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まるで「歴史劇」の舞台俳優みたいな、「多才」で「多彩」な科学者たち。
2019/02/28 20:27
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投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者が採り上げる「科学者」には、詩人のキーツや冒険家のシャクルトン、作家の戸川幸夫やSF作家のアーサー・クラークがいて驚かされるが、挿話(エピソード)を読めば納得がいく。
見開き二頁に科学者一人の挿話を披露しているが、ガリレオ、ケプラー、ニュートン、ファラデー、ダーウィン、マクスウェル、マリー・キュリー、アインシュタイン、湯川秀樹、ワトソンは別格で、二倍の頁数を充てている。
一方で、複数の科学者たちが犇きあうケースも。トムソン父子やブラッグ父子は当然だろう。ただ共通の頭文字「L」で括られたラグランジュ、ラプラス、ルジャンドルは、業績や知名度からすれば独立して然るべき筈。著者の興味を惹く挿話に欠けたんだろうな、きっと。
本書を、切りのいい150の小舞台に科学者164名を<舞台俳優>として立たせた「歴史劇」だと捉えれば、どの俳優を誰と組ませるか(共演させるか)、どんな台詞を喋らせるか(演出するか)という点で、舞台監督たる著者の手腕が冴える。
著作「プリンキピア」の出版責任者に名前を刻んだピープス、そのラテン語原書の仏訳に取り組んだシャトレ侯爵夫人ガブリエル・エミリー、ニュートンの評伝を著したブルースターなど一般には馴染みのない人物の挿話から、ニュートンの偉大さを改めて感じた。
また、米国独立戦争の逃亡スパイからやがて消滅する神聖ローマ帝国の貴族に成り上がったランフォード伯ベンジャミン・トンプソン、旧大名(殿様)の家系で華族(侯爵)の爵位を持った蜂須賀正氏など、登場人物が実に多才かつ多彩だ。
ノルウェーと日本にルーツを持つノーベル化学賞受賞者のチャールズ・ペダーセン、放射性コバルト60のβ崩壊実験でパリティ対称性の破れを実証しながらもノーベル物理学賞には遠かったウー・チェンシウン(呉健雄)など、その事績は余りにもドラマチック過ぎる。
初めて名前を知った科学者たちを追っかけて調べるだけで、自分なりの科学史が出来上がる。個別引用の出典は本文中で明示されているが、参考文献は見当たらない。博覧強記の著者ならではの「物語」(挿話)を楽しむのが一番だろう。
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