極度のぺダントリー的作風で有名な小栗虫太郎氏の短編集です!
2020/06/06 10:06
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、大正から昭和初期に活躍された推理作家、秘境冒険作家と言われる小栗虫太郎氏の短篇集です。彼の作品は、極度のペダントリー(衒学趣味)的作風で有名で、代表作としてはデビュー作の『完全犯罪』、推理小説の三大奇書の一つといわれる『黒死館殺人事件』、秘境探検小説の連作『人外魔境』などがあります。同書に収められた短篇は、そのどれもが『黒死館殺人事件』じみたペダントリーに満ち満ちているようで、なかなか難解です。トリックがどれも形而上学的というか、それが著者独特の呪言じみた文体と相まって一種異様な独特の世界観を醸し出しているのです。同書に収録された作品は、「後光殺人事件」、「聖アレキセイ寺院の惨劇」、「夢殿殺人事件」、「失楽園殺人事件「」、「オフェリヤ殺し」、「潜航艇鷹の城」、「人魚謎お岩殺し」、「国なき人々」となっています。
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法水麟太郎モノの短編を発表順に収録(残りの長編2編、黒死館と二十世紀鉄仮面は既刊アリ)。
年代順に並べて読んでいくとやはり後半の作品になるに従って描写が読みやすくはなっていってるなぁという印象。(当時流行の秘境冒険モノテイストも入ってきて大衆小説色も強くなってくるからかもしれませんが)
しかしそれにしても、ページを繰る度に迸る法水の衒学趣味には翻弄されるし、肝心の事件のトリック部分は頭の中に「???」が飛び交ってしまうのですが(笑)、だがそこが良い。その翻弄される感覚含めての虫太郎テイストなので、存分に堪能いたしました。
後光殺人事件、聖アレキセイ寺院の惨劇、夢殿殺人事件、失楽園殺人事件、オフェリヤ殺し、潜航艇「鷹の城」、人魚謎お岩殺し
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法水麟太郎ものの短編が1冊に。
ひとくちに『法水麟太郎もの』といっても、冒険小説風のものから、正統派の探偵小説まで、バリエーションに富んでいる。『黒死館殺人事件』のイメージだけで読み進めていると意外だった。そもそも小栗虫太郎は冒険小説も書いていて、そういう部分が少し顔を出しているのだろうか。
巻末の解説によるとエッセイも文庫になるらしい。手軽に入手可能な小栗虫太郎の本が『黒死館』だけだった頃を考えると、隔世の感がある。河出文庫には足を向けて寝られないと思っているが、同じようなことを感じているのは私だけではないだろうw
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『黒死館殺人事件』を何回読みだしても必ず途中で挫折してしまうので、短編集なら読めるのじゃないかとトライした。読み終えた~。読み終えたけど内容はサッパリ分からなかった(笑)。
探偵役の法水が天才すぎて謎を解明されても理解出来ない。そしておびただしい数のルビ。誰か、この著者の作品を現代語訳してくれないだろうか?(^-^)
まあ、それもこれも私の理解力不足なだけで、じっくり吟味して読めれば多分傑作なのだろう。「聖アレキセイ寺院の惨劇」の動機には驚かされたし、取り敢えずこの奇書が読めて良かった。
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危うく挫けそうになった一冊。知識不足もあり、名詞がわからなかったり時代背景も曖昧で、さらに少し独特な漢字の使い方がされていて難読でした。なんだか読むことに必死で内容が印象にのこらなかった。
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祈祷中に僧が息絶えたー後光殺人事件
さるギリシャ正教会で僧が殺されたー聖アレキセイ寺院の惨劇
尼寺で修行僧が不可解な死を遂げたー夢殿殺人事件
ある離島の怪しげな研究所で所長の死体が発見されるー失楽園殺人事件
ハムレット上演中のオフェリヤ女優の死ーオフェリヤ殺し
艇長と盲いた乗組員たちー潜航艇「鷹の巣」
惨い演劇をみせる劇団の人間模様ー人魚謎お岩殺し
他1本を含む法水麟太郎シリーズ短編集。
うーーーん。わからん。
一番面白かったのは「人魚謎お岩殺し」
といって何が面白かったかというと、大部分をちゃんと読めたという理由。
他のものはほとんど意味がわからない。
まず、固有名詞が何を指しているのかがわからない。比喩を汲めない。説明があるのに状況がつかめない。情景が浮かばない。読み終わっても被害者が誰だったのか何人死んだのかトリックはどうだったのか、まったく思い出せない。推論の根拠がフロイトだったりするし。
あーだよこーだよと探偵が細かく解説してくれはするのだが、まったくどういう犯罪の手順だったのかわからない。
各作品で描かれているおどろおどろしさ、禁忌に触れた感覚などは雰囲気としてわかるのだが、読後感は「ほんでなんやったんやん?」となってしまう。
推理小説というよりはほぼホラーという理解でOKでしょうか。
文庫版の装丁すらもソレらしくてインテリアとしてはいいのかもしれない(←
他の方のレビューもみて「何がそんなにわからないのか」と挑戦したのですが、うーん、「なるほどわからん」
しっかり理解してる方、映像にしてくれないかな。そしたら否応なく世界に入り込めるのに。
入り込みたいのにわからないからできなかった。
求ム、映像化。
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『黒死館殺人事件』で有名な名探偵・法水麟太郎。法水麟太郎物の短編を発表順にすべて集めた短編集。
衒学趣味ってどういう事なのかいまいちつかみ切れていなかったのですが、この本を読んで何となく理解できた気がします。
他の方々も書いている通り内容は難解ですし、トリックや動機もそんな事ある? と驚くものばかり。「そうはならんやろ」「なっとるやろがい」という懐かしのネットミームが頭をよぎりました。
とはいえ、お寺や礼拝堂、劇団などを舞台にした様々な事件の数々は神秘的でとても心惹かれます。詩的な幻想怪奇の世界に溺れるような雰囲気を楽しむくらいでも良いのかも。
メインとなるトリックや動機の中に、病気や障害、精神疾患や信仰などのセンシティブな要素を大胆に組み込んでいる所は現代の小説などではほぼ無くなっている事だと思うので、そういった部分は時代を感じて興味深いです。
1つ困ったのが、事件の見取り図について。細かな図面に手書き(手書き風?)の雰囲気ある説明が書いてあるのですが、細かすぎる上画数の多い漢字+雰囲気ありすぎる独特な文字のせいで字が潰れてしまい読み取れない箇所があります。
せっかくの素敵な図なので、もう少し大きく載せて欲しかったです。
ちなみに、一番最初の事件が一番難解で、徐々に読みやすくなっていくので、いっそもう逆順に読むのもアリではないかなと個人的には思いました。
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縦横無尽な知識と推理で事件を解決する超絶探偵の短編集。先に黒死館殺人の方を読んでいるがコチラも十分に難しい。見取り図等あるのは親切。
作者の中でも黒死館殺人は大きかったのか作中でも結構触れられていた。
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途中で自作の「黒死館殺人事件」のことを激賞していて笑った。突飛な感じなんで牽強付会というか……好きな人はとことんハマるのだろうな。場面転換が激しいものもあり、大変でした。