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20200815 オスカーワイルドの時代の芸術家の生き方、才能と才能の交わりが愛憎が絡むと大惨事になる。結果がどうなるか、史実なのだが読んでいてハラハラした。
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まず、表紙に惹かれた。この時点で私は既にオーブリーの蠱惑的な筆致にとりつかれていたんだろうなと思った。
メイベルの側から見ると弟を支える献身的な姉に見えるが、彼女自身も気付かぬ内に女豹の様な女性になっていく描写が良かった。
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2020年8月
この有名なサロメの絵にまつわる物語は、現代の研究者の会話から始まる。が、序盤で場面は暗転、絵の作者オーブリー・ピアズリーが生きていた時代、19世紀末になる。
弟オーブリーの才能を信じ熱く称える姉のメイベル・ピアズリー視点からのアプローチなのだが、メイベルはけっしてただの第三者ではない。女優として成功するという自らの野心のために、劇場主と寝、怪物オスカー・ワイルドと真っ向からやり合う、物語のまさに中心である。
わたしはメイベルの魅力にすっかり引き込まれてしまった。
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300ページもあるのに誰の本意も汲み取ることができなかった。敢えてそうしているのは承知だが、それゆえ書き連ねられた比喩や直情の全てが偽物か、矛盾しながらも本心として成立している刹那的な思いつきのどちらかでしかない、というそれ以上でもそれ以下でもない感想を持つことになった。メイベルを悪魔と呼ぶ描写があったが、それよか「卑しい」という言葉で置き換えた方が相応しい。こうあって欲しいという思いやりのベールで包んだ思い上がりで愚策を連発する所作に煮えきらない思いが止まらなかった。オーブリーも同様、サロメに、オスカーワイルドに引き付けられる所以が分からないのでただ自室で厨二を披露する青年にしか見えない。両者とも、人物像はあれども何だか目の届くところにおらず、そこに浮かんだ虚像を見ているような感触があるのである。
とは言え読んでいてそういえば何でもオチをつけたがる現代文学とは裏腹に古典文学ってこんなんだったよなと妙に腑におちるところがあった。『たゆたえども沈まず』と『楽園のカンヴァス』は既読だが、それより先に読んでたら星4だったかもしれない。
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オスカー・ワイルドのサロメじゃなくて
原田マハさんのサロメなんだけどこのサロメは
作者のワイルドと画家のビアズリーのお話
ノンフィクションに近いタッチで書かれてて
ワイルドとビアズリーはこんなふうに出会って
こんなふうに関係を深めていったのか…と思いながら
読めて原作のサロメがもっと深みが出そうと言うか…
決してハッピーエンドなお話ではないけど美しくて
魅惑的な話で劇とか映画を見てるみたいだった
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かなりクセがあるので好みは分かれそうだけど「運命の女(ファムファタル)」好きの人にはたまらなくハマるのでは。
物語の幕開けが素晴らしい。初めに「この男は誰なんだ?」って大きな謎が提示されるので惹きつけられた。この本を手に取るくらいだからこれを読む読者はある程度ワイルドやビアズリー、ファムファタルという画題、サロメについて予備知識がある人が多いかなと思うけど、それでも「未発表のサロメ」の謎を通して真実味を帯びたフィクションに違和感なく入っていける。
登場人物がみんな魅力的なんだけど、だれもが狂気じみてて、お互いがお互いに抱く気持ちだったり、それぞれの立場や関係性のなかで誰かが誰かのファムファタル的な役割を担ってるのが面白い。
それだけ愛憎とか情欲って人間を狂わせると思うし、それは自分の経験上もわからなくはないから、なんとなくこうなるんじゃないか……って先の展開が読めても飽きずに読み切れる。
冒頭の謎の答えはみんな予想できてることなんだけど、そこにいたるまでに何があったのかって過程を描いた物語のほうに読者の興味を惹きつける最高の仕掛けがある。その仕掛け上、最も重要なのが姉のメイベル。初めは脇役かなって感じだったけど彼女こそがファムファタルでサロメ。彼女にとってのヨカナーンはオーブリーだし、オーブリーにとってのヨカナーンはワイルド。そしてサロメはメイベル。それぞれに抱く気持ちを昇華させるためにお互いに利用しあってる。姉弟だけど、身内の情を超えてるし、でもそれがいやらしくなく姉弟の関係性に落とし込んでしまえるのが不思議。
ワイルドの落ちぶれ方もすごくよかった。オーブリーの望み通り首を手に入れたのかははっきりとはわからないけど、だからこそ読後の興奮は凄まじい。あの輝かしく時代の寵児たり得たワイルドの首、芸術家としての才能も伏せなければならない情欲も、全てひっくるめて一緒に地獄に落ちることさえ厭わないと思わせるほどのワイルドの首だからこそ価値がある。愛とか恋とかっていうとチープなんだけど、天才芸術家同士の特別な関係性とか独占欲、情欲、憎悪いろんなものに塗れてたんだろな。
姉弟、愛人、才能に恵まれたもの同士、それぞれの関係性が崩壊することで、それぞれの運命が狂い出す。性別を超えて誰かが誰かのファムファタル。
サラ・ベルナールやギュスターヴ・モローなど同時代の有名人を巻き込むことで、また読者たちの読後の世界が広がる素晴らしい作品でした。
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魅惑的?蠱惑的??なんというか、鳥肌たった。
すごい、引き込まれる。半分すぎあたりからマハさんの描く世界が、ワイルドやメイベルのその時代が目の前に流れ込んでくる感じ。
天才超えた怪物はマハさんあなたよって思っちゃう読後感でした。興奮して眠れない
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「サロメ」を巡る史実を模したファンタジー。映像的で舞台を見るようなワクワクがあった。全体に漂う退廃的な愛憎劇は確かにサロメ、この本のタイトルも確かにこれしかないなという一冊。
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どこまでが史実なのか。
元のサロメを知っていたらもっと楽しめたのかもしれない。
オスカーワイルドも、オーブリービアズリーも、19世紀末の時代背景も。
夜中にWikipediaで調べながら寝落ちしてしまい、怖い夢を見てしまった。
メイベルが変わっていく様が怖かった。
サロメになってしまった。
皿に乗った首はあの人??
ということなのか??
世界観に引き込まれて、読後感がエグい。
芸術のガッと掴まれる衝撃とか、深いとこに響いて余韻の残る感じ。
美術館や博物館に行きたいなあ、音楽も聴きたいなあ。
作品のひとつひとつにはみんなドラマがあって、それを知りたい。
今そんな気持ちです。
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文章が好き ◯
作品全体の雰囲気が好き ◯
内容結末に納得がいった ◯
また読みたい
その他
むかしむかし、たまたまつけたテレビでオペラ『サロメ』を観た。
サロメがヨカナンの首を持って『ヨーカナーン』とその名を何度もうたう場面で、たぶんクライマックス。
そのシーンしかみていないけれど、オペラでこんな狂気じみた演出もあるもんだ、と感じたことを今でも覚えている。
本作品は音が溢れるオペラの話ではなく、無音の絵画の話だが、オペラをみた時に受けた強烈な印象そのまま。メイベルの愛と狂気の物語に興奮。
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時代は19世紀末、退廃的な背景の中で女優のメイベルビアズリーの視点から、当時一世を風靡した作家オスカーワイルドと天才的な絵を描くメイベルの弟オーブリービアズリーの関係を描くミステリー?小説。戯曲「サロメ」を主軸に展開して物語は終始進行していく。サロメや絵画についてほとんど知識がない私にも楽しむことができた。というか熱中した。えぐいてぇ。恐ろしいのだ、彼の絵は。恐ろしいほどに、蠱惑的なのだ。(本文より抜粋)
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すごいものを読んでしまった……という読後感。
オスカー・ワイルドの『サロメ』。恋する男の首を斬首させて口づけするという有名な場面を軸に物語は展開していく。『サロメ』に描かれた残忍性、妖艶さをオーブリーが表現するにいたる過程、ワイルドに翻弄されてしだいに狂気じみていく様子に鳥肌が立つ。
オーブリーの姉・メイベルが、弟を想うあまり策略家となり物語を展開させていく。ラストの幕切れの良さに思わず息を飲んだ。
冒頭は現在のロンドンにて、ワイルド研究者とオーブリー研究者が会話する場面のため、少々うんちくめいた文章がつづく。その方面に興味がなければ辟易するかもしれないが(正直いって私は少々面食らった)、そこで本を閉じずに読み進めて良かった。
謎を残したまま次の場面へ展開する手法が繰り返し使われており、どうしても読み進めてしまう。が、そんな技巧的なおもしろさにとどまらず、また細部まで行き渡った描写力もさることながら、オーブリーとメイベルの変化していく激しい感情にひきつけられる。原田マハさん初読みであるが、一言一句に神経を使っているのが伝わってくる美しい文章。選ばれた色彩で情景が浮かび上がる。
手元に置いて何度も読み返したくなる作品。
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今までの原田マハさんの作品とは全く表情が違って驚いた。
描写や比喩などはやっぱり原田さんなのだけど、流れる空気が全く違う。
世紀末イギリスにぴったりの重苦しい空気、パリの華やかさとは対照的。
愛憎劇なのだけど、よくある軽薄なものでなく甘美な官能。愛憎劇が苦手だったはずの私でさえ、読み終わるのが勿体ない、読了後まだ物語の中にいるような感覚、2度目を読みたくなる、ゾクゾクする本だった。(退廃耽美は好きだからかもしれない)
世紀末美術が大好きなので原田さんがビアズリー!?と思って即手にとったけど大正解だった。
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史実に基づいていることもあって、興味深い内容でした。カタカナ苦手なのでどうかと思ったけど、登場人物が少なくて良かった
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挿絵画家オーブリー・ビアズリーと、脚本家オスカー・ワイルドの関係を
妹で女優のメイベル・ビアズリーの目線で語られる。
2人の描く“サロメ”が、
陰鬱で残酷で、でも強烈に魅惑的なのが伝わる描写だった。
病気の弟を心配するメイベルが次第にサロメのように、少し猟奇的になっていく様子が怖かった。