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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
変わり者の集団みたいなイメージの東京藝大。その藝大で仏像修復を専攻している修士生たちの青春群像です。
普通人には理解できない芸術家たちの姿を面白く描いてるのかと思いましたが、
意外に感動のストーリーでした。
才能に恵まれながらも悩み、ひたむきに美術品と向き合ってます。
人とのつながり、素材との語らい、親子関係のすれ違い、故郷に起こった天災などを乗り越え、新しい一歩へと繋がります。
仏像の製造過程や歴史背景などの説明解説も分かりやすく盛り込まれており、次に仏閣拝観が楽しみになる。
藝大のちょっと変わった学生生活を覗き見る意味では面白い
2022/09/11 21:18
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投稿者:みー - この投稿者のレビュー一覧を見る
藝大で実際に行われている仏像の模刻がテーマ。修士製作で、自分の選んだ仏像を、そのままの作り方・形で再現する。わからないところは調べたり研究したりして補っていくというもの。学生たちの一年の葛藤をシーズンごとに、一人の視点から語っている。ひとりひとりのストーリー自体にはそれほど深みは感じられず普通なのですが、織り込まれている製作過程や技術・知識が面白かった。
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東京藝大の通称「仏さま研究室」の修了課題として「模刻」に挑む4人の奮闘記。
仏像といっても、時代・地域により様々な手法があることなど、また材料も多岐にわたることなど興味深かった。
いくらフィクションとはいえ、アンリの夢物語はちょっと微妙。檀家のお年寄りなり、先輩などからの言葉では伝えられなかったのだろうか。
野望に燃えた(笑)珍念のその後は気になるところ。
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芸大を舞台に、仏像の模刻に格闘する院生たちの物語。それぞれの生い立ちの中で才能と環境があり、他者の干渉があり、仏像という扱いへの縛りがあることでつくることへの情熱や欲とのおりあいをつけようとする姿は尊い。選ばれし者としての贅沢な悩みといえなくもないが、真剣な姿は胸をうつ。群像劇にしたことで読み口はかなり軽い。もっとほりさげても良い内容。
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東京藝大大学院の文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室…通称「仏さま研究室」で卒業制作にあたる学生4人の群像劇。
卒業制作は実際の仏像を研究し、材料、方法などをそのまま真似て「模刻」するというもの。
お寺に模刻の依頼をする苦労、材料である木材の調達、長年受け継がれ信仰の対象となってきた仏像と、それを取り巻く人々。知らなかった仏像の世界が生き生きと描かれていて引き込まれた。
事前知識がなくても読みやすく、青春ものとしても面白い。
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大学生とは,自分の進むべき道を見つけるため,自分自身と深く対峙する生き物である(べきである).藝大とは,入学時に相応の覚悟を要するため,その深堀りは普通の大学以上であろう.実在するらしい仏さま研究室の架空の学生4名を通じ,若さゆえの葛藤を描く.こそばゆい.
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ドラマのノベライズを読んでいるようでした。超名門大学の話なのに、二流、三流大学の学生のように感じてしまうのはなんでですかね。仏像の製造過程と修復技術に詳しくなれましたが、特に何かの役に立つわけじゃないしね。
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未知の世界に足を踏み入れてしまった。
この本を読み始めた当初感じたこと。
しかし、結局は皆んな同じ人間。私のような芸術から遠く離れた人間と同じように悩み、考え、支え合いながら、困難を乗り越えていく。
仏像について詳細に解説してあり、興味深かった。恐らく、自分はそこまで仏様にのめり込まないけれど、教養の一つとしてかじってみてもいいのかな、と思った次第だ。
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東京芸大大学院の文化財保存学専攻保存修復彫刻研究室の院生たちの一年間。修士修了に必要な仏像模刻に挑む四人それぞれの生き方を通して、このちょっと珍しい研究室と仏像修復の基本を小説で教えてくれる。ノンフィクションで書いても良かったのかも知れないけれど、小説仕立てで読みやすかった。
芸大って、やっぱり不思議な大学だ。
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仏像好きにはたまらない一冊。
良い。本当に良い。色々勉強にもなるし、1人1人が成長していく様が美しい。もうあの頃に戻れないおじさんには胸が熱くなるね。
20年以上前に本気で仏師を志した事を思い出した。ネットもままならない時代だったから、情報どころか応募の仕方も分からず諦めたな笑
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すごく読みやすくて面白かった。知らなかった東京藝大のこと、仏像修復のことなど、別に知りたいと思っていた訳じゃないけど、どんどん興味が湧いてきて、読み進めたくなってくる。
上記のただの説明でなく、そこで学ぶ学生たちのドラマもくさくなく描かれている。
珍念さんで続刊出ないかな…。
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藝大生に憧れる。東大より高い倍率。そこで学ぶ個性的で才能ある人々…。この本は東京藝大で仏像の保存について研究する「仏さま研究室」の修了課題・仏像の「模刻」に取り組む学生たちの物語だ。恋や家族との関係、劣等感、進路など様々な悩みを抱えつつ、向き合い乗り越えようとする姿が爽やか。
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藝大に実在する研究室をモデルにしたフィクション
去年、横浜そごう美術館で「スーパークローン展」という催しを観た。法隆寺の釈迦三尊像を3Dで計測し、当時の材料で鋳造し、実物大で再現、そして彫刻、彩色を施すというもの。果てしなく大変な労力を注ぎ込んで完成したそれは、単なるレプリカではなく、スーパークローンと呼ばれる。
これを作製したのが、この本の中で「仏さま研究室」と呼ばれている東京藝大の教授と学生のメンバー。登場人物やエピソードは架空の話だけれど、この本の中で語られている仏像模刻のカリキュラムは実際に行われていること。
仏像彫刻の歴史的変遷から、現在の寺院仏閣を取り巻く厳しい環境、檀家と寺の関係性、そして保存、修復における藝大の存在意義。一般にはほとんど知られていない文化財にまつわる蘊蓄あれこれを、軽快な文体で読ませてくれるので、すごくためになるし、面白い。
ノンフィクションにしたら、それはそれで良かったんじゃないか、とも思ったけど、登場する4人の藝大生たちの人生に迷い葛藤する姿が、また良い。
天上天下唯我独尊を貫くのが藝大生らしさなのかと勝手に思ってたけど、そんなことでもない。一丁前に懊悩するし、他人と比べては落ち込むし、挫折しては、また立ち直るという繰り返し。一般人とさして変わらない。(けしてディスってるわけではない)
これは小説にして正解だ。
青春小説としても良い出来だ。
ケチをつけるとすれば、本の表紙が凡庸なところくらいだ。全然この本の面白さを表現していない。
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面白かった。
空間把握能力皆無の私には、仏さまがどのようにつくられていくのか、途中からわからなくなったけど、藝大の修士課程所属学生という特殊な環境のなかで、4人の学生のエピソードが綴られ、全体の時間が進んでいく、というのはとても好みの構成だった。
できすぎな展開も出てくるのだけど、それすら心地よく感じるのが不思議。
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実在する仏像の歴史などが登場し、それを観に行きたい想いに駆られた。
「仏様と在る暮らし、仏様が寄る辺である暮らし‥」いいなぁ~。
「仏像に功徳があるというのか?‥疫病も絶えず人をおそう。仏はいったい、誰の肩を持っているのだ?」と不動明王の想いを想像した言葉に、驚き考えさせられた。
木に煩悶するシゲと父、材木店の父娘の話に優しさと切なさを感じた。
「あらゆる悪いことはしない、善いことは喜んでしましょう、いつも心を清めて」などなど、仏の教えが伝わった。
学ぶことの多い、素敵な話だった。