ペルシア人の手紙 みんなのレビュー

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：ちこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、「三権分立」を説いた『法の精神』で広く知られているフランスの思想家シャルル=ルイ・ド・モンテスキュー氏の作品です。同書は、宮廷での政争に疲れたペルシアの貴族ユズベクが友人のリカとともにヨーロッパに出かけてパリに長期滞在する間、故国をはじめとする各地の知人・友人と交わした書簡の集成です。同書の魅力は、何よりもまず18世紀前半のヨーロッパ、とりわけフランスの社会を東洋人の目で活写し、風刺しているところです。人々の生活や風俗が具体的に描かれるとともに、時には政治について、時には宗教について語られていく同書は、非常に興味深い内容となっています。多岐に及ぶ話題を扱う架空の書簡は、当時の貴重な記録として読むこともできます。ぜひ、重要な古典である本書を、この機会に読まれては如何でしょうか。