音楽にとってこれからはいい時代になる
2010/11/22 21:56
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投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
これは却々の良書である。音楽ビジネスの歴史書としても、現状分析としても、そしてその打開策の提言としても──。何故なら、そういうことがちゃんと解っていて、できる人が書いているからである。
津田大介氏と言えば今や twitter を代表する人物というイメージが強いが、この人は元々音楽系のライターであり、そこから著作権やIT関連にフィールドを広げて行った人である。単なるリスナーとして積み重ねた経験に物書きとしての知見を重ね、音楽については依然として深い造詣を保持している。いや、と言うよりも、この本を読んで改めて「ああ、この人は音楽にこんなに詳しい人だったのか」と気づかされるのである。
そして、牧村憲一という人は、ユイ音楽工房を皮切りに名だたる音楽出版社やレーベルの設立運営に参画し、フォークからテクノ、渋谷系までさまざまな音楽状況に関わり続けてきた人である。何と言っても、今日に至るまで常に音楽の最前線にいることに驚かされる。
1973年生まれの津田大介氏と1946年生まれの牧村憲一氏という、世代的にはかなりズレのある2人が、音楽ビジネスに対して非常に近い感性で語り合っているのが面白く、また、だからこそ説得力がある。
第1、3、5章が2人の対談、2章で牧村氏がレーベルの歴史を整理し、4章では津田氏が音楽ビジネスの現状を分析するという構成も非常に読みやすく、理解しやすい章立てになっている。
そして、音楽関係者が往々にして語りがちな「…だからCDが売れない」みたいな愚痴のオンパレードには堕ちずに、程よい現実肯定と揺るぎない理想追求が楽観的に綯い交ぜになっているところが良いと思うのである。
この本で2人が提案している「一人1レーベル」というのは決してひとりっきりで全部やれというのではなくて、意識の高い人たちが集まって創り上げて行こうということらしい。まさにその意識の高い人間のうちの2人がこの本の著者なのだ。
本文最後のページで津田氏が「これからはいい時代になりますよ」と言い、牧村氏が「音楽は時間をかけて、ひょっとすると言葉と同じものになるかもしれません」と言うあたりに、なんか音楽の可能性を感じてしまうのである。
音楽にとって本当に良い時代が訪れつつあるような気がする。
by yama-a 賢い言葉のWeb
ダ・カーポ―はじめに戻る
2011/02/25 17:06
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
仰々しいタイトルだが、中身は予想以上だった。というのが端的な読後感。「CD不況」なのはなぜか。なら、どうすればいいんだ。好きな音楽をより多くの人に聞いてもらい、願わくば直販でそこそこ喰っていけるには。
CDは売れてないけど、ライブに行く若者が増えているそうだ。知らなんだ。その現象を津田大介は、こう述べている。
「デジタル技術やインターネットの普及により、音源はコピーで済ませることができるようになった分、ライブのようにコピーできない「体験」の音楽ファンがお金を払うようになっている」
「コピーできない「体験」」とは、まるっきりベンヤミンの唱える「アウラ」だ。前にどっかで読んだんだけど、レンタルしたCDをマザーと呼ぶとか。ギョーカイ用語だけど、マザーからコピーする。で、交換ファイルで大量に複製される。だとすれば、ありがたみはない。
CDになって容量がLPレコードより大きくなって、収録される楽曲が増えた。リスナーは喜ぶかと思ったら、なんだか、水増しされたような気分というのもある。てなことも書いてあり、だよねえ。
牧村の音楽プロデューサー個人史は、懐かしく。いい時代だった。MIDIか。大貫妙子や坂本教授などLPレコードで結構持っていた。ノンスタンダード、ピチカートVのデビューアルバム。CDで持っている。彼の唱える「一人1レーベル」も、納得した。お手本がピエール・バルーのサラヴァとは。
インターネットを活用すれば、自分のレーベルを立ち上げることができる。旧来の大所帯のレコード会社は、巨大化し過ぎた滅亡前の恐竜の如く。
ただし、「一人1レーベル」とは、
「「一人ぼっちでしなさい」という意味ではなく、一人でもできるくらいのノウハウを持って、そしてなおかつ複数の人数でレーベルを運営しましょう」
という意味合いだとか。
さらに商いのネタを拾うなら、ライブでは音源もいいが、Tシャツなどグッズを売るべしと。利ざやがいいそうで。
この本を読んでいて「出版不況」にも、ぴったし当てはまると思った。「一人1レーベル」は、言い換えれば「一人1出版社」。電子書籍か有料メルマガかはわからないが。
原点に立ち返るってことなんだろう。じゃあTシャツはどうする。
ツールが見せる可能性
2012/02/26 21:49
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投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
メディアジャーナリストと音楽プロデューサーのコラボレーションを通じて、今後の音楽業界のあり方を考えていく試みのようだ。
かつて音楽メジャーは、レコードやCDの売上と、著作権・著作隣接権の管理の仕組みを以って莫大な利益を得ていた。彼らがその仕組みを維持できた理由は、かつて音楽を消費者に届けるためには、レコーディング、プレス、流通、マーケティングなどに対する主にコスト面での参入障壁が高かったためだ。
この仕組みも悪い面ばかりではなく、莫大な利益の一部を使って新人育成や、メジャー内の小レーベルの維持などを行っていた良い面もあり、一概に否定できることではなかった。しかし、バブルが崩壊しCDの売上が落ちていくに従って、この、暗黙の仕組みは崩壊し、利益を優先した音楽作りが業界の主流となってしまった。
そうした中で、音楽メジャーは、CDや音源の販売だけでなく、ライブにおける物販や、コミュニティの運営による利権にその手を延ばしつつあるらしい。その一形態が、360度契約という考え方だ。
これは、ライブ活動のコストを折半する代わりに、その音楽活動から得られる全ての利益も折半するという形態の契約だ。これからのアーティストは、こういった選択肢も含めて自身の音楽活動をデザインしていかなければならない。
こういったやり方に馴染めない場合には、他の方法もある。インターネットの普及と、USTREAM、twitterの開発、収録機材のコモディティ化は、レコーディング、プレス、流通、マーケティングなどに対する参入障壁を格段に低くした。アーティストと周辺の少数で、音楽のための音楽作りをすることが可能な環境は整ってきつつある。
だがこのやり方にも、まだまだ問題も多い。こうしたインターネットにおける音楽利用には、著作権、特に著作隣接権の管理の仕組みが出来上がっていないのが現状だ。このため、原盤権を侵害しかねない音楽利用には慎重にならざるを得ない。音楽を普及させたいという意志があっても、古いタイプの業界慣習がそれを邪魔しているのだ。
著者それぞれの立場から、自身の経験などを交えつつ、今後の音楽業界のあり方を考えていくわけだが、現実はなかなか彼らの考えるように素直には進まないようだ。音楽がオイシイという考え方は廃れるといっても、現実を見れば、CDに付加価値をつけてひとりに何枚も売るというようなやり方が、ひとつの完成を見つつあるのだから。
しかしツールの発達は、音楽を広めたい人間にとっての選択肢を増やしていることは間違いない。これを現実社会の仕組みに落とし込むまでの活動を誰がやっていくのかを、これからは考えていく必要がありそうだ。
いずれも過渡期的なものであることも免れない
2011/10/30 17:39
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投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
音楽には比較的疎いが大変勉強になった。感想は二点だ。
一点目。インターネットが、音楽業界を液状化してきていることが良く分かった。特に音楽業界のビジネスモデル、特にレコード会社が「権力」化していた状況が根底から崩れつつある点に興味を覚えた。
考えてみるとネットの影響で旧来のビジネスモデルが壊れたり、新しいビジネスモデルが出てきたという事態は音楽業界だけの話ではない。むしろ音楽業界もネット社会の変化の一例として本書で語られている程度なのかもしれない。本書の著者たちも、自身の仕事が音楽だけに限定されるとも思っていないだろう。
その意味では本書で紹介される事例はいずれも過渡期的なものであることも免れないと思う。例えば今猛威を振るっているI podも、例えば10年後はどうなっているかは誰にも分からないだろう。音楽を携帯するにおいて、現段階ではI podが一番ポピュラーであろうが、考えてみると「携帯する」という圧倒的な不便さもあるからだ。I Podを無くして泣く泣く買い替えた人がいるとしたら、それは「携帯する」ことによる弊害なのである。10年後のI podはハードとしての存在は無くなっているかもしれない。
二点目。改めて音楽とは何だろうと考えさせられた。
僕の理解では音楽の起源は宗教である。神への祈りがメロディーを持ち、メロディーを持ったことである種の陶酔を齎すものになったのではないかと想像している。
現在にも、他にもさまざまな芸術はある。美術、文学等だが、それに比べても音楽の人気度は飛びぬけて高いと思わざるを得ない。例えば本書で知った事実としてはライブの人気が高くなってきたことがある。ネットを通じていくらでもバーチャルに音楽を楽しめる環境が整備されつつあるなかで、人は全く逆に、自ら足と金を使って、音楽の「現場」に行く。そこまでさせる音楽の麻薬性というものは何なのかを考えることは実に頭の体操になると思う。
僕の思いつきとしては、音楽が「目」ではなくて「耳」を媒介とする点に何かがあるのではということだ。人間は情報処理の大部分を視覚に頼っているように思ってきた。その視覚を通じてアクセスできる美術や文学より、聴覚を通じた音楽の方が人気があるということにはきっと何かがあるはずだ。今の段階で気のきいた仮説は出せないが、今後ゆっくり考えてみたい。
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発売直前に、Twitter上で話題になった、津田大介氏と音楽プロデューサー・牧村憲一氏の共著。ソーシャルメディア時代における、これからの音楽の在り方について、まとめた貴重な一冊。
音楽業界をテーマに描かれている書なのだが、人ごととは思えない業界は沢山ある。出版業界、TV業界、そして我が広告業界も・・・
そのためこの本を読みながら、サバイバルのポイントを「ビジネスにおいてサバイブするために、どうあるべきなのか」という公の側面、「強大化しつつある個人のパワーを、どのように活用できるのか」という私の側面、双方から考えてみることにした。
◆本書で主張されているサバイバルのポイント
・一人1レーベル立ち上げよう。レーベル=音楽と限定せず、意思を持った人が連携しあうことで、新しい文化が作られていく。
・ipadに象徴されるように、映像、音楽、絵など様々なものが「文化があるべきところ」に回帰する時代。だから、発信する人たちは一人何役もすればいい。
・パターンを知る、研究する。過去のモノをきちんと伝承していくという考え方をした上で、それを深く追求するか、拒否するかが重要。
・いい役割をするミドルマン=ニューミドルマンの重要性は増してくる。
・何を目標にしているのか、どういうことを表現したいのか、今の時代において何がヴィヴィットなのかというところを押さえて、どう演出するのか、誰を連れてきたら面白いものができるのか、という視点で考えることがキーポイント。
・「場」をどう作っていくかということと、継続することが大事。
・コミュニケーションを売る、キャラクターやストーリーを打ち出して、パーソナルを消費してもらう、ということが求められている。
・常に情報が更新されていくリアルタイム感の中で、瞬間的に物事を決断し、即座に行動に移していくことが新しいプロデューサー像。
・自分の美意識にこだわること、投資すること、新しいアイディアを考えることに時間とエネルギーを惜しまないこと。
初めは、ビジネスにおいて求められること、プライベートにおいて求められること、分けて抜き出してみたのだが、途中でそれは意味のないことであることに気がついた。全ての項目が、公私双方において”重要なこと”として、当てはまってしまうのだ。
すなわち、この変化の時代において最も重要なことは、公私の境目をなくしていくということなのかもしれない。もはや、発信側と受信側という境目など無い時代なのだ。
これをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか、どちらでも構わないが、自分の立ち位置を認識しておくこともまた、必要なことなのだろう。
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これからの音楽産業について、希望のある話が書かれています。いくら希望の話をしても、牧村氏の史観がしっかりしていたので、現代がブレていなくて良かったです。よく現代の音楽事情が整理されているなと感じます。もやもやとしていた所をすっきりまとめてくれた印象。一方でしかし、目新しい視点が得られたかというと疑問です。この先は自分で考え、自分でやってみよう、という事なのでしょう。うまく自分の立っている座標軸を見つけられればと思います。
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eメールやインターネット、SNSが進化した今、アマチュアミュージシャンがどのように作品を世に送り出していくか。twitterの貴公子津田氏と音楽P牧村氏の経験に基づく展望論が展開される。宅録、バンド、形態問わず、アマチュアアーティストは必読です。昔バンドをやっていた頃、今みたいな環境があったらもっと色々面白い事が出来たのに!と思っちゃいますね。
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2010年までの音楽の媒体と、「レーベル」についてまとめた本?違うかもしれない。
これからいろいろなものを発表しようとしているクリエーターの方はいろいろ考えることが多そうな気がします。
受け取る側は選択肢が増えていいような、悪いような。積極的にクリエーターの人と関わっていかないと自分の本当に欲しいものとは出会えないまま終わってしまうのかもしれない。そのための「レーベル」であって欲しい。手がかりとなるような。
TwitterとUSTはやはり「購入」方法をかえてるのだろう。
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80年代から10年代今日までの音楽ビジネスの変遷を語る。まつきあゆむ氏やDOMMUNEなどの活動を知る人には新しさはないが、今後の運動の起点になり得ると思う。
新しさや奇抜な発想はないのだけど、これまでの流れを再確認することで見えてくるものはあるのだろうと思う。80年代の話にはあまり食指が動かなかったが、00年代からの流れは意外と忘れられていて、ナップスターとその周辺のムーブメントが歴史になりかけていることに気付いた。
本文で著者の津田さんも言っているけど、「一人レーベル」という単語を掲げたのは、それを立ち上げることを勧めているのではなくて、単純化すると、一人「でも」できるよという、何か活動することの勧め。それと同時に、津田さんの意図は知らないけど、これはゲリラ戦の勧めなのだろうと思った。
あれ、そう書いてから気づいたけど、本の名前はサバイバル音楽論じゃないか
今の音楽ビジネスの状況を考える上では、主に著作権法や、レコード会社の異常、販売上の課題が考えるべき重要な問題だと思うに至った。
そのうち、著作権法と販売上の課題は、前者は知ることが重要だと、後者は、土壌が整いつつあってかつ発展途上なので、議論と活動の必要があると言うにとどめて良いかと考えた。そう考えると、レコード会社(を始めとする緒環境)の問題や弊害の解決に向けた活動が必要だろうかと考えた。
ちなみに、特別レコード会社の内情について詳しくもなければ、これまで注視してきた訳でもないので、あくまで感想として。それから、「音楽ビジネス」は、「音楽で金を稼ごう」というのではなく、「音楽享受の一連の運動を豊かにするための一連の活動」という意味として使っています。
そこで考えたのは、レコード会社を始めとする緒環境によって音楽の享受が貧しくなる原因は、緒環境と製作者の不和、緒環境によって製作者が管理される状況ではないかということ。
例えば、宇多田ヒカルの原盤権問題なんかは正にこれで、広く認知された問題ではあっても、これが解決すればという期待は十二分にある。
管理から脱する方法として、より強い力をと考えるのは普通の流れだと思うけど、詳しくは知らないが、それはうまくいかなかったのだと思う。一人のアーティストが力を持ったとしてそれが上手く正しく活用されることはあまり期待できないし、力を集結しようという方法には、啓発に多大な労力が要る。
そこで考えられる上策こそが、ゲリラ戦なのだと思う。そしてその方法が、「1人1レーベル」と、その勧めとしての「せっかく土壌が整いつつあるのに」という働きかけなのだと思う。
ゲリラ戦によって成し得るのは環境の変化なので,その運動に対して応える他の運動が必要だと思う.それを行なうのは例えば,ゲリラ戦を展開・応援する若者だったり,ゲリラ戦を支援・協力する大人だったり,将来を担う子供たちの教育だったりする.
ひとつ本書でほうと思ったのは,津田さんや牧村さんの年代の人は,物心がついたときから音楽を再生する環境があった訳ではないという���.自身もそうであったわけではないけど,これはあまり考えたことがなかった.今の子供たちは4,800円でiPod Shuffleを買うことができる.
更に,音楽の情報を探すためにiPod touchを買うという選択肢もあれば,トランセンドの2000円ちょっとのMP3プレイヤーでも再生機器は再生機器だから,恵まれている.
しかし逆に,僕らの世代に関しても,世の中の音楽再生事情が恵まれた状況になったことで,音楽はステータスとしての役割を失なったし,音楽は高いという意識になってきたんじゃないかと思う.贅沢品に逆戻り.
「高いから」と言って音楽に興味を持たない人や,そういった人へ向けていそいそと音楽を生成してきた企業たちは,この場から降りればよい,という風に考えて,いわゆる音楽好きたちだけのための場作りの方策としてゲリラ戦を決行するという流れもあると思う.
ただ,「音楽好き」という群が何であるか定義するのは難しいし,そのまま行なう運動にはあまり期待できないので,やはり土壌が整いつつあるこの状況に期待するという側面が大きい.
そして,そういった環境の恵まれた状況への変化を,ゲリラ戦の先の未来に繋げるために,教育をする必要があると思う.例えば,子供にiPodを買い与えるなら,iTunes cardも一緒に買い与えて,どう使うのかを教えるという風に.
それから,教育するために必要な知識と教養を身につけることも当然必要になってくる.その方法として,著作権を学ぶという方法がある.まだ多少触れてみた程度だけど,芸術の歴史を知った人たちも加わって議論されたものだろうから,その成立背景を学ぶのは無駄ではないだろうと思う.
本書を読んでいて気になったのは,最近のこういう言説にしてもそうだけど,しきりにCDが売れた時代と比較すること.もちろん,いい比較対象なのだろうけど,音楽の歴史と本質を含めて,今後のことを話していくこともせねばなあと.
「ある場合にはベートーヴェンの響くかたわらで,強盗事件を報ずる新聞の社会面を読み,セレナードを耳にしながら夫婦喧嘩をするような風景」(『音楽の基礎 (岩波新書)/芥川 也寸志』198ページ)が生じる世界になっていることを認識することは,とても重要だと思う.
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「CDが売れなくなった」と言われているが、音楽の長い歴史から見れば数ある転換点の1つにしか過ぎない、ということがよくわかる。音楽自体が死んでしまうことはなく、今まで儲けていた法人・個人が、環境の変化に対して順応を迫られている。ただそれだけの話だ。
たとえばモバイルの配信事業者は、「モバイルの配信」という枠に縛られてはいけない。それは一時的に流行った音楽ビジネスの数ある手段のうちの1つに過ぎないわけで、もっと広い「音楽をリスナーに届ける」という視点からビジネスを考え直す必要がある。
この本にはそのヒントとなる、現在の音楽ビジネスの形が網羅されている。たとえばアーティストの360度契約。アーティストが物販に力を入れる中で、CPがどう関わっていくか。また、レコード会社を通さずとも、ネットで配信できる環境が整う中で、どう付加価値を与えられるか。「ハイコンセプト」にあるような、右脳的発想がそこには求められているように思う。
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「音楽の未来に対する不安感は、既存の音楽業界やその周辺産業が大量複製頒布品の不況を、まるで音楽がなくなるかのように扱った間違いから始まったことです。もともと音楽に終わりなどあるはずもないのです」(あとがき)
うん、同意。
「音楽」を「コンテンツ」と置き換えても成り立ちますね。
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本書が指摘するように、この議論はあらゆるクリエイティブ産業に通ずるところがある。人々がどのように文化を消費し、また消費がどのように文化を創るのか。固定概念に縛られた硬直思考を捨て、柔軟に時代に対応した創作活動を行うヒト達にとって支援の書。
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ここ20年ぐらいの音楽をめぐる状況、環境についてさらっと。身の回りのミュージシャンたちのことを思い浮かべながら、自分のバンド活動についても考えながら。
音楽をやる人にとってはやり方によってはとても幸せになれるチャンスが、めぐってきていると改めて実感。
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今までの音楽(ビジネス)の形を振り返りつつ、今はどうなっているのか、これからはどうなっていくのか、って話。
これからは今までのように「所属」が何よりも有利で重要ということにはならない。
個人の意思で、個人の意志で、道を切り開ける時代になってきてるんだなぁ。
これは絶対に音楽に限らない話だと思う。
わたしの未来にも少ーし明かりをともしてくれた一冊。
腹を据えて柔軟に!
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音楽を取り巻く環境が分かりやすく書かれた一冊。
良い具体例が紹介され、知ってるようで知らなかった事を理解することが出来た。特に、レーベルについての話は興味深かった。