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変わった本。いい歳した子育て中の中年女性が、生活と健康を犠牲にしてここまでのめり込む何かを持っていてもいいのだ、という一種の安堵が得られる。
犯罪ノンフィクションとしても、逮捕されたシリアルキラー本人のことは逮捕前だから当然描かれていない。未解決事件として40年の間、捜査官たちが何をしてきたかと、著者含め捜査官ではない人たちと技術がどう事態を進展させ貢献したか、が書かれている。
ひたすら未解決事件がいかに未解決かが主なのに目が離せない。
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悲惨なアメリカの犯罪の実情を知ることができ、筆者の粘り強い事件への執念を感じることができた。
ただ日本人には外国人の名前や地名等、なかなか頭の中にずっと入ってこなかったので、読み終えるまではかなりの労力を費やした。
事件の描写が細かいが、被害者やその家族に配慮しているとも感じた。
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これはシリアルキラーによって、人生を狂わされた人々の記録だと思う。生き残った被害者のトラウマ、残された遺族の癒えることのない悲しみ、怒り、途方もない量の各種のデータ、物的証拠、証言、暗中模索の捜査員たちの疲労と強迫観念、そして著者とその家族の人生そのものが黄金州の殺人鬼追跡を中心に書かれている。正直、殺人鬼の背景なんてどうでもよくなる。犯罪の動機についてとか家庭環境がどうだとか、そんなの専門家がきちんと分析すればいいのだ。犯人の悍ましさを伝えつつ、これらの犯罪に巻き込まれた人々の姿は克明で、読んでいて辛かったがページをめくる手は止まらなかった。素晴らしい仕事ぶりだ。
最後、犯人が逮捕されて良かったよ。
著者の仕事と人生に敬意を。
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2018年4月24日、アメリカ合衆国でひとりの男が逮捕された。
名前はジョセフ・ジェームズ・ディアンジェロ。アメリカ海軍の
元軍人で元警察官、元トラック整備工。年齢は72歳。
1974年から1986年までの間に、13人の殺人、50人以上の性的暴行、
100件以上の強盗を犯し、「黄金州の殺人鬼」と呼ばれたシリアル・
キラーだ。
30年以上も未解決だった事件をある種の情熱を傾け、犯人に辿り
着くことを願って独自の捜査・考察を重ねていたのが本書の
著者である。
残念ながら、著者は犯人逮捕を見ることなく、本書執筆中に
心疾患でこの世を去ってしまった。そんな著者の意思を継いで、
夫と編集者が残された遺稿をまとめての出版である。
時系列が飛ぶ箇所が度々あるので、若干の読みにくさはある
ものの、未解決事件を追う著者の緻密な資料集めに脱帽する。
確かに、未解決事件というのは人を魅了するものがあるんだよね。
語弊があるかもしれないが、私も好きだもの。ああでもない、
こうでもないなんてとりとめのないことを考えるのが。
しかし、胸糞悪い犯行の数々を読むのは苦痛だったが、「よくぞ
ここまで詳細なメモを残し、捜査資料を読み込んだな」と感心する。
本書が操作に与えた影響はなかったようだが、それでもほとんどの
時間を「黄金州の殺人鬼」の正体を暴くことに費やした著者に、
犯人逮捕を見届けて欲しかったと強く思う。
2020年8月21日、犯人には仮釈放のない終身刑が言い渡された。
「刑務所でくたばればいい」は、公判で被害者のひとりが口に
した言葉だ。
犯人の年齢を考えると、被害者の言葉通りになるのはそう遠くない
未来だろう。
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100冊ビブリオバトル@オンライン第5ゲームで紹介された本です。オンライン開催。チャンプ本。
2020.08.22〜23