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若い精神科医や臨床心理士、PSWに向けて書かれた書物。実質的な技術を身につけていくにあたり、その背景には何があるのか、何が必要なのかが丁寧に書かれていて非常に分かりやすい。
変なカタカタ用語を無視すれば。ドクターならみんなわかるんだろうね。
やはり精神科医と臨床心理士では、初回面接で得る情報への力点の置き方が少し違うように感じる。
やはり医学なのだ。
そして病院で働くとはそういうことなのだろう。
これから何度も取ることになるのだろうが、やはりそのつど立ち返りつつ進めてくしかない。
さてさて明日はうまくいくだろうか・・。
あぁあと「小精神療法」って考え方が面白かったがこれを専門に述べた本はあんまりないのね。
もうちょっと調べてみるか。
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ポリクリ実習で精神科をまわり、頭も心もガツンとやられて、4年間本棚で眠っていたこの本をようやく繙いた。実際に患者さんの予診を取らせていただく前に第一章(「予診」)を読めて本当に良かったと思っている。
ポリクリで先生が、予診の際の心得として配ってくださったまとめ、あるいは実習の中で教えていただいたことと、この本に書かれている内容とは、多くの部分で重なっている。初版が1980年というから、DSMが生まれたばかりの頃である。それから精神医学も、特に客観的な評価基準という面で多くの進歩を遂げてきたはずだが、専門家でも何でもない身からすると、古くさささえ感じない。この本が「使えな」くなることは決してないのではないかとさえ思える。
精神医学は非常に経験的だと感じる。科学によるEBMと違うのは、まだ明らかになっていないことが多いということ。機序の初めから追っていくことができないから、経験知を重視せざるを得ない局面が多々ある。
その局面とはつまり、患者さんを目の前にしてどうするか。そのときにこの本は、ごく基本のところを丁寧になぞるように言い含めてくれる。そしてそれを叩き台にして自ら考えよ、経験の中から生み出してゆけ、と言ってくれる。
淡々と、必要な優しさと慎みをもった文章。こうなりたい、と思わせるような。実習でお世話になった中にもそういう先生がいる。
もっと考えたい。独りよがりではなく。そうして身につけていきたいものが、たくさんある。
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「予診」の持つ意味合いから始まって詳細に説明されている。
何年かに一度、折に触れ読み返したい本である。
しかし、ずいぶん高くなった。以前の新書版が良かったのだけれど。。。
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・遺伝をめぐって「先生、どうなのでしょうか」と家族は予診医に尋ねることがあるだろう。不用意な発言はしない方がよいのは当然だが、といっても、何もいわないわけにはいかぬ。どのような応対をするか。
…私なら、多分こういうであろう。人間誰一人遺伝から自由なものはいない。私だって(今顕在していないとしても)将来、遺伝病発病の可能性なしとしない。その点で違いはそんなにはない。しかし、医療は人間の中の健康な部分に向かってなされる。病的な部分に過度に注目しすぎるのは半医療的である、と。
・まず第一に体因的な可能性、いいかえれば「身体的基盤」をもつ精神障碍者の可能性を考える。それが否定できるか、ほとんど排除できるとき、はじめて二番目の内因性の精神疾患(統合失調症圏のものとうつ病圏のもの、ともに軽症者を含めて)の可能性について検討をはじめる。そして内因性疾患の可能性もまた否定できるか、あるいはほとんど排除できると考えたとき、はじめて三番目の心因性、環境因生の場合を考慮する。決して逆をやらない。
・神経症については、心因もさることながら「パーソナリティのかたより」にも注目する。パーソナリティの問題を分母とすることにおいてはじめて、ある出来事、ある体験が心因的力価を獲得する。パーソナリティの問題である以上、生活史と不可分のところがある。
・軽症うつ病は薬物療法下によくなるとき、どうも一定の傾向があるように思える。心理的水準でいうと、不安感・憂鬱気分のレベルから意欲低下(おっくう感)のレベル、ついで喜びの欠如(pleasureless)のレベルを超えて、治療していく。
とくに、「おっくう感」の時期は長く、本人も家族も医者も病気か病気に入らないのかとまどう。主観的にも客観的にも、苦しくはないが、ゴロゴロしている。この時期を経て、快方へ向かう。もう少し長いスパンでみると、このようになる。
焦燥→不安→うつ気分→手がつかない→根気がない→おもしろくない
うつ病の治療は「社会参加の成功」「快感の回復」がないと完治とはいえない。「うつ気分の消失」だけではまだ中途段階である。
・最近は質問紙法によるチェックリストを、診断に際して重視する傾向が世界的にみられる。それは、心という無形のものを診断するに際して不可避におこる、診断者の個人的恣意的な部分をできるだけ減らし、結果を世界的に比較を可能にするという大きな長所をもつのだが、2つ良いことはない。自分でチェックリストをやってみて思うには、これだけに頼ると、面接に際しての了解的な態度はどうしても弱くなる。
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ポリクリの時に研修医の方に紹介してもらい読んだ。入院や外来や様々な形での患者さんとの関わりを見ながら読んでいくのは、「精神科医とはそもそもどんな仕事なの?」の概観を少しでもとらえたいといろいろな側面を考えるのによかった。
もっと実務を担う時になったらまた、実務的なヒントを貰いに戻ってくる本だと思う。
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精神科病院の実習でお勧めされた本書。当時は絶版されてしまったと聞いていたが、本屋を回っている際に偶然出会い、再版されていたことを知った。おすすめの通り本当に名著だと思う。普通の教科書は出来るだけ客観的かつエビデンスのある情報で満たされている。確かにそれも役立つのだが、臨床現場では熟練者のセンスの方が納得できることが多い。そんな熟練者のセンスをできる限り文字化してくれた本書は初学者必読の本であると思った。
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精神科における初期治療に関する本。自分にとっては若干専門的な内容が多かった。
正確に関し、うつ病とメランコリー親和型性格、循環性格強迫性格、自己愛性性格、そして統合失調症と分裂性格、内向性格、反抗期を持たの音まで自己主張の少ない子との関連とは、少なくとも今日の日本ではかなり高い。
心理的不調の原因となり得る出来事としては、過労、対人葛藤、離別もしくは死別、試験などによる試される状況、遭難、日常環境の比較的急な屈折的変化、過酷な非日常的環境に投げ込まれること、が挙げられる
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自分の出身大学で予診を取る際に勧められた本。精神科医としての最初期に読んだので印象深い。おそらく最も精神科医に読まれている本では?
帯の通り、精神科臨床の知恵と良識が記されている。