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1990年代、バルト海に面したスウェーデン南部の小さな町イースタを舞台にした、警察小説シリーズの第一作。
小さな田舎の村で、年老いた農夫夫婦が拷問の末むごたらしく殺された。現場に駆けつけたイースタ署の刑事クルト・ヴァランダーは、いまわの際の妻が呟いた「外国の」と言う一言と、見慣れない縄の結び方を手がかりに、地道な捜査を始める。
捜査を続けるうち、平凡にしか見えなかった夫は妻以外に子供を持ち、家族に内緒の多額の財産を隠していることが明らかとなった。一方この時代、多数の難民の流入があったスウエーデン国内には、難民への反感が一部に顕在していた。「外国の」と言う一言から犯人は外国人とばかりに、難民を排斥するグループは、難民への報復を予告する・・・
主人公は、妻に捨てられ娘は家出、と言う踏んだり蹴ったりのなかで毎日呑みすぎ状態。不器用な彼は、一人暮らしの父親とは事々にいがみ合い、時には酒酔い運転で部下に逮捕されかけるなど、日常生活は殆ど崩壊しているようなものだが、しかし、誠実に辛抱強く一生懸命に事件を追いかける。
時には、人命救助のため自身を省みず、火事の中に飛び込んでいくことをためらわない。その一途さが「しょうがない男」ではあるけれど、好感を持たずにいられない。
また、同僚の刑事たちもそれぞれ丁寧に描かれていて、物語の厚みを増している。
北欧と言う言葉から受ける、重厚で丁寧なイメージそのままの作品でした。
このシリーズは、沢山の読者をえて多くの賞を受けており、「1990年代のスエーデン社会を尤も良く描写した」と言われているそうだが、いかにも、ですね。
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父に借りた推理小説。閉鎖的な村での事件は実感としては分かりにくかったですが、新興宗教が出てきたり、なぞの女性が出できたりして、引き込まれました。
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スウェーデンの田舎町、スコーネで残虐な農夫の一家惨殺事件が発生。長年連れ添った妻との離婚、娘はどこをほっつき歩いてるか分からない、父親の痴呆…etc私生活に疲れ、うらぶれた中年刑事クルト・ヴァランダーが正義感に燃える。
わしはうらぶれたよれよれの中年オヤジが主人公の話が好きらしい。このクルトのへたれ加減はかっこよすぎるのでぜひオススメ。
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スウェーデンのスコーネ地方が舞台の殺人事件。
少し情けない感じのクルト・ヴァランダー刑事が良いです。
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このシリーズの特徴は、土地と人物だと思う。スウェーデン南部の田舎町イースタ──北欧が舞台であるという寒々しさは伝わってくるが、暗さを感じさせない雰囲気はどこまで読んでも心地がいい。片田舎で起きる事件だからこそ、作中に与えるインパクトは大きく、それと反比例して浮き彫りになるイースタの町並みや時間の流れ、そこで暮らす人々の生活感をイメージするごとに、不思議とこのストーリーに引きずり込まれてしまうのだ。
主人公のヴァランダーも、冴えない中年男で、やり手の刑事というタイプではない。地道に手掛かりを追い、その先で行き詰まり、自問自答を繰り返して苦悩する。彼を取り巻く捜査員たちも同様で、スペシャリストはひとりもいない。なのに、こうも印象的に映るのは何故だろう。不器用な一途さに等身大の魅力を感じているのかもしれない。読みながら、彼らと一緒に捜査してる気になってしまうのは、作者の技巧のひとつであり、私が最も気に入っている点である。
スウェーデンが抱える社会問題をクローズ・アップさせているが、本作品は「警察小説」であって、「社会派ミステリ」ではない。その領域をキープしつつ、社会問題を読者に認識させる構成もさすがだと思う。シリーズ開幕作として読者を掴むには申し分のない秀作。
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薦められた本の面白さは、推薦人の読書量に比例する
by KANO
歳をとってくると、本屋さんに行っても
「わたしを読んで〜」の声が聞こえなくなり、かといってハズレを引くのがイヤで、読む本がマンネリになって来ました。
ですが最近、仕事を一緒にしている人がかなりの読書家であると知り、伊坂幸太郎など色々面白い本を薦めてくれて助かってます。
その人の一押しの作家、マンケルの刑事物。
主人公の刑事が渋いのだが、情けなくもあり、人情味あふれるいかにも刑事。スウェーデンの話だが、日本と似ているのか、日本に置き換えてもまったく違和感がなく受け入れられそう。
しぶーい一点。
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クルト・ヴァランダーのシリーズ、1作目。
1990年代のスウェーデンを代表する警察小説。
イースタは小さな町だが、スウェーデンの南端で、国境に近い特殊な位置にある。
雪の降る1月、村の農家でひっそり暮らしていた老夫婦が惨殺される。なぜ?
「外国の」という一言を残したため、移民問題で揺れる町でさらに事件が…
クルトは刑事としては有能だが、妻に出て行かれて3ヶ月、8㎏も太ってしまった。
最愛の娘は15の頃に自殺を図ったことがあり、どこにいるのかなかなか連絡も取れない。
そして父親がボケはじめ…
美人検事の赴任に驚くが、言い寄って思い切りはねつけられる始末。
多難な中年男の暮らしがどこかユーモアも交えてリアルに描写されています。
1冊でコンパクトにまとまっていますが、要素はすべて出そろっているんですね。
1991年の作品。2001年翻訳発行。
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刑事のヴァランダーを軸に物語が進みます。ヴァランダーの認知症(本書では痴呆症ですね)の父親、別れた妻、都会に行った大学生の娘など、少しずつ物語が歪んでいきます。とはいうものの、ここが本書の魅力ではあるのですが、事件の本筋とは異なるので、私には無駄かなと感じましたね。このあたりが、第一作なんでしょうかね。リーダビリティは高く、エド・マクの感じも出ていて、☆☆☆★というところです。
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スゥエーデンの刑事、ヴァランダー物の第一作。残酷な事件内容だが、サイコサスペンスではなく、歴史や社会問題が背景にありじっくり読める。北欧とナチスのつながりなど、あまり知られてなかった事も描かれている。主人公や同僚、家族の描写もよく、福祉国家らしさも感じられる。病に侵された先輩でもあり友人でもある刑事と、主人公の関係がいい。
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ああ、主人公のこの情けなさ。素敵だなあ。刑事の感に頼りすぎるきらいがあるが、主人公を取り巻く人間模様もいい。
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妻に出て行かれ、娘とは連絡が付かず、一人暮らしの父には老いの陰がみえ、自分は一人になってすっかり太ってしまった中年刑事と残忍な農家の老夫婦殺人事件。事件の方は奇天烈ではないオーソドックスな感じ。事件を追いながら、食事をし、家に帰り、自分の不運に涙ぐむ…という刑事の毎日のシーンのほうが面白かったです。
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こんなに魅力のない主人公も珍しい(笑)
むしろ、気持ち悪いなコイツ、とすら思った(笑)
特に盛り上がりもなく、特に大きな展開もなかった。
が、読めなくもなかった。
シリーズ五作目の、ゴールドダガー賞受賞作品までは、読んでみようと思うけど、二作目に手をつけるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。
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世界的なベストセラーになった、スウェーデンの警察小説<クルト・ヴァランダー>シリーズ第1弾。愚直すぎる42歳の刑事クルト・ヴァランダー。仕事中毒気味で慢性疲労、その上孤独。妻と娘には逃げられ、父と姉ともうまくいっていないからだ。ストレスは酒量を増やし、体重をも増やしていた。メタボ体型の直情型で、抜群に切れる頭の持ち主でもないし、運動神経もいいわけではない。正直、かっこよくない。こんな主人公が、署長休暇中に発生した2件の殺人事件の指揮を取ることになった。粘り強く、辛抱強く、捜査を進めていく。日本では今、警察小説に人気がある。この作品はそんな日本の警察小説に似た雰囲気を漂わせている。どんよりとした重苦しさが鬱陶しいが、共感を覚える。地道な捜査であきらめずに懸命に犯人を負う。一晩中の氷点下での張り込みも厭わない。長年の友である鑑識刑事が体調を崩したのが心配だ。プライベートでは、なんとか妻と娘を呼び戻したい。認知症かもしれない父をどうしたらよいか。姉に知らせなければ。そんな忙しさの中でも、既婚の美人検察官が気に掛かる。好きなのはオペラ。気分転換に聴く。ファストフードばかりの食生活を改善しなければ。出っ張った腹が気に掛かる。酒量を抑えなければ。主人公クルト・ヴァランダーはとても人間臭い男だ。疲れ傷つき、それでも必死に生きている。そしてなにより、根っからの警察官だ。北欧は、いろいろなことで今注目を集め、人気がある。特にインテリア、雑貨などにみられる生活スタイルは、多くの支持を得ている。それとはまた一味違ったところで、こんな重く暗いスウェーデンの警察小説というのもなかなかいいものだった。シリーズものなのでまだ当分楽しめる。嬉しい。
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久々の翻訳もの、スウェーデンの警察小説クルト・ヴァランダーシリーズの第1作。
決して格好よくない主人公(うらぶれた、という表現が近いかも)、地道な操作と地道な展開、どことなーく流れるうっそりとした空気。
ここ最近読んだ小説の中ではだんとつに地味です。
でも個人的には嫌いじゃない…かな。
誰かに勧めるほど面白い!とは思わないけど、とりあえずシリーズ続編は読み進めようと思います。
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男性が書く警察小説。
タイトルが謎。
惨殺された田舎の老夫婦と
移民殺人と
放火と
老人の二重生活と
親のボケ。