6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「一次史料」と呼ばれる事の多い明治から昭和までの当事者達の日記を(公刊されている史料だけではなく、原本の所在等を含めて)紹介している。
日本近現代史の本ではお馴染みの史料群を、丁寧にその史料が持つ面白さを紹介している。結構以前から刊行されている「原敬日記」から刊行が始まった「倉富勇三郎日記」まで含まれているが、公開されている史料だ。
「明治天皇紀」と「大正天皇実紀」はコラムで紹介しているが、編纂中という「昭和天皇実紀」は、どのような体裁なのか知りたいものだ。昭和天皇の宸記が紹介されているが、読み下しで刊行されている「花園天皇宸記」のように利用しやすい形で刊行されないものだろうか。
台湾で刊行された林献堂の日記が紹介されている。
「蒋介石日記」のように生前から部分的に紹介されてきた日記もあるが、どこかでまとまって刊行されないだろうか。
一次資料としての日記の読み方の意味を問う。
2015/03/01 20:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近衛篤麿、宇都宮太郎、後藤新平、小川平吉という孫文の辛亥革命に関係した人々に興味があり、手にした一書。
日記は一次資料として貴重だが、その書き手のクセを見抜いていなければ、ただの捏造に陥る。そこの見極めが難しい。
そのことを事前了解したうえで、本書は綴られている。
宇都宮太郎は朝鮮の3・1独立運動を弾圧した人として知られる。
しかし、それはロシアの諜報員として訓練を受けた扇動の結果としてとらえたら、どうなるか。
そこを考えなければ、この人物の日記は生きないだろう。
日本の近代、現代史は東京を主体として綴られている。しかし、そこに齟齬を生じているのが現代。それを理解できないため、ヘイトスピーチが生まれる。
本書は一次資料である日記を取り扱うが、その落とし穴があることも提示している。それが、本書の良さではないか。
人間が自身を守るために綴った場合もある。
どう読み解くかは、読み手次第。
そのイントロダクションとして、この一書の果たした役割は意味がある。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
客観的に史料をもとにして書かれているので誰が読んでも読みやすい内容になっているんじゃないかと思います。
投稿元:
レビューを見る
明治維新〜戦後までの政治家らの日記を取り上げ、解説している。
「大久保利通日記」から「富田メモ」まで、という副題にあるように日本近現代史の一級史料を取り上げて、それについて其々の項目の著者が詳しく解説を行っているため、非常に読みやすい。
有名所では「大久保利通」、「木戸孝允」、「原敬」らの日記が取り上げられている。
また、高校日本史では名前を聞いただけ、若しくは名前すらも出てこなかったような人物が、当時はこのような日々を過ごし、考えを持っていた(考えを文章に出さない人物もいたようだ)のは非常に興味深かった。
特に軍部台頭の時代の軍人の日記の項目からは、当時の軍部にもさまざまな考えの人物がいたのだな、という新たな事実を知ることもできた。
新書であるため、一級史料の全てを網羅できるわけではないが、本書に記載されている彼らの記録の一部を辿るだけでも、自分の知らなかった歴史を知ることができるため、非常にオススメできる一冊である。
投稿元:
レビューを見る
イギリス作家シリーズと、関係ない本との交互が定番になってきた。
この本は、新聞の書評を読んで気になっていたもの。
近現代日本の著名人の日記を覗き見るという、いささか不純な動機で読んでみる気になったんだけど、そんなに日記の中身が赤裸々に書かれている本ではなかった。
といって、面白くなかったわけではない。
こういうものを、こういう読み方をして、研究者は歴史を紐解いているんだという事実がとても興味深かった。
そして、様々な人々が、自分の仕事の中で、色んな思いを抱えながら時代を生きていたんだなぁと、それが感慨深かった。
投稿元:
レビューを見る
歴史は史料によって創られる。大久保利通日記から富田メモまで、第一級の史料四十数点を一望に取り上げ、紹介・解説し、その意義を説く入門書。
本書をざっと眺めるだけでも、ため息が出てしまう。史料を紹介するという性質上、概略のみにとどまっており、広く浅くなってしまうのはやむを得ない事であろうか。
これらの史料が活字化され誰でも容易にアクセス出来るようになる事が望ましい。
投稿元:
レビューを見る
近現代を生き抜いた政治家、軍人らの日記=史料の解説書といったところか。
引用はほとんどなし。内容を引用して解説といったありきたりじゃないところがいいと思う。
私は社会人になってから日記をつけているが、まあ、それだけの話(笑
投稿元:
レビューを見る
近現代の史料の特徴とか注意点について書かれた本…だと思います。
内容は明治・大正・昭和に分かれていて、昭和だけ三つくらいにわかれていたと思います。
史料がどのようにして書かれたとか、注意すべき点とか書いてあってそれなりに便利でした。特に原史料の状態が載っているのは有り難かったです、ほんと…非公開とか現存しないがほとんどだったけども………
個人的には伊東巳代治日記の項が楽しすぎて。
書いている人の文章の特徴はよく知ってるつもりなんですけどね^^;
投稿元:
レビューを見る
日本の近代史における要人たちの日記を紹介し、それらの考察・所感をまとめた本。
この本を読めば、現代語訳された日記のまとめを読みたくなることだろう
投稿元:
レビューを見る
史料とは何か◆明治維新と近代-「英雄」たちの心の内◆大正・昭和戦前期-政党政治への道◆戦争の時代へ◆昭和天皇の記録-終戦秘史◆戦後政治と天皇-覆されえる歴史
投稿元:
レビューを見る
本書は歴史上活躍した過去の多くの著名人の「日記」を取り上げた紹介書である。
普通は公開を前提としない個人的な「日記」が「発掘」されるということは、「歴史の再発見」につながる場合もあるし、日本の過去の歴史的出来事の「周辺事情」を深く探求することにもつながる。
本書は明治維新から、昭和後期までの多くの著名人の「日記」とその内容を紹介しているが、発見にドラマがあるものもあるし、その内容を読んで、それまで一般に語られていた人物のイメージが一変した場合もある。
そして何よりも、読むことにより、過ぎ去った日本のそれぞれの時代を立体的に鳥瞰するように見ることは、本書で言及しているように「ともかく歴史家は気楽である。彼は結末を知っている。・・・おまけに維新の元勲を旧知可友人のごとく論評するから、誠にすごいものだ」である。実に面白い。
本書はダイジェスト版のような多くの著名人の「日記」の紹介書であるが、本書を読んで、それぞれの「日記」の内容を深く知るために、さらに、その研究書を読みたくなった。
しかし、本書で紹介される日本の過去の指導層はよく「日記」を書く筆まめな人々であったと感じた。たしか昭和の団塊の少年の時代は、よく正月から一念発起して「日記」を書き始め、その記載は三日で終わるのが通例であったように「日記」が社会的風潮としてあったように思えるが、さて現在はどうだろうか。
とてもそうは思えないが、それでもいまだに社会の指導層は「日記」を書いているのだろうか。
個人情報が重視される現在において、国家の指導層といえど、そうそう「日記」が公表されることは少ないように思えるが、歴史という観点からは、「日記」という日本文化は現在でも継承され、いずれ遠い将来に本書で紹介されたように公表・研究されてもらいたいものだと思った。
投稿元:
レビューを見る
史料という大海をどう泳ぐか。20人の学者が「近現代の重要人物達の日記」という海の、それぞれの泳ぎ方を披露している。
それにしても近現代の史料というのは、本当にここ最近になって活字化された物が多い。未だ御遺族の気持ちに整理がつかないので発表できない、政治的に時期尚早なので発表できない、偶然に発見されたが未整理なので発表できない――まだまだ近現代史には未知の史料がたくさん眠っている。泳ぎがいがありそうである。
所々に入っているコラムも読みがいがあり、単なる史料紹介本ではないのがマル。
投稿元:
レビューを見る
近現代史を日記などの史料で振り返る。日記といっても様々なものがある。事象だけを書いた日記から、他者の日記や回顧録と併読すると色々なことが明確になってきたりするという。
投稿元:
レビューを見る
タイトルは「近現代日本を」であるが、内容は「近現代日本政治を」といったところ。政治家、軍人、天皇側近の日記資料がおもに紹介されている。内容は各執筆担当者の自由にかなり任されていて、史料批判中心のものや面白エピソード中心のものまでさまざま。
投稿元:
レビューを見る
日本の近現代史、副題どおり明治維新の元勲、大久保利通が、残した「大久保利通日記」から戦後の宮内庁長官として、昭和天皇に仕えた富田朝彦の「富田メモ」まで、描く人の性格を映す鏡である内容は、人それぞれある事を語っている。ちなみにこの本は、編著なので各日記に関して、著者が割り当てられているので、その日記の解説に色々なものが、想像できて、2度おいしい本ともいえる。