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明治初期から第二次世界大戦終結まで、日本がアジア・太平洋地域について作製した「外邦図」。陸軍が中心となり、戦争と植民地統治の「道具」として、朝鮮、中国、東南アジアと、進出に先駆けて作られた。その手段は、複製、秘密測量、空中撮影であり、現地での衝突も少なくなかった。本書は、初期の陸軍将校たちの偵察測量、日露戦争戦場での争奪、越境空撮など、従来知られていなかった作製の内実と利用の歴史を明らかにする。
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日本軍による外邦図の作成や利用は1945年8月で終了した。しかしその軍事的な勝ちはこの時点で消滅したわけではない。日本に進駐軍として来たアメリカが米ソ対立の軍事目的として重用した。日本軍が収集した東南アジアの地理情報は冷戦時に非常に役立った。
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戦前・戦中に朝鮮、中国で行われた測量の歴史について書かれた本。今も各地の図書館でわずかながら残っていて整理・研究が行われているそうです。平板測量とか昔やったなぁ、なんて思い出しながら読みました。
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2011年刊。著者は大阪大学文学部教授。かつては軍事的価値が高かった地図作成。本書は、明治以降の、主に日本陸軍による、植民地あるいはそれに準ずる地域の地図作成の展開について解説。地図作成という狭くマニアックな領域でありながら、他国で行う地図作成(時には秘密裏に)が、各国のナショナリズムを刺激し反発を生む構図を活写。日本本土より後に作成した沖縄・台湾の地図の方が、技術的進歩のため正確。また、中国本土(関東州)は、台湾などと異なり、土地所有等権利関係の錯綜のため、日本人の土地調査事業は成功しなかったらしい。
なお、伊能忠敬による日本図の作成は近代的手法とは言いがたい(正確性という点からは近世的)点は、個人的にはトリビア。