遥か未来にシュート
2024/07/01 18:44
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
1ゲーム40分、5人の選手が走るフットサルは人生そのもの。モラトリアム気味な松永おんの人生が、微かに動き出すラストもよかったです。
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最近流行りの繊細さんの心理描写や人間観察をフットサル中心に展開する話。こういう若者が増えているということか。思わせぶりなタイトルは最後までストーリーと関連付けられなかった。
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浪人生の日常の物語。
フットサルや読書サークルという新しい環境に自らを置き、何か大きな出来事がある訳ではないけど、ちょっとずつ緩やかに変化していく主人公。
浪人生だけど、あまり受験勉強とかのシーンはありません。フットサルのシーンがメインかな。
何となく、こんなゆるゆるだらだらした雰囲気、嫌いじゃない。実際大学生とかもこんな感じだよね。主人公は大学生じゃないけど。でも、リアル。
自分も浪人してたから、既に大学生になっている友達や社会人に対しての妙な劣等感というかちょっとモヤモヤした気持ちよく分かる。
19歳とか20歳って、いちばん中途半端な期間な気がする。
大学生になっていればまだしも、浪人生だと「学生」という訳でもなくて、社会人でもない。自分の将来のこととか考えるし、自分に何ができるんだろうってよく考えてた。
20歳にもなれば世間的には大人だし、法律的にもいろいろ許されることが出てくるけれど、自分の感覚はまだどこか子ども。頭ではもう20歳だとは分かっているけれど、20歳になったからといって急に「大人」になれる訳では無い。
そんな過渡期にあって、フットサルや読書サークルを通してちょっとずつ自分と向き合って自分を理解していく主人公の姿に共感した。
自分のちょっと苦労した浪人時代を思い出して、ほろ苦くもあった。
1点気になったのは、終始主人公目線だったので三人称じゃなくて一人称でもよかったのではないかと思いました。もしかしたら、双子エピソードで名前のことを描きたかったからかな、とも思いましたが。。。
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浪人生の「おん」は、弁当屋でアルバイトしながら、漠然と受験勉強をする毎日。でも4か月前からフットサルのスクールに通いはじめて、目に見えないくらいじわじわと世界が広がりはじめる。
大きなドラマがある小説ではない。でも、多くの人の人生がそうであるように、日々のほんの小さなできごとの積み重ねで、ほんの少しずつ何かが変わっていく。そのようすが静かな筆致で、でもときにぐふっと笑ってしまうようなユーモアを交えながら描かれているのがとても好きだった。
おんは、自分は頭もとりたててよくはなく、「自分にしかできないこと」というような才能もない、と劣等感を抱えている。しかも生まれたときは双子だったのに、片割れは生後すぐに死んでしまったらしいから、自分が「半分だけの存在」であるようにも感じている。でも、バイトに通い、フットサルをする単調な日々を送りながらも、そのフットサルに心を惹かれて少しずつ深く入っていくうちに、自分の不完全さをそのまま受けとめるようになっていく。
わかりやすく啓示を受ける場面があるわけじゃないんだけど、なんとなく成長していく。そのゆるやかな感じがとても好きだし、そうやって自分の不完全さを受けいれ、なおかつ好きなものに打ちこんでいけたら、たとえそれでお金をかせいだり賞をとったりしなくても、りっぱに自分だけの人生が送れるんじゃないかな、などと感じた。
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二浪中の主人公「おん」
弁当屋でバイトをしながら
フットサルのクラブに夢中になり
受験勉強に意味を見出せなくなる。
読書クラブでの人間関係だったり
狭い世界でもいろんなことが起こる。
一見弱そうな主人公だが
悪口や陰湿な嫌がらせにも
淡々とやり過ごしているのが強さをもつ。
無気力なのか意思が強いのか
よく分からない不思議な人格。