読みやすい入門書
2015/09/30 12:20
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投稿者:J.W - この投稿者のレビュー一覧を見る
国王と議会との関係を中心とした政治史です。王の権力が徐々に弱まり、どのように議会が権限を獲得していったのかについて、非常にわかりやすく書かれています。
イギリスの議会政治は世界の模範
2019/06/03 20:53
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジェームス一世のステュアート朝からエリザベス二世のウィンザー朝まで。エリザベス一世により処刑されたメアリー・ステュアートの息子が後継の王になるとは何とも皮肉だ。そして111年の命数だったステュアート朝から現在の王室に連なるハノーヴァー朝へ。
清教徒革命という流血の政変を経てなお王権と議会政治が今日まで生きているのは稀有な奇跡だ。二度の世界大戦後は帝国の座から転落したが、イギリスの議会政治は世界の模範であり続ける。象徴天皇を戴く日本にとってもイギリスの立憲君主制は生きた手本となっている。
世界に先駆けて確立したイギリスの立憲君主制が今後どのように変遷するか、さらに注目していきたい。
下巻の方が内容は良質。
2016/11/14 16:06
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
バランスよくまとまっていると思う。中心に議会政治の始まった国の歴史というテーマがあるようで、少しウエイトがかかっていたような気がする。その点ではサッチャーの評価とか、もう少し詳しくても良かったのではと思う。下巻の方が内容は良質。
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17世紀の清教徒革命から、2つの世界大戦を通じて、現代までのイギリスの歴史が語られています。物語として書かれていますので、イギリスに視点が固定されており、全世界の歴史と並行しての見方はできませんが、イギリスという国がどのようにして出来上がったのかを知ることができます。イギリスには、各時代に主人公がいるのですが、それが代々の国王だというところ。国王と議会が協力しあって政治が動かされているということがよくわかりました。ヨーロッパの中でも、そういう意味で特殊さがあり、それに誇りも持った国民性が伺えまして、この国にとても興味を持つことができました。
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本書は「王権と議会」を中心に据えた通史であり、下巻では清教徒革命以後を扱う。社会経済文化といった点では「イギリス史10講」や「イギリス近現代史講義」といった新書の方が詳しく、面白い。そういう意味で物語系の著作の中では、教科書的とも言える。つまり読みやすい。
しかし、淡白ではない。「王権と議会」故に王族と政治家の個人的関係については詳細である。帝国の落日も面白い。また、各首相の思想の方向性やその当時の議会対立などが分かり易く議会政治の深化やあり方を考える上で示唆に富む一冊である。
首相官邸強化の道を辿る昨今、彼の国の歴史に学ぶことは多い。そして、文人チャーチルや読書家アトリーといった知識人宰相を生み出したイギリス議会政治を羨ましく思うとともに、若槻礼次郎を輩出したかつての帝国議会を懐かしみつつ、学者に侮蔑の言葉を投げかける現在の政治の貧困を悲しむのである。とはいえ彼の国でも暴力的な言論が幅を利かせつつあるようだが。
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上巻に続いて、エリザベス一世から現代まで。流石にこの辺は、資料が豊富なので、著者の視点が表れてくる。本書は王権と議会を中心に据えているので、外交や文化、経済といったところは必要最小限にとどめられている。その点で、少しわかりにくいが、参考文献も挙げられているので、それを参考にしたい。文献にとどまらず、映画にも触れられていて、知らないものも多く、いつか見てみたい。
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これを読むと、この前の国民投票は、何というかサッチャーの亡霊のようなものが表面化してしまったのかなと考えさせられた。
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上巻はあっという間に読んだんだけど下巻がきつかった。
下巻の中盤からほぼ政治史。筆者の専攻が政治外交史らしいので然もありなん。通史を謳ってる割に配分の偏りが大きいのだが、はじめから「王権と議会」がテーマだと言ってるので仕方ない。
巻末に、参考文献と同様にして関連映画を紹介しているのが好ましい。
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EU離脱問題を巡って英国が揺れています。メイ首相がEU側とまとめた離脱合意案は先月、下院で歴史的大差で否決されました。来月末の「合意なき離脱」が現実のものとなる可能性が高まり、どのような影響が生じるのか誰も予測がつきません。
本書は、イギリスの歴史を議会と王権の関わりを中心に論じた概説書。下巻はエリザベス1世の死去、ジェームズ1世の即位から、21世紀初頭のキャメロン政権成立まで。
私たち日本人からは、彼の国は同じ島国、アングロサクソンで大陸諸国とは一定の距離を置くジェントルマンの国、といった印象しかありませんが、本書を読むとその内実は様々な対立を抱えていたことがわかります。
一つ目は宗教上の対立。長らく英国国教会が国の宗教として位置づけられ、カトリックは認められていない中、17世紀初頭のヨーク公(後のジェームズ2世)がカトリック教徒だったことから、国王擁護派と反国王派の対立が激化。イングランド史上最初の政党、トーリとホイッグ登場の背景になりました。カトリック教徒は長らく公職に就くことができず、解消されたのはようやく18世紀後半になってからでした。
次に、アイルランド問題。グレートブリテンを構成するイングランド、スコットランド、ウェールズと比べて、アイルランドは自治が制限され、経済的にも劣位に置かれていました。そうしたことが背景にあって1845年に飢饉が発生。人口は820万人から19世紀末に440万人まで落ち込みます。100万人が餓死し、20世紀半ばまでに400万人が英国本島、北アメリカやオーストラリアに移住。その後も独立を主張する武装集団IRAのテロに悩まされ続けるなど、アイルランドの自治権付与は歴代政権にとって最大の問題であり続けました。
最後に国内の身分制度。人口のわずか5%のジェントルマン階級(地主貴族)がその他95%を支配する構造が長らく続いていました。が、第一次大戦がその構造を破壊します。大戦勃発後、騎士道精神に基づく「ノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の責務)」から戦場に駆け付けた地主階級の若者の大半が犠牲になりました。1914年だけで彼らの19%が戦死するなど、将来の指導者層が大きな打撃を被ったことで、貴族階級と庶民の対立が政治上の課題となり、第二次大戦後の労働党政権につながっていきます。
これほどまで社会的対立を抱えながら、大英帝国を築き上げパックスブリタニカを実現できたことのほうが不思議なくらい。
英国の衰退はもちろん重要な研究テーマですが、多くの課題を抱えながら成功した要因は何かもそれに劣らず重要なテーマだと思います。
本書ではそこまで触れられていないので星は3つ。EU離脱問題を注視しつつ、他書で彼の国の来し方行く末を探りたいと思います。
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近代以降は登場する政治家も多く、有名どころの政治家や王族をわずかに知っているだけでは読み飛ばすしかなかった箇所も。
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下巻は、清教徒革命から2012年のエリザベス2世在位60周年まで(キャメロン政権)。
小学校のとき、イギリスの正式名称が「グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国」だと知って、その名前の長さにテンション上がったが(今になって思うと日本語で議論してもしょうがない話題…)、どうして「連合王国」なのかよく分かる。
清教徒革命で一時は共和制になったものの、すぐに王室が復活するので、フランスや日本と違ってこれぞというイベントがないまま、本を読んでいてもどこが転換点か分からない感じで議会が発展していったのはイギリス特有のように思う。
著者自身が言っているように、本国中心に書かれているので、植民地の話がほとんど出てこないのは違和感あった。また、この後のBrexitのドタバタや新型コロナの話も読みたいが、それは現在進行形だからな。。
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どうも全体として「物語シリーズ」の割には物語性に欠けるという感じ。通史の流れを追っただけ、という印象。
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上下巻読んだ感想。イギリスの歴史はもっと時間をかけて学ぶようにしたい。
イギリス王家はヨーロッパ大陸の皇帝や王家と婚姻関係にあったことはなんと無く知っていたけど、どうも主従関係や相続などが複雑。
スコットランド·ウェールズ·イングランドとアイスランドの関係も掘り下げて学んでみたいかな。
あと、議会が成立してからの変遷も気になる。随分と歴史があるようだし終身の貴族院というのももしかしたら人気投票的な民主主義にいくらか歯止めをかけるよいシステムなのかも知れない。
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『はじめに』にある通り、イギリス史と言うよりもイギリス王朝史&イギリス政治史。下巻は産業革命や大英帝国化が国の有り様に与えた影響についての解説を期待していたが、王家内、閣内の小さな話に終始していて残念だった。
その分政治の記載は非常に詳しい。イギリスの政治体制を輸入した日本で、予算審議における衆議院の優越や衆議院からの首相選出が慣例化されている理由を知る事ができた。ただ日本はあくまでもモノマネに過ぎないので、創設から100年以上経っても完全にはイギリス式にならないね。マニフェストも影の内閣も政権交代可能な二大政党制も全く機能しない。それでも全然構わないけど。
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エリザベス1世は後継を残さなかったためテューダー朝は断絶。開祖ヘンリ7世の子孫スコットランド王がジェームズ1世として即位、スチュアート朝はじまる。
17世紀、チャールズ1世は議会を軽視し絶対君主を目指すが、抵抗を受け内戦に入る。議会側指導者に清教徒が多かったので清教徒革命と呼ばれる。クロムウェルの活躍で議会派が勝利し、国王は斬首された。共和制となる。クロムウェル死後、チャールズ2世が即位し王政復古。しかし次代ジェームズ2世の専制にオランダ総督ウィレムがイングランド上陸、国王は逃亡し名誉革命成る。
スチュアート朝断絶後、ハノヴァー朝ジョージ1世が即位。ドイツ系であり18世紀の政治は政党の有力者に任せられた。政党政治色が強まる。国王の信任のもと首相が政治の主役となった。
ルイ14世からナポレオンに至る長い18世紀はイギリスが勝利した。戦費調達のための長期国債が早く発達したことが勝因である。ヴィクトリア女王治世において黄金時代を迎える。
第一次大戦後、自由党が没落し労働党が躍進。保守党との二大政党を形成する。