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すごい本。40年前なのにイデオロギーに毒されず現実的な認識を、しかも現代から見ても過大にも過小にも見誤っておらず、概ね通用する議論。あと、この頃の本によくある読みにくさもない。こういうのが名著と呼ぶに値するのだなあ。
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国際政治学の名著。平和の実現の困難さを指摘しながらも、その希求は止めてはならないというメッセージは、平和憲法を題目の如く唱える人々や冒険主義的に武力行使を主張する人々に是非読み取って貰いたいものである。
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現代の世界において、平和を成し遂げることを楽観視できないことを説明してくれていた。
しかし、楽観視できなくても、チャレンジし続けることの強さ・希望で最後は締めくくられている。
何度か読みたい本。
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章や論理の組み立て、具体例の挙げ方など、全てがすっきりとしていてとても理解しやすかった。平和問題に関して、完全に軍備なき世界の実現は困難なので、当面は軍備規制をしながら武力行使の可能性を減らそうという現実的な主張が展開されている。本書が出版されたのは1966年だけど、現代にも通ずるところが多々あるように感じた。
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これは、読み応えがあって、すごく面白かった!
国際政治の基本的な論点が一気に分かり、贅沢だった。また文章も格調が高く、私好みだった。
特に印象的だったのは、以下です。
・「勢力均衡」とは、あくまで一方から見た「均衡」に過ぎない上、均衡を正確に測定することは不可能なため、本来は概念的に成り立たない。
・現代は、核兵器があるため、そもそも戦争は出来ないという「恐怖の均衡」が成り立っている。
・第二次大戦前と後では、勢力圏の性格が違う。前者は、帝国主義の名の下に、力づくの収奪が行われたが、後者ではアメリカとソ連はほぼ行わない。
・国連のような、国際機構による平和は、強制力がない上、時に権力闘争の手段(強国による手段遂行のための隠れ蓑)とされる危険性があるというジレンマを抱える。
・すべての秩序は、力の体系であると同時に、価値の体系である。
・平和を求める世論が存在し、それが国連という権威ある機関を通じて発表されることは、危機に置いて語られる言葉と目標を大きく制約する効果がある。
・異なる政治原理により行動する国との間の関係は、同じそれを持つ国とのものよりも、薄くならざるをえない。
民間、経済でのパイプもあるか否か。
・国連の発展は、限られた力を増大しようとすることによってではなく、その限界を認めながら賢明に使うことでもたらされることを示している。黙認と公然たる反対の違い。
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タイトル通り国際政治について述べられている。少し古い本ではあるもののその枠組みや観点は今でも有効だと思うし課題が何故課題なのかを知るのには丁度いいと思う。
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力・利益・価値に従って国家は行動する。その内の1つだけを見ていると見誤るp.21。平和を語ることは、権力闘争と無関係ではありえないp.13。力(恐怖)による平和は多くの危険を含むが、武器なき平和は実現不可能であるp.61。幣原喜重郎は国際政治が「平和」の名において語られる時代でも、その内実は権力政治であることを十分に認識していなかったp.10。▼フランス革命。人々は戦争は王や貴族がするものであり、人民の意思が政治に反映されれば、戦争は起こらなくなると考えていたp.209。こうさか・まさたか『国際政治』1966
国家が追求すべき価値の問題を考えないなら、現実主義は現実追従主義またはシニシズムに陥る危険がある。『現実主義者の平和論』1963
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日本は国際的な協調行動をとるべきだった。当時、中国に進出していた国が自国の権益を守るのは当然のこと。1927年、英米が日本に共同出兵をしようと言ってきた段階で、日本は行動を共にすべきだった。▼松岡外交も幣原外交も、共に両極に振れすぎて、日本に悪弊をもたらした。いずれも評価に値しない。世界に通用するルールの中で、冷静かつドライに自己主張をすることが大切。国際社会では、情に流されたり、対立を避けようとして主張をしないと、それこそ平和を失う危うい道である。▼議会できちんと政策論争を行わないままに、首相の側近など狭い範囲で政策決定する政権は、敵国スパイの工作活動(例:尾崎ほつみなど)に脆弱。中西輝政(なかにし・てるまさ)『日本人としてこれだけは知っておきたいこと』2006
インテリジェンスとは、国策に役立てるために国家が集めた情報の内容のこと。秘密情報、独自に分析して練り上げた情報が、自国の国益にどのような意味をもつのか、信憑性を吟味した上で解釈を施したもの。中西輝政 『情報亡国の危機』2010