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【伝説の映画プロデューサー奥山和由のすべて】八〇年代、九〇年代、低迷する日本映画界で一人気を吐いたスタープロデューサー、奥山和由。名監督、名優たちとの秘話を語り下ろす!
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飛ぶ鳥を落とす勢いだった奥山氏が松竹を追われた理由。片方の言い分だけでは何とも言えないが、当時の松竹の体質は相当古かったのだなと思う。巻末の作品リストによれば、私が観たのは「ハチ公物語」だけだった。
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奥山和由がプロデューサーとして活動していた90年代、ぼくはほとんど映画を見ていなかった。それでも彼の名前は悪い印象とともに知っているのだから、当時、相当ネガティブな報道がされていたのだろう。2002年に高田馬場の名画座「早稲田松竹」が閉館したとき、早稲田の学生の間で「あれは奥山のせいだ」という噂がたったこともあったなあ。そういう色眼鏡のもと読み始めたら、奥山和由の映画やクリエイティブにかける思いがとても熱くピュアで驚いた。印象が180度変わったと言ってもいい。
中で出てくるエピソードが、どれも濃い。特に深作欣二や北野武とのエピソードは、それ自体が映画になるような内容だった。「ハチ公物語」を撮るために、東映の岡田茂や東急電鉄の五島会長に会いに行く様子は、月村了衛の傑作小説『悪の五輪』を彷彿とさせる。吉本興業・大崎会長との因縁も興味深いが、意外とあっさりめ。ここはかなり抑えめに書いたのかな。
早稲田松竹の件への記述がなかったが(もとはあやしい噂だし、当然だよね)、この本を読んでいると、彼が手掛けた映画を見たくなってくる、邦画に興味がある人は必読!
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日本映画が一番元気の無かった時代、邦画を観るのがダサいなんて思ってた時に、奥山さんが日本映画を復興し良い作品を作ろうと闘っていたとは知らなかった。映画会社が自分の劇場で上映する映画を作ってチケットの売上で興行を上げようとする時代。読んでいて懐かしさを感じながらも、松竹のカラーに合わないと自分の会社の出資を得られず、他で資金集めに奔走する様は、大変な時代だったんだなあと思った。自社の改革に奮闘しながら作った作品は、当たるのもあればそうでないのもあって、最期は松竹を追い出されてしまう。奥山さんがいなければ、監督北野武も生まれなかったのに。「その男、凶暴につき」の製作エピソードは非常に興味深かった。僕は、北野武も、深作欣二も、野沢尚も好きなので、フライデー事件を挟みながら、作品がどんどん当初のものと変わっていく様は、映画ファンとして読んでいて感無量だった。その後に傑作「ソナチネ」を一緒に作りながらも、北野武と齟齬が生まれて離れてしまう無念な想いは哀しかった。才能に惚れた監督に尽くそうという想いと、作品への情熱で良い方にコントロールしたいという想いと、「RAMPO」を再度作り直してしまったように、映画にのめり込んでいく想いを疑似体験しているような気分になった。「GONIN」や「うなぎ」など、好きな作品のエピソードも読めて楽しかった。
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さすがの春日太一仕事!
前半は笑えて驚かされるようなエピソード達が並ぶも中盤からは奥山さんが作りたい仕事から立場と共にお金の為であったり、社内での立場が弱くなり追放されてからは関わる作品もかつての勢いが弱く見えた。ただ奥山和由という人のこれまで持っていた敏腕映画プロデューサーにして鼻持ちならない人、というイメージは拭い去る事になった
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とても面白かった。
突き抜けた個性のある人の映画の裏話が面白くないわけがない。
奥山和由さんといえば、松竹解任劇と羽田美智子。
完全にミーハー気分で読んだ。とはいえ、春日太一さんのインタビューだからこそ読んだ。
私自身が数本の作品しか見ていないのが残念だ。好みが合わない⁈いやいや、深田晃司監督の「ほとりの朔子」「さようなら」は見たい。
奥山さんが紹介していた、トニー・レオンの「許すことは勝つこと」という言葉をかみしめたい。