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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性ならではの視点や考え方が際立つが、登場人物に名前がない話も多くエッセイみたいな印象も。ただ注意は七話以降で「声の無い誰か」はいきなりホラーでびっくりだし、表題作も死後の世界が絡む話で異色。
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投稿者:うーよー - この投稿者のレビュー一覧を見る
見ない景色、口にしたことのない味、知らない触感など、体験したことのない感覚を、直接脳に電極でも押し当てられて植え付けられたような、そんな読後感の短編集だった。 この作家に対する信頼感が無ければ、途中でやめていたかもしれない。でも、読み終わってのこの感覚は「悪くない」と思っている。
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短い物語の中で、なにか問題や悩みに方向性が見えてくるのは、読んでいて気持ちがいい。だれかの思考を丁寧にトレースしていくことで納得する感じをおぼえたり、飛躍や破綻のない安定した道筋がみえるからだろうか。私はすぐにとっちらかってなかなかこんなふうに筋道だった思考ができないので、たとえば共感できなかったり身近でなかったとしても、「あぁ~そうだなぁ」と納得してしまうようなところがこの短編集にはある。
『岩盤浴にて』『履歴の無い妹』がよかった。癒しとデトックスを求めて行った岩盤浴で、どうでもいい情報を仕入れてしまうことや、過去のどんな写真を何のために残しておくか、または捨てるか、という選択など経験はないのに「たしかにそうだ」と思える気持ちよさはちょっとふしぎでもある。作者の魔法みたいなものだなぁ。
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なんとなく手に取る機会がなかった
はじめての綿矢さん作品。
リボンモチーフのものが好きなわたしは
ただ単純にタイトルに惹かれ
装丁のイラストのタッチも好みだったから
パッと目についたのがきっかけ。
独身女性、母、妻、娘…女性が主人公の短編集。
「こたつのUFO」「怒りの漂白剤」そして
タイトルにもなっている「意識のリボン」が
好きだった。
ここしばらくの自分と重なるものが多すぎて
ちょっと苦笑いしてしまう場面も。
怒りは、ちょっと厄介だ。
そのまま放置していればどんどん膨れ上がり
いつか爆発、暴走しかねない。
かといって、ないものにはできない。
そこのところのさじ加減を
見つめるきっかけになったし
いまの自分の受け止め方や対処の仕方を更新。
“意識”については、まだまだ大人になりきれていない年頃からぼんやりと考えてた。
心ってなに?どこにあるの?
意識って?意識と無意識のさかいは?
この本のなかに、その答えのようなものがあった。
父が逝ってしまったときから、“この世”も“あの世”も自分とぜんぶが一体化したように思う。
安心したくて、そう思いたいのかもしれない。
でも、そこから見守られながら
わたしの意識とわたしは結ばれているんだと思うと
安心感で包まれる。
綺麗事ではなく
人間臭い負の感情と呼ばれるであろう
怒りや情けなさ…
そういう部分に蓋をすることなく
まっすぐでリアルな感情むき出しの描写に
とても共感したし、好感が持てた。
なんだかホッとできた作品だったな。
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綿谷りさって、本当に面白い文章を書くなあと思わされる。(すごく当たり前のことを言う笑)ヒヤッとさせられるほど、人間を冷静に見ていて、人間に期待することを諦めているように見えるが実は、俯瞰したところから、めっちゃ精一杯生きてる感じがした。「怒りの漂白剤」が一番すきだった。好きなものが強すぎて、分からない嫌いなモノを過剰に攻撃してしまうのは、自分そのものに感じたし、今の時代っぽいなあと思った。自分らしく生きることと、人が人と共生することは、相容れないから、悩む。しかし、その時間をも、人生のひかりとして表現する筆者の強さに感動した。
いや「岩盤浴について」もジムとかのあの感じを、上手く言い得ていてすきだったな。決めれん。
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綿谷りさの表現力には脱帽。この話は小説というより、 名前の知らない女性たちの日記を読んでいるかのよう。だから、面白いではなく、共感できるといった感想が沸く。 頭の中で渦巻くもやもやに形を与えてくれた。
特に好きなのは、怒りの漂白剤。
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シスヘテロの日本社会に馴染んで暮らす女たちの短編集。女性のこの社会で生きる上での悩みやもやもや、コンプレックスなどを描いていて、響く人には響くんだろうと思ったけれど、でも私はシスでもヘテロでもないからあまり共感できるところはなかった。
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岩盤浴にて
岩盤浴に通いながら近くのホットヨガに通う女性たちの会話などを聞きながら自己分析。
人の会話をつい聞き耳を立てて聞くとこんな感じというのがとてもリアルに描かれていてゾクゾクとしました。
そこから人生の生き方が見い出しているのが面白いです。
人間観察が鋭いです。
こたつのUFO
炬燵の中でぬくぬくとしているとこんな心境になるというのがこれもリアルに伝わってきます。
そこから何故かUFOが来るというのが何とも面白い発想。
歳を重ねて色々と思いが募ることがあるけれど、
可能性はいつだって外ではなく自分の内側に
詰まっているという言葉が印象的でした。
ベッドの上の手紙
男性からのちょっと意味深な手紙です。
こんな手紙が置いてあったらぞっとするし、
この男性の行く末が気になって仕方ないです。
履歴の無い女
結婚を先にした妹が姉宅へ訪れて一緒に料理をしながら
会話をしていたらふとしたことが・・・
主人公の女性が辛い現状になっているせいで
履歴が無いと思って過ごしているのかよく分からない設定ですが、
あんなに気丈に振舞っていたり元気だった妹が
実はあの時には酷い精神状態だったということが分かり
主人公が少し将来の事を考え始め出しているのが救いだなと思いました。
不思議な物語。
履歴の無い妹
一人暮らしをしていた妹が近々結婚をするというので
引っ越しの手伝いに行く姉。
引っ越しの手伝いをしている途中で一枚の意味深な写真を見つける。
そこから今まで一緒に過ごしていた妹が意外な過去を
探ることになる。
この姉の言うようによく若い時の写真を
沢山撮っておくと良いと聞くけれど、
時にはこの場合のように人には言えないような
過去も発見されることもあるので写真も良い思い出の
ものならばいくつあっても良いけれど、
数があれば良いものでもないのと思えてしまいました。
人生で残しておく思い出は、安心して退屈な物が良いという言葉が
とても印象深かったです。
怒りの漂白剤
沸々と怒りの根源、原理などが描かれていて
まるで哲学書のようでもあり怒りの度合いが伝わります。
確かに日頃のストレスの解消の仕方は様々ですが、
漂白剤のようにさっと消せることが出来たらどんなに
便利かと思ってしまいました。
発想の転換がユニークでした。
声の無い誰か
住宅街の中で不審人物が現れ、被害者が出たという噂が
広まりそれに狼狽えていた主婦。
あまりにもこの噂話にリアリティがありどんどんとこの主人公が嵌ってしまい日常生活にまで支障が出てしまうという少し他の作品とは違うタイプの物語でした。
目に見えない恐ろしさ、そして噂が噂を呼んでしまう怖さがこの作品ではたっぷりと味わうことが出来ました。
ただ噂だけでなく今後の事を考えるとラストのような行動を取ることも時には必要だと思いました。
意識のリボン
交通事故に遭ってしまい一命を取り留める間に経験した
不思議なひかりの世界が綴られいます。
同じような経験はしたことが無いですが、
何故か何処かでこのような経験をしたような思いになり、
読んでいても違和感がなく、いわゆるあの世の世界などが怖いものではなく温かく包み込まれるような世界で
描かれてい本当に不思議な世界観でした。
集英社文庫ナツイチ2020で紹介されていた中で
興味深い作品だったので手に取りました。
履歴の無い私と履歴のない妹は二作品で一作品と
思って読んだ方がよく理解できるかと思います。
綿矢さんの作品は読んだ記憶があまり無いのですが、
なかなか女性の心の奥底の本音を掴んでいて
共感できる所や少し理解しずらい部分もありましたが、
それが様々あって面白かったです。
どの作品にも通じることは女性の身体と精神論といった
ものを感じましたが、ラストの作品になりその二つを超越した
魂の底力というものを感じました。
今まで綿矢さんの作品を読んでいないので
どんな作風が特徴的なのか分からないですが、
肉体と精神というものが根底にあって
それを超える何かが奥に潜んでいるような気配を感じるのでこれをきっかけに他の作品も読んでみたいと思いました。
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全8編からなる短編小説。最初の3編を読んでこれは小説集なの? エッセイでは?とも思った。
綿谷りさは「日陰者から見た社会」みたいな視点がが本当に面白い。かなりの捻くれ者。陽キャを軽蔑と羨望の目で眺めてる陰キャみたいな。
言葉の扱い方もうまくて、たまに突拍子もない比喩を入れたりするんだけど、それがすごくストンとイメージできる。文章のリズムというか緩急があるから、どんどん読み進められるし、読んでいて心地いい。
ちなみに私は『こたつのUFO』が好き。30歳独身の女性が部屋の中で悶々と自分の人生を振り返ったり、宇宙人に連れて行かれる夢を見たりする話。「20代の宿題、30代に持ち越した…」という一文が今の自分と重なる部分があり、とても苦しくなった。あいたたた…
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8篇の短編のうち、7篇は女性の語りですすむ。
「岩盤浴にて」は、見知らぬ中年女性の会話を聞きながら、色々思う話である。
外は秋の風だというのに、なんとも湿度が高く、汗が吹き出そうな、そんな気持ちにさせた。
まあ…岩盤浴は行ったことないし、汗もあまりかかない性質なので想像力とはげにおそろしげなり、なのだが。
「怒りの漂白剤」は、短気な私はよくわかる。
クーパー靭帯に例えられた時は面食らったが、わかる気がする。
舌打ちされると腹立つよね、わかるわかる。
怒りの沸点、というか、私はチャッカマン(これ、登録商標だっけか、あとで情報プラットフォームで調べてみよう)なみに火が簡単につく。
だからおっさんの「女が退くのは当たり前だろ、チッ」に「なんだ、コラ」というような態度を取ったことも若い頃にはある。
しかし喧嘩は買ったらだめだ。
そう言うわけだからあまり愛、平等、平和、みたいなことを偉そうに言えないのだ。
良い人じゃないから正しくいきたいとおもうのだ。
さてなんの話だっけ。
「声の無い誰か」は子供を持つ人には恐怖でしかない。
なんだこの終わり方。
ホラーじゃないか。
デマの恐怖と現実の恐怖。
子供が巻き込まれる事件は実際にある。
それから守ろうとしてデマが出来上がる。
デマもまた違う恐怖を引き起こす。
言葉にならない教訓のようなもの。
ざわつくこころは、私に何を伝えようとしているのだろう?
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エッセイのような“岩盤浴にて”や、異色の“こたつのUFO”、あったらいいなの“怒りの漂白剤”あたりが好みかな。軽妙なタッチも重厚な哲学的思考も、どっちもいける。久々に綿矢ワールドを堪能しました。あぁ、この鬱屈したものを吐き出したい!
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綿矢りさっておっぱい好きなのかなぁ…
エッセイなのか小説なのか不思議になる短編集。
これ読んでると作家の考えが小説に出てくるキャラクターや設定に反映されているんだなってのがわかる気がした
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女性の描写が本当に美しいな…
内容は正直ピンとこなかったけど、多分妻になったり母になった時に読んだら分かるのかな
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エッセイ集のような短編小説集。
「こたつのUFO」の突拍子もなさに笑いながら、姉妹の話に心当たりがあってすこし気分を害しながら(それだけ巧みだということ)。だけど「意識のリボン」表題作で、それまでのちまちまとした感情を突き抜けてしまった。
ずっと読んできた綿谷りさによる、魂と肉体とひかりの話を読めるなんて最高としかいえない…この1篇があるから手放せない1作になりました。
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綿谷さん作品の中ではちょっと読み解くのが難しい気がした。淡々と進んでいく話が多くよく分からない。けれど、各々の話にたまに垣間見られる登場人物のちょっとした発言などは秀逸だなと思った。