解説に詳しい。
ところで、一緒くたにされることが多い江戸川乱歩と横溝正史だが、同じ怪奇趣味・耽美趣味でも、随分と違うものだなぁと思う。乱歩の場合は明らかに趣味嗜好の類だが、横溝正史の場合はけっこう突き放しているというか、道具立てと割り切っている気配がする。どっちも面白いけどね。
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大好きですね、こうゆう雰囲気の怪奇探偵小説。
横溝さんは、乱歩とはまた違うんですよ。それがそそるですわ。
こうした短篇集は大歓迎。
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山名耕作の不思議な生活
川越雄作の不思議な旅館
双生児
犯罪を猟る男
妖説血屋敷
面
舌
白い恋人
青い外套を着た女
誘蛾燈
湖畔
髑髏鬼
恐怖の映画
丹夫人の化粧台
著者:横溝正史(1902-1981、神戸市中央区、小説家)
編者:日下三蔵(1968-、神奈川県、文芸評論家)
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横溝正史の作品には、「長編はめちゃくちゃ面白いが短編はそこまででも…」というイメージを持っていたのだけれど、この本を読んでそれは大間違いだったと気付かされた。あの短いページ数でこれだけのドラマを見せてくれるなんて。それはものすごい技巧であるのに、それを必要以上に感じさせず、さらりと読ませてしまう。すごい。どの短編も楽しかった。めくるめくワンダーランドのような一冊だった。中でも特に面白いと思ったのは「妖説血屋敷」「青い外套を着た女」だった。恐ろしい昔話に彩られたものから、軽快な読み口のもの、不思議な後味のもの……本当に楽しい読書の時間だった。
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怪奇ミステリ。「誘蛾灯」「髑髏鬼」「丹夫人」男を弄ぶ怪しい女の話。「青い外套」画家がポケットの紙切で女と出会い事件に巻込まれる。1.山:守銭奴2.川:回転木馬3.双生児:偏執狂5.血屋敷:お染伝説
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1926(大正15)年から1940(昭和15)年、戦前期の横溝正史「怪奇」ミステリ集。
先に読んだ『蔵の中・鬼火』も1935(昭和10)年から1937(昭和12)年の作品集だったが、これは意外なまでの文学性があったりしてとても良い本だった。それと同様のものと思って本書を読んでみたのだが、かなり失望した。ここに収められたどの作品にも文学性は無いし、「怪奇趣味」の面でもほとんどの作品は物足りなかった。怪奇好きな傾向は確かに見られるのだが、怪奇小説としては追い込みが弱く、結局は探偵小説として落ち着く。
多くの作品は、アイディア勝負ですっきりと書かれており、何だか江戸川乱歩の作風に酷く近いように思った。が、似ているのだけれども、乱歩の作品に漂うあの「いかにも嘘くさい、人工的な感じ」は弱く、横溝の作風はやはり語りが上手で、どこか江戸時代の戯作をも思わせるような闊達さがあるのだ。逆に、江戸川乱歩のあの人工性とは何だろう、と気になってくる。
探偵小説としては、やはりこの時期はまだ未熟な感じがして、戦後の金田一耕助ものへと発展してゆく手前の状態を示している。
そんな感じで、何やら未熟さばかりが目立ってしまった。読む前から過度に期待しすぎていたのかも知れない。