決定版バブル以降史
2022/02/09 19:17
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投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
バブル崩壊から現在までの、主に平成期間の経済史を、金融事件を中心に描いている。
非常に精緻な調査と、大胆な取捨選択で、事件の相次いだ激動期を概説している。
本来なら、もっと盛り込みたい内容や、紹介したい事実など、いくらでもあったと思われるが、よくここまで思い切ってまとめあげたものだと、著者への尊敬しかない。
ただの読み物としても非常に面白い一冊。
平成は再編で乗り切った銀行、令和はどう乗り切るのか
2019/07/15 17:55
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投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成は金融機関にとって激動・激変の時代でした。
バブル崩壊に伴い、金融不祥事や住専問題が勃発も、これは序の口。「護送船団方式で金融機関は潰さない昭和の方針」が、逆に金融機関の放漫経営を助長。金融危機に耐えられず、どの金融機関も経営不振に陥りました。竹中プラン等の荒療治で一服したかに見えましたが、リーマンショックが発生。貸し剥がしが起こり、一般企業が続々と倒産する事態に。その後、アベノミクスや黒田バズーカで景気の最悪期は脱しましたが、マイナス金利の長期化で、金融機関のさらなる危機が到来しています。
マイナス金利の長期化は金融危機の時以上に、金融機関の体力を確実に奪っています。ここ3年以内が正念場ではないでしょうか。また今や、学生にも不人気の不況業種の代表格となり、中期的には人材難に陥る可能性も大きいと思われます。平成は再編により何とか乗り切りましたが、令和は金融機関にとって、平成より厳しい時代となるのは明らかでしょう。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平成の30年間の経済の歴史が、わかりやすく説明されていて、よかったです。バブルの崩壊から、脱却できているのでしょうか。
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「平成金融史」だけど「平成金融破綻史」の方がふさわしいかもしれない。本書に書かれた時代、既に働き始めていて、その頃のことを思い出しました。思えば平成の金融、特に金融行政は、初めて市場というものとの対峙を余儀なくされたのでしょう。本書の中でも有名な大蔵省証券局長が、別館で合宿して証券会社の破綻スキームを練って上機嫌で記者会見までやったものの、コール市場が干上がっちゃってあらら、という話なんかは象徴的でしょう。その中で、比較的市場を学んでいた日銀が、アベノミクスに絡みとられ、市場の機能を削いでいく姿はなんとも哀れで泣ける(特に白川総裁の辞任)。
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平成時代はバブルのピークから崩壊過程 金融失政の30年
金融記者として、舞台裏のドキュメントに詳しい ex拓銀破綻前夜19971114-
金融バブル処理を日本的に時間を掛けてやってきたが、
結果的には「鬼手仏心」短期決戦が正しかったと思う
ex現在のコロナ対策も同じ2020/04/30
ソフトにずるずる長期化すると最悪の結果になる
政治家は断行できない 官僚は全く出来ない
誰もリードせず底なし沼に落ちていく
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平成30年の金融の歴史を振り返る本。お堅いのかと思ってたけど、エピソードの語り口が面白かった。
しかし、リーダーと言われる人達の先送りとか、あるいはメンツみたいなもので、企業が多額の負債を抱えたり、あるいは、破綻したり、最悪人が死んだりするんだなと思った。
未だにデフレから抜けられない日本なんですが、あとがきにあったように実験の歴史がまだ続いてるのかなと。不透明な時代を生き抜くには、リスクマネジメントが重要だと思うので、過度な借金は避けつつも、必要以上に財布の紐を締めない、そんな家計運営が良いのかななんて思いました。
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バブル崩壊後、長期低迷にあえぐ日本経済。金融当局は何を考え、何を見誤ったのか。取材をもとに「金融失政の三十年」を検証する。
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著者は、時事通信〜TBSの記者とのことだけれど、期待通りの読みごたえ。これはおもしろいよ。西暦で生活しているので、”平成”でくくることにあまり意味はないと思っているけれど、日本の金融問題の歴史は、平成の歴史とほぼ重なるからね。平成元年末の株価最高値から、ひたすら危機の戦い。
尾上縫とか、東京協和信用組合とかコスモ信用組合とかなつかしい名前も出てくるけれど、なんといっても、ハイライトは、平成9年(1997年)。11月に三洋証券、拓銀、山一証券が終了。3連休に北の大地に行ったときの日経朝刊を思い出すよ。
どうやら11・26が勝負の1日で、ここでひと山越えたようだけれど、その後も、長銀、日債銀、りそななどと続いていくよね。でも、これを読むと、大蔵省や日銀がいろんな策を考えるけれど、公的資金導入は、結局は世論との戦いで、そうなると、なんだかんだ最後は政治決断なんだよね。うまくいったものもあれば、結果的にうまくいかなかったものもあるけれど、橋本さん、宮沢さん、野中さん、梶山さん、柳澤さん、竹中さんetc、みんなそれなりに腹をくくって、厳しい決断を下してきてるよ。もう少し評価してあげていいと思うし、それに比べると、金融機関の経営者の方は、無能で器が小さい感じが否めないね。まぁ、小生も、95年頃は、住専に税金とかありえないだろとか思って、青島さんとか応援してたからえらそうなことはいえないけどさ。
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とても重厚な本。失われた10年と呼ばれる原因はバブル崩壊だけでなく、その対応の混乱や不祥事があったことなどが何となくわかった。住専と農協マネーとか、宮沢喜一が小渕内閣の蔵相で頑張ってたことなど勉強になることが多かった。拓銀と山一とか。
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20190706- 0805バブル経済真っただ中から、その崩壊、経済不祥事から住専問題、不良債権問題と金融危機、公的資金、ゼロ金利政策から量的緩和、異次元緩和へ・・平成の金融史は激動と失政の連続、そして令和へと続く新たな金融政策と政治対応、行政の在り方を生み出してきているのだと思う。それぞれのトピックにおけるキーパーソンへの新たな取材による証言が新鮮。
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バブルの後始末に失敗したところから始まり、黒田バズーカの失敗(あるいは中毒化?)までを関係者への取材を交えて振り返る。
当時のニュースを見ていてもわからなかった裏面についての証言が盛り込まれているので、貴重な史料になりうる一冊。
ただし、ニュースソースの秘匿がなされているので信憑性については評価が難しい。
いまは無理でも数十年後には誰がどう証言したのかオープンにできると、この本の真価がわかると思う。さて、それができるのだろうか。
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バブル崩壊からアベノミクスまでの政治経済状況と金融政策とそのインパクトを編年体で記述。多くのインタビューに裏付けられた記事だが、日銀関係者からの聞き取りにややバイアスがあるきらいがある。
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失われた30年に重なる平成の間、バブルの崩壊から度重なる金融危機を経てアベノミクスへと至る流れを時に利害の対立する当事者達の目線を交えて描いており、迫力がある。
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ジャーナリストの著者による平成30年の波乱に満ちた金融政策のドキュメンタリー。
金融という小難しいテーマだが、綿密な取材に裏打ちされた臨場感あふれる記述に読み入ってしまった。90年代の金融危機の際の政策担当者は本当にハラハラドキドキだったろうなと思う。
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名著。バブルからアベノミクスまでを1つのストーリーとしてスッキリと纏めている。こうしてみると、平成の日本の金融は、昭和のバブルの後処理に追われた30年間だったように見える。その中で、また次の問題を抱え込んでしまっているのか?